民事再生

2026年07月17日 06:10

スクリーンショット 2026-07-17 060614アエラホームが昨日7月16日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したとの報道が出ています。1963年創業で、2003年から「アエラホーム」ブランドで全国展開する中堅ハウスメーカーです。この報道を見て、私は過去のハウスメーカー倒産のことを思い出しました。

かつて殖産住宅・日本電建・太平住宅は「割賦三社」と呼ばれる大手住宅メーカーでした。住宅融資がまだ十分に整備されていなかった時代、独自の割賦販売によって「現金がなくても毎月の支払いで一戸建てが建てられる」という仕組みを広げ、日本人のマイホーム取得を支えた会社です。

その中の一社が殖産住宅。「ホーム、ホーマー、ホーメスト」のテレビCMを覚えている方もいるのではないでしょうか。高い知名度を誇った大手住宅メーカーでしたが、2002年に経営破綻しました。その後、事業を引き継いだ別会社も2018年に経営破綻しています。

そして太平住宅。こちらも全国的に知られた大手住宅メーカーでしたが、2003年に民事再生法の適用を申請。その後、再建を断念して破産しています。残る日本電建は、2002年から2003年にかけて大東建託グループ入りし、姿を消しました。

2009年に発生した富士ハウスの自己破産は、大きな社会問題になりました。静岡県浜松市に本社を置き、関東から東海、近畿まで広く展開していたハウスメーカーでしたが、建築中の住宅を多数抱えたまま経営破綻したため、多くの施主が大きな影響を受けました。

住宅という商品は、自動車や家電とは大きく異なります。自動車メーカーが倒産しても、すでに納車された車が突然なくなるわけではありません。家電メーカーが倒産しても、自宅にあるテレビや冷蔵庫が使えなくなるわけでもありません。

しかし注文住宅は、契約してから完成するまでに長い時間がかかります。その間に契約金、着工金、中間金などとして、何千万円というお金を住宅会社へ支払うことがあります。もし2,000万円を支払った時点で住宅会社が倒産したらどうなるのか。

土地はある。住宅ローンもある。しかし家は完成していない。そして支払ったお金が全額戻ってくるとは限りません。別の建築会社に工事を引き継いでもらうために、多額の追加費用が必要になる可能性もあります。

富士ハウスの破綻では、工事の進捗以上に多額のお金を支払っていた施主も存在し、大きな問題となりました。

同じ2009年には、埼玉県を中心に急成長していたアーバンエステートも経営破綻しています。積極的にテレビCMを流し、住宅展示場を展開している会社を見れば、一般の消費者は「これだけ有名な会社なら大丈夫だろう」と思ってしまいます。

しかし、住宅業界の歴史を振り返ると、「大手だから大丈夫」「老舗だから大丈夫」「全国展開しているから大丈夫」「テレビCMをやっているから大丈夫」という保証はどこにもないことが分かります。

今回のアエラホームは、民事再生法の適用申請です。突然会社がなくなってしまうわけではありません。地方や郊外を中心に「クラージュ」や「プレスト」などのブランドで注文住宅を供給してきた中堅ハウスメーカーです。

報道によると、ピーク時の2013年3月期には売上高210億2,250万円だったのが、2025年5月期の売上高は85億5,964万円まで減少したとのことです。実に6割近く売上高が減少したことになります。しかも4期連続の赤字で、債務超過も拡大していたそうです。

幸いなことに、スポンサー候補として東証グロース市場に上場するロゴスホールディングスの子会社として2026年7月3日に設立されたLHD-1が、吸収分割によって注文住宅事業などを承継する予定となっています。

ロゴスホールディングスは、新築請負契約を締結している施主との契約関係についても承継会社が引き継ぎ、グループとして責任を持って完工させる予定としています。

これは現在建築中の施主にとっては非常に重要なポイントです。住宅メーカーが経営破綻した時、最も大きなリスクを負うのは、まさに「契約してから引き渡されるまで」の施主だからです。今回のアエラホームについては、スポンサー企業への事業承継によって工事の継続が予定されています。

しかし、すべての住宅会社の倒産で、このようにスポンサーが現れるとは限りません。だからこそ、これから注文住宅を建てる方には、住宅会社の知名度や規模だけではなく、「万が一、この会社が倒産したら自分の家はどうなるのか」という視点を持っていただきたいと思います。

特に確認しておきたいのが、工事代金の支払い条件です。工事が10%しか進んでいないのに、代金の50%、70%を先に支払ってしまえば、住宅会社が倒産した時のリスクは当然大きくなります。

住宅会社から「今月中に入金してもらえれば値引きします」「決算なので先に支払ってください」などと言われても、工事の進捗に対して不自然に多額の前払いになっていないかは確認した方がいいでしょう。

そして「住宅完成保証制度」の有無も重要です。ここで間違えてはいけないのが、住宅瑕疵担保責任保険と住宅完成保証は別物だということです。瑕疵担保責任保険に加入しているからといって、建築会社が工事途中で倒産した際に、必ず家を完成させてもらえるわけではありません。

また、最近の住宅メーカーは「30年保証」「60年保証」といった長期保証を競うようにアピールしています。しかし、その会社が30年後、60年後まで存続している保証はありません。会社がなくなった場合に誰が保証を引き継ぐのかは、契約前に確認しておくべきでしょう。

住宅は、多くの人にとって人生最大の買い物です。

・数十万円の値引きを交渉する。
・住宅ローンの金利を0.1%でも低くする。
・少しでも性能の高い設備を選ぶ。

もちろん、どれも大切です。

しかし、それ以上に重要なのは、数千万円を支払った住宅会社が、きちんと家を完成させて引き渡してくれることです。

殖産住宅、日本電建、太平住宅。かつて「割賦三社」と呼ばれた巨大住宅会社でさえ、時代の流れの中で姿を消しました。近年も、突然の経営破綻によって多くの施主が影響を受けたケースが出ています。

新築注文住宅の購入や建て替えを検討中の方は、家を建てる会社を選ぶ際に、知名度や価格、住宅性能だけではなく、万が一その会社が倒産した時にも自分を守れる契約になっているのかを確認する。

住宅会社を選ぶことと同じくらい、「その会社に万が一のことがあった時、自分の家とお金をどう守るのか」を考えておくことが求められているのかもしれません。

2026年04月18日 04:35

evm先日ブログ記事にした万博で使用した大阪メトロEVバス190台の全車引退と、それを納入したEVモーターズ・ジャパン(以下EVMJ)の民事再生法の適用申請についてです。

日本にはPL法(製造物責任法)があり、消費者がメーカーの過失を証明しなくても、製品に欠陥があったことさえ証明できれば賠償請求できることになっています。今回のバスは、相応に不可欠な部品が無いとか明らかな強度不足が判明していて、当然対象となるでしょう。

ただ、「損害を被った側が賠償する権利」があるだけで、メーカーに民事再生法(会社全体の整理)」の適用が認められれば、法律的にはそちらが優先され、PL法上の責任は反故にされる可能性が高いと思われます。

このような法的な抜け穴がある限り、「ヤバくなったら倒産しよう」という輩が出てくるのは避けられないわけで、裁判所はそこを考えて民事再生or破産の選択をすると思われますが、どちらを選んだ場合でも大阪メトロ等に賠償される可能性は著しく低いでしょう。

ではPL法上の責任を負ってもらうために民事再生適用させたとして、この会社にまともなバスを製造する能力も改修作業する人員もいるとは到底思えません。

とはいえ簡単に泣き寝入りとはならないでしょう。普通に考えて大阪市や大阪メトロは住民訴訟の対象にされるでしょうし、この粗悪な車両に公道を走る許可を与えた国(や国交省)を相手取った訴訟に発展する可能性だってあります。

オンブズマンによる車両選定や形式認証手続きにおける議事録開示請求もあるでしょうし、それに基づいた刑事告訴だってあり得るでしょう。

普通のメーカーならPL保険に加入しているはず。だって私のような吹けば飛ぶような零細企業でも加入してますから。だったら保険で車両代金(全部or一部)が返還されるといった解決策があるかもしれませんが、今回はそんな雰囲気すら感じられない点にも違和感を感じます。

当然ですが、車両の欠陥を知りながら隠蔽して販売を続けていたのであれば、詐欺罪や業務上過失致傷罪の適用も視野に入ります。

EVMJのバスは大阪メトロ以外にも全国の自治体やバス会社で導入されています。本来なら国会でもこの問題を採り上げ、「自分の乗っているバスは安全なのか?」という国民の不安に応えるため、該当車両を導入している会社名/車両番号/現在の稼働状況をすべて公表すべきかもしれません。

さらに難しいのはこの車両が中古市場や海外マーケットに出回る可能性があること。解体業者に持ち込んだとしても完全にはバラバラにはされず、走れない状態にした程度で世の中に出回る可能性は非常に高いのです。

それが海外で死亡事故でもおこせば、廃車を決定したバス会社だけでなく日本と言う国自体も訴訟の対象となる可能性だってあります。

まだ現状は「大阪万博で変なバスをつかまされた」程度に考えている関係者は少なくないと思いますし、購入費用をあきらめれば終わる話しと思っている方々も多いかもしれません。

でも実際には水面下で大阪地検特捜部が動いているかもしれませんし、まだ車両の実物が存在しているので不良品を販売したと実証するための証拠は豊富にあるわけで、政財界を巻き込んだ巨大スキャンダルとなる可能性だってあるでしょう。

大阪メトロEVバス問題は、単なる「インチキ中華バス輸入業者の倒産」ではなく「公金詐取事件」になる可能性を秘めています。

・PL法を無力化する民事再生の闇
  法制度を逆手に取った「逃げ得」を許せば、製造物責任の根幹が揺らぐ。
・国産という虚像と穴だらけの行政審査
  国交省の審査能力不足か、あるいは万博ありきの政治的忖度があったのか。
・徹底解明に向けた刑事捜査と全車両公開の必要性
  証拠隠滅(破砕)される前に、実物による検証と情報公開が不可欠。

まず大阪市・大阪府・大阪メトロにできることは、EVMJがもはや社会的信用を失った企業であることを明確に発信し、日本中の運行事業者へ二次被害を食い止めるための「緊急警告」を発することではないでしょうか。

実際には、こうした「粗悪なEV」の影はバスだけに留まりません。一部の電動キックスケーター、電動自転車、電動スクーター等、製造元も不明瞭で、販売業者がペーパーカンパニー同然のケースも多々あります。

これらが「安さ」と「クリーン」の美名の下に、私たちの公道を、そして命を脅かしている事実を認識した上で、PL法上の製造者責任をしっかり果たせる企業の製品を選ぶ消費者意識と、そういう企業以外が事業参入できない国の環境づくりが求められているのかもしれませんね。

記事検索
QRコード
QRコード
月別アーカイブ