木更津

2026年09月26日 03:18

unkou今回、千葉県を襲った台風25号では、鉄道にも大きな被害が出ています。特に深刻なのがJR内房線です。

姉ケ崎ー木更津間では線路沿いで大規模な土砂崩れが発生。約500mの間に5カ所で土砂が線路内へ流入し、架線設備なども損傷しています。

しかも、単純に線路上の土砂を取り除いて線路を直せば済む話ではありません。まず崩壊した山の斜面を安全な状態に復旧させ、その後で線路や鉄道設備の復旧、点検を行う必要があるとのことで、JR東日本は運転再開まで「少なくとも3カ月程度」を要するとしています。

さらに気になるのが代替輸送です。JR東日本は「9月28日以降バスによる代行輸送を検討」としていますが、現時点では詳細が決まっていません。

内房線は15両編成の通勤電車も走る路線です。木更津、巌根、袖ケ浦、長浦方面から千葉や東京都心へ通勤・通学している人も多く、これが3カ月となれば沿線への影響は非常に大きなものになります。これほど長期間にわたって鉄道が不通になるというのは、大都市近郊の通勤路線ではかなり異例のことだと思います。

私はこのニュースを見て、阪神・淡路大震災の時のことを思い出しました。

当時、私は神戸・六甲アイランドに住んでいて、毎日の通勤ルートはアイランド北口から六甲ライナーでJR住吉駅へ出て、そこからJRで大阪駅まで行くというものでした。

1995年1月17日の地震で、その通勤ルートは完全に寸断されました。六甲ライナーは陸地と埋立地を結ぶ橋桁が、車両を乗せたまま落下するほどの被害を受けていました。道路も地盤沈下による段差が激しく、陸地まで代替バスを走らせることさえ簡単ではない状態でした。

幸い、東側では阪神電鉄やJRが一部区間で動き始めていたので、そこまでたどり着けば大阪へ行くことはできました。

しかし、歩く道はガタガタ。余震のたびに各所からガレキが落ちて来るし、倒壊した建物や高速道路の脇を歩かなければならず、さらに随所で火災が発生している状態でしたので、震災直後は通勤どころではありませんでした。

それでも鉄道各社の復旧は驚くほど早いものでした。

1月23日 JRの不通区間を結ぶ代替バス運行開始。
1月24日 六甲アイランドから六甲ライナーの代替バス輸送開始
1月25日 JR 甲子園口ー芦屋間 運転再開
1月26日 阪神 甲子園ー青木間 運転再開

あの頃は、「今日はここまで電車が動いた」「明日はここがつながる」というニュースが毎日のように入ってきました。被災地で生活していた人間にとって、鉄道が一駅、一駅と戻ってくることは、街が少しずつ元に戻っていくことを実感できるニュースでもあり、それ自体が心の支えになっていたように思います。

2月8日 JR 大阪方面から住吉駅 運転再開
2月11日 阪神 青木ー御影間 運転再開

これで六甲アイランドから代替バスでJR住吉駅、あるいは阪神魚崎駅方面まで出ることができれば、大阪まで鉄道で通勤できる状態になりました。ただし六甲ライナーそのものの被害は大きく、復旧には時間がかかりました。

阪神魚崎駅まで六甲ライナーで行けるようになったのは7月20日。JR住吉駅まで全線がつながったのは8月23日です。震災から実に218日。

それでも、その間ずっと全線が止まっていたわけではなく、復旧したところから少しずつ運転区間を延ばし、残った不通区間を代替バスでつなぐという方法が取られていました。

今回の内房線と阪神・淡路大震災を単純に比較することはできません。今回の姉ケ崎ー木更津間では、線路そのものを直す前に、まず崩壊した斜面を安全な状態にしなければならないという特殊な事情があります。

鉄道会社が頑張れば明日にでも走らせられる、というような被害ではありません。ただ、だからこそ重要になるのが代替輸送だと思います。

内房線沿線を大阪ー神戸間のような大動脈かと問われれば、規模は違います。しかし沿線には多くの会社や工場、大学、高校があり、毎日鉄道を使って通勤・通学している人が大勢います。鉄道が3カ月止まるということは、その人たちにとっては「3カ月間、毎日の生活そのものが変わる」ということです。

道路にも限界がありますし、鉄道の15両編成が運んでいた人数をそのままバスに置き換えることなど到底できません。それでも、鉄道が復旧するまでの間、少しでも多くの人が会社や学校へ行ける交通手段を確保することは、被災地の日常を取り戻すために欠かせません。

阪神・淡路大震災の時、鉄道や代替バスが一つずつ動き始めるたびに、「これで少し普通の生活に戻れる」と感じたことを、30年以上経った今でもよく覚えています。

今回被災した内房線沿線の皆さんにとっても、鉄道の復旧と同時に、まずは日々の生活を支える代替交通の確保が非常に重要になると思います。

安全を最優先にしながら、代替バスを含めた交通手段が一日も早く確保され、そして内房線そのものも一日も早く復旧することを祈っています。

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