農家
2025年12月17日
政府備蓄米はどこへ消えたのか
令和の米騒動などとメディアが大騒ぎして政府備蓄米放出までに至った米不足騒ぎ。増産を決断された農家もありましたが結果的に今は各所でコメ余りが深刻化。「コメバブル崩壊はいつ?」というカウントダウン状態です。選挙が近い時はネームバリューの低い人を大臣にすることも多いですが、昨年10月の第1次石破内閣で農水大臣に就任した小里氏は就任直後の月内に行われた選挙で落選。11月には江藤氏が大臣に就任して備蓄米放出するも「私はコメを買った事が無い」発言で辞任。
今年5月には小泉氏が大臣就任すると備蓄米放出ルールを変更してスーパー等の流通へ直接卸す仕組みとしたため、江藤備蓄米がJAや問屋の倉庫に積み上げられたまま下流での取引が活発化したので在庫が積み上がりました。
そのまま今年のコメが出来上がって来たのですが、その頃には農水大臣が自民党総裁選真っ只中という状況で、しかも総裁選では高市氏に負けて現在は鈴木氏が大臣です。
あの小泉大臣が就任して数週間で店頭に並んだ随意契約による政府備蓄米の話しって今年の5月末ですよ。それから約3か月後の8月20日(引渡期限)には農水省が「随意契約による政府備蓄米の売渡しの今後の対応について」を発表しました。
その内容は「5/26,27受付分22万t(引渡20万t)」「5/30-6/10受付分6万t(引渡3.8万t)」「6/11以降受付分4万t」で、実際の仕入れ現場での備蓄米フィーバーは6月に入ったと同時に終わっていたことが分かります。これは2回目以降は大手が申込んでないという過去のブログ記事で書いた通り。
今後は高値掴みした問屋や流通がどうするかですが、さすがにコメともなれば場所だけ用意すればいいわけではなく温度管理や衛生管理も必要な上に、また時が過ぎれば稲刈りの時期が来るわけで、農家との契約数量が納入されてくる前には倉庫から古い米を出荷しないといけない時期が来ます。
そんなわけで早ければ春先にはコメ価格暴落となるんじゃないかと思うと同時に、年明けには新しいコメに備蓄米を混ぜた「価格調整米」といったものが出回るんじゃないかと思ってます。
個人的には農産物なら白菜やキャベツだって1玉100円未満もあれば500円超えの時もある。そこで一喜一憂しますかって話しのような気がするんですよねー。今はテレビに「白菜高騰」の話題が出てアキダイの秋葉社長のコメントをよく見ますが、これ毎年ですからね。
随意契約の備蓄米って8月末とか最悪でも引渡から1ヶ月以内といった売却完了時期の指定がありましたが守れなくなってるんでしょうねえ。そして新しいコメに密かに混ぜられて売られてるのでしょう。そっちのほうが問題のような気がします。
間違いないのはコメ価格が上がったのでコメを食べない人が増えたってこと。今から値下げしたところでコメ離れは決定的になってしまったなーと感じている朝です。

gq1023 at 06:06|Permalink
2025年06月10日
農地は誰の物?
最近はコメ問題が話題ですが、私は以前からこのブログでも書いているように、何よりも大きな課題は農地問題だと思ってます。というのも、農地の多くが第二次世界大戦後に「農地解放」と称して大地主から小作人へ実質的にタダ同然で渡されたのに、今では地主が農家ではない例が大量に存在しているのです。日本が抱える農業の課題はその事業規模が小さすぎてペイしないということ。この最大の理由に、先に挙げた大地主から小作人に細分化して渡された土地の問題がありました。その問題意識はすでに50年以上前に義務教育でも教えていたほどなので、政府側も認識していたはずです。
しかし、その後も問題は一切解消されませんでした。理由は自民党にとって農家が大きな票田であったため。選挙の票を稼ぐには世帯数が多いほど良いわけで、大規模化させる理由が無かったのです。
1988年にはアメリカのレーガン大統領から農畜産物の関税撤廃を求められ、なんだかんだと言い訳をしてコメ輸入を徹底拒否した結果、牛肉とオレンジの輸入枠が撤廃となりました。ただ、いつかコメ輸入解禁の日が来るのは確実視されていたし、その日へ向けて準備しなければいけなかったはずでした。
とうとうトランプ大統領となって、コメ輸入を自由化せざるを得ない状況となり、さらに消費者からも「輸入米を解禁して価格を下げろ」との声があがるようになって、農業大規模化へ向けた動きは待ったなしとなりましたが、それでも簡単にはできない環境があります。
その理由は相続。農地は農家へ渡すべきとして大地主から小作人へ渡された土地が、その地主が亡くなるたびに遺族へと相続され、そのたびに細分化されるだけでなく、都会に出ているような子や孫へも相続されることで、もはや農家が持っている農地とは言えない場所が激増しているのです。
個人的には、農地には農業系の補助金や助成金が大量に投入されて来た歴史があるので、農地の他用途転用を絶対に認めないようにするのは当たり前のこととして、同時に相続するにしても住民票が他の自治体にある方や、農業しない方への相続を認めないという制度作りが必要じゃないかと思っています。
少子高齢化時代と簡単に言いますが、それは農業を営んでいる高齢者が次々と亡くなる時代でもあるわけです。そして農地に占める都市生活者保有率も上昇し、大規模農家が耕作放棄地を借り入れて利用権を設定するにも東京や大阪に住む複数の方々の印鑑が必要だったりして、そこで1人でも連絡がつかないと借入断念となったりと、まあまあ課題が多い状況だったりします。
いったい農地は誰の物なのでしょうか。農家だった方の親族の物?農家の物?地域の物?自民党の物?国民共有の物?それとも農地解放前の大地主の物?今や基幹的農業従事者数(農水省資料)は国民の1%の120万人とも言われています。そしてこの人数は減り続けるのです。
自民党はコメ価格が下がっている時は「市場原理に任せてます」と言っていました。価格が上昇すると「下げろ」というのはムリゲーではないでしょうか。
そんなことより、近々やって来る70歳以上の農家が一斉に廃業するXデイの前に「農地の相続は農家へ」という基本的な法整備をしたほうがいいかもねーと思ったりしております。(絶対やらないと思ってますけどね)
gq1023 at 04:20|Permalink
2025年05月08日
コメなんて輸入すればいいじゃん!
写真は神戸市民にはおなじみ神明のあかふじ。関西では「おいしいおこめはあかふじまい!」のCMも流れている国産ブランド米です。今回気づきましたが神明って今や神戸や関西だけのブランドじゃないんですね。さて本題です。トランプ大統領に「日本がアメリカのコメに700%の関税をかけている」と指摘された日本。国内では米不足と米急騰の話題が2年目となり「コメ関税撤廃して輸入米で一挙に問題解決」とならない状況に、ビミョーな空気感となっています。
理由は単純で与党が「コメ農家票が消えたら自民党は終わり」と認識していること。東京で生活している私からすれば「そう思ってる時点で自民党は終わってる」のですが、現実にコメ農家票が一定数あるのは認めます。
ただ、そのコメ農家の出荷額は大して上がって無いのに店頭価格だけ急上昇してるわけで、今の状態で自民党がコメを支配できているとは思えず、生産量や需要についても正確な情報を把握できていないことは、備蓄米放出でコメ価格下落といっていたのに今も上昇していることから明らかです。
近所の業務スーパーにはアメリカのカルローズ米に加え台湾米が置かれるようになりました。5kg3千円以上の価格でも売れていて、5kg4500円以上する国産米より先に品切れになります。
コメ関税に関する交渉はガットのウルグアイラウンドってヤツで、いろいろあった結果として1995年から関税ナシの枠が設けられ、1995年は国内消費量の4%(約40万トン)を、今は確か8%のはずなのですが、新聞等では「8%=約77万トン」となっています。
昨年12月に発表された農林水産統計(リンク)によると「水稲の収穫量734万5,000トン」「主食用の収穫量679万2,000トン」なので、8%という数字の根拠は米菓などに使う加工用の物も含んだ上での数字なのかもしれません。とにかく77万トンは無税で輸入してるのでしょう。
先述のガットのウルグアイラウンド終盤の1993年に日本で米騒動がありました。野党連合で誕生した細川内閣の頃で、結果的にタイ王国/中国/アメリカから合計259万トンのコメが緊急輸入されたのですが、それでも店頭から米が消えたことがありました。たぶんあの時はじめてタイ米を食べた方も多いと思います。
正直、昨年の収穫期に取れたコメはもう農家に無いでしょうし、今年秋収穫分も売り先や価格は決まっているでしょうから、政府が「コメは主食だ」と言い続けるなら物価対策や在庫不足払拭は急務なわけで、1993年同様に緊急輸入すればいいだけの話しです。
コメの関税は1kg341円。トランプ氏が「700%の関税」と言っているのでそれを信じればアメリカの米が1kg49円となるのですが、話し半分だとして輸送コストを仮にコメ価格と同程度に設定すれば1kg196円。関税との合計で537円となり、国内流通費用1kg150円を加えると店頭で1kg700円ぐらいでしょう。
これでも今の価格環境だと輸入米は勝負になる。だけど価格が下落したら一発アウト。なかなか簡単には大量輸入する会社は出て来ないと思います。そんな中で自民党は国内コメ農家を保護するために基本的に輸入反対だし関税率は下げないとの立場です。
でも自民党は分かって無いんですよ「今も着実にコメ離れがおきている」ってことを。そして私もそうですが国民はその生活に慣れました。以前は立ち食いソバ屋でもコメ農家保護を考えてご飯とのセットを頼んでましたが、最近は飲食店のことを考えてソバだけの機会も増えました。
朝食はパンって世帯は激増していると思います。こうなると夕食に米飯を持ってくるしか無いのですが、炊飯器で炊くと30分から1時間かかるわけで、なにも価格が高く入手困難で調理に手間のかかる米飯を採用する必要性って無いですよね。
私は幼少期からコメを食べる機会がほぼ無かったので今が一番食べてます。先日も書きましたが小学校の給食はすべてパン。中学校では学校で昼食注文できたのですがパンのみ。高校の学食にうどん/カレーって選択肢があって、そのカレーが唯一米飯と触れ合う機会でした。
くだらない議論をしているうちに、コメ離れが急加速してコメ農家の存在価値が一気に薄れる前に、早く価格対策をしないとまずいんじゃないかなーと思っております。
注意)下記動画は再生するとうるさいのでぜひご覧ください!
gq1023 at 07:01|Permalink
2025年03月18日
米が無い?店頭には売るほどあるのに・・・
先日、地域ボランティア活動中に「お米が無い」という話しが出ました。これ昨年も同様の話しがあったと思うのですが、無いと言っても店頭にはあるじゃないですか。私が経験した1994年の米騒動とぜんぜん違う。あの時は米農家がお米を買うほどひっ迫しました。昨年一時的にスーパーマーケット等の店頭から米が消えましたが、あれは消費者が買い占めたから。我が家の近所にはお米屋さんが2つあるのですが常に店頭在庫はあり、先日も近所の「米本舗 清水屋」さんで好みの玄米を3kg買って精米してもらいました。
近所の定食屋さんで「米が無いので営業できません」なんて聞いたこともないし、米が値上がりしたのでランチのご飯無料サービス終了なんてラーメン屋さんも無い。米はあるって感じ。
しかも、農家さんがお米の売買契約するのは春だから、昨秋の出荷価格は昨春の価格だから値段が上がる要素なんて何もない。ってことは流通段階で値上げしてるだけだと思うのです。
それに、米の値段が上がったといっても牛乳や卵ほどじゃない。問屋やスーパーは消費者が付いて来る限りは値上げする。テレビで「農家を取材した」なんてのはせいぜい1軒とか2軒だけの話し。ぜんぜん実情が反映されてない。
その昔、米は戦時下で作られた食管法で管理されてました。米農家は(一部自主流通米を除いて)全量を国に売ることになっていて、国の買取価格も結構な高額に設定され、それが作付け面積に応じて振り込まれると言う品質もへったくれも無いムチャクチャな仕組みでした。
これが先述の米騒動でおかしいと指摘され95年に食管法廃止&食糧法施行となり。04年に改正食糧法となって完全自由化になりました。
今まで競争が無かった米農家がほんの9年間で自由競争に投げ込まれたので、その後の米は流通に買いたたかれて不当に値下がり続けて来て半分以下にまで至ったという歴史があります。だから今の2倍程度って価格は95年に戻っただけのイメージ。
それはさておき、日本農政の課題は稼げない小作農家が大量にあるという構造的な問題があって、その大半が兼業農家。それらの人々は農家といっても大半の時間をサラリーマンとして過ごしてます。
私が電通西日本岡山支社にいた時も、普通に兼業農家の先輩が複数いましたし、担当していた岡山県職員にも結構な数の兼業農家の方がおられました。信じられないと思いますが、稲刈りの時期になると、みんなで手伝いに行くんですよ。マジで!
サラリーマンとして800万円以上も所得があれば農家の仕事も片手間になる。そもそも赤字経営だけど「先祖からの農地を守る」「ご近所の眼があって辞められない」等でやってる方も多いですから、さすがに歳もとったし子供も継がないから農家は廃業するかって感じで離農する方も多い。そりゃあ農家が減って耕作放棄地が大量に出るわけですよ。
しかも今も兼業農家で米作なら、せいぜい20俵から30俵(1〜1.5トン)しか作らないでしょうから、ここまで値段が上がってくると「出荷せず親族用に取っておこう」となるのも当然。そうなれば流通量は減る。それで値上がりしてる部分はあるかもです。
それでも農機具が動いていれば米作を継続できますが壊れたらアウト。私のような50歳代後半にもなれば、トラクター/田植え機/稲刈り機のどれか1つでも壊れたら離農を考えると思います。だって新車で1機150万円、中古でも80万円はしますからね。今から投資しても絶対にペイしない。
今必要な米は少し高い金額を負担すれば買えるわけで、そんなことより「日本の農業における構造的な問題を解決していかないといけない」ってのを実行に移すのはいつなんだろうと思っております。
ちなみに私が小学校の時点で「日本は稼げる中規模から大規模農家を増やしていかなければならない」とか「農地の区画整理によって大型農機による効率化を進めなければいけない」と習いましたので、少なくとも45年は問題解決への着手が遅れているんですよねー。
今から着手すれば10年後には農地の区画整理にメドがつき、15年後には中規模農業の芽吹きが出てくると思いますので、まさに専門家である江藤農水大臣には頑張っていただきたいと思っております。
gq1023 at 04:46|Permalink









