財布
2026年09月18日 06:37
写真は、私がここ数年愛用しているお財布です。以前は長財布を使っていたのですが、キャッシュレス決済の普及によって次第に必要性が薄れ、結局ここまでミニマムな財布で良くなってしまいました。男性が買うブランド品というのは昔からある程度限られていて、代表格が時計・カバン・財布・名刺入れでした。1990年前後にはロレックス、G-SHOCK、スウォッチなどのブームもあり、私自身も必要以上に時計を買いまくりましたし、カバンや財布もルイ・ヴィトンやグッチで揃えていた時代がありました。
変化があったのは、2002年に自宅を購入した頃です。翌2003年には六本木ヒルズが開業し、「ヒルズ族」と呼ばれるブランドや高級品を好む層が注目される一方、その逆ともいえる、余計な物を持たないミニマムなスタイルも少しずつ目につくようになりました。
私もそれまで、カバンにノートパソコン、経済誌3誌、日経トレンディ、日経新聞まで入れて持ち歩いていたのですが、雑誌は日経ビジネスだけに絞り、ビジネスバッグをリュックに変更。車もBMWからスズキ・エブリイに変え、腕時計も「時間を見るだけなら携帯電話で十分」と着けなくなりました。
財布と名刺入れについては、横浜のキタムラさんに仕事でお世話になっていたこともあり、そちらへブランドスイッチしました。この頃からブランド品を完全にやめたというより、少しずつ「必要な物だけ持つ」という方向へ変わっていったわけです。
2010年頃になるとスマートフォンが普及し、私も携帯電話やPHSと併用しながら少しずつスマホ中心の生活へ。2015年に第4世代iPad miniが登場するとノートパソコンを持ち歩くのをやめ、2017年にはスマホをタフネスガラホのTORQUE X01に変更しました。
ところが2018年、オリンピックパートナーの関係で最新のGalaxyスマートフォンへ変更する必要が出てきました。この時にスマートウォッチも同時に入手したことでタブレットすら持ち歩かなくなり、持ち物はさらに減っていきました。
2019年にはスマホケースを手帳型にして、そこに名刺とクレジットカード2枚を収納するようになると名刺入れもほぼ不要に。さらにキャッシュレス決済の普及で、普段持ち歩く現金も1万円以下になり、ついに長財布まで必要なくなりました。
そんなわけで100円ショップで見つけたのが、写真の財布です。これがとにかく軽くて便利で、以来およそ1年ごとに買い替えながら使い続け、現在で4代目となります。
2023年には、直近まで使っていたキタムラの長財布とブルガリの名刺入れだけを残し、自宅にあったブランド品のバッグ、財布、名刺入れ、時計をまとめてリサイクルショップへ売却しました。
ミニマム生活に慣れてくると、今度は財布の中にたくさんカードが入っていることすらイヤになってきます。現在持ち歩いているのは、キャッシュカードを兼ねたイオンカード、楽天の法人カードと個人カードの基本3枚だけ。そして普段持ち歩くカバンまでエコバッグになりました。
考えてみれば、昔はノートパソコン、雑誌、新聞、長財布、名刺入れ、携帯電話などをビジネスバッグに詰め込んで毎日持ち歩いていました。それが今では、ほとんどの機能がスマートフォン1台に集約され、財布は100円ショップ、カバンはエコバッグ。そりゃあ消費が落ち込むわけですよ。
私のような広告&イベントマーケティングプランナーの仕事は、ある意味、世の中に「必要最低限で良いと思わせない」ことです。「欲しい」「行きたい」「体験したい」と思ってもらい、そこにお金を使ってもらう。そのきっかけを作るのが仕事です。
ところが世の中を見渡せば、ユニクロやGAPなどの服を着て、同じような物を持つ人が増えました。かつてブランド品には「人とは違う物を持ちたい」という欲求もあったはずですが、そのブランド品ですら画一化が進んでいるように感じます。
今でも高級品を好む人はもちろんいますが、車はアルファード、スマホは最新iPhoneという具合に、売れている物へ人気が集中する。高い物を買って差別化しているつもりが、結果的にはみんな同じ物を持っているという、なかなか面白い現象です。
もちろん昔にも同じような現象はありました。1990年前後にはBMW3シリーズが「六本木カローラ」と呼ばれた時代もあり、確かにBMWに乗っていればナンパの成功率は上がったかもしれません。ただ、当時も流行はありながら、車や服、時計などの趣味嗜好には、今よりもう少しバラつきがあったように感じます。
そして、それを偉そうに論じている本人の財布が100円ショップで、カバンがエコバッグなのですから、広告屋としてはまったく説得力がありません。
とはいえ、だからこそ「必要ではない物を欲しいと思ってもらう」ことが、昔よりずっと難しく、そして重要になったのかもしれません。
必要な物だけを買う時代に、必要ではない物をどうやって欲しいと思ってもらうのか。100円ショップの財布を眺めながら、そんなことを考えている私です。









