存在意義
2026年06月20日 05:43
私には理解できない日本の制度の一つに「収入印紙」というものがあります。印紙税法という法律で定められていて、契約書や領収書など一定の文書には収入印紙を貼らなければなりません。
理解できないとはいえ、法律で決まっている以上は守らないといけませんので、事務所にも常時収入印紙をストックしています。契約書や請書だけでなく、「これ本当に必要なのか?」と思うような合意書や同意書にも、とりあえずペタペタ貼っているのが実情です。
税理士さんに聞いても、「印紙税法で決まっているのでお願いします」と言われるだけで、何のための制度なのかはよく分かりません。例えば5万円以上(100万円以下)の領収書を発行すると200円の収入印紙が必要になります。
私も長年、「印紙を貼って割り印を押すことで正式な書類になるのかな」と思っていたのですが、実際にはそうではなく、単に印紙税という税金を納めているだけらしいのです。だったらなおさら、5万円ごときの領収書に印紙なんて必要なのだろうかと思ってしまいます。
先日も15万円ほどの機械を納品したのですが、その代金が15万円。領収書が必要とのことでPDFを送ったところ、「紙で欲しい」と言われました。
紙で発行すると印紙代が200円かかるので、「PDFでお願いします」「いや、紙で欲しいです」という押し問答を2分ほど繰り広げた末、結局こちらが折れて紙の領収書を発行しました。
この「PDFなら印紙不要」というのも私には理解しづらいポイントです。中身は全く同じ取引の証明なのに、紙かデータかという違いだけで税金がかかったり、かからなかったりするのです。
印紙税は紙の文書に対して課税される制度なので理屈としては分かるのですが、利用者側からすると「同じ内容なのに?」という感覚になります。
近年は行政手続きでも印鑑が不要になりつつあります。ところが収入印紙だけは、貼ったうえで消印(昔でいう割り印)をしなければならず、なんでここだけ昔のルールがそのまま残っているのだろうと思ってしまいます。
イベント業をやっていると、お弁当やケータリングなどで5万円を超える飲食代を支払うことも珍しくありません。
ところが地方へ行くと、そもそも収入印紙を置いていないお店もあります。そんな時に、「5万円以下の領収書を複数枚に分けて発行します」と言われることもあるのです。
もちろん本来は一つの取引を印紙税逃れのために分割するのは適切ではないのでしょうが、現場レベルではこうした運用が行われていることもあります。そう考えると、この制度は本当に意味があるのだろうかと疑問に感じます。
契約そのものを守る機能があるわけでもなく、ビジネスを円滑にする効果も特に感じません。
紙なら課税、データなら非課税という線引きも、デジタル化が進んだ今の時代にどこまで合理性があるのか疑問です。
私には、この制度が今なお残っている理由は「昔からそうだったから」以外に見当たりません。税収として一定の役割があることは理解していますが、事業者には手間とコストだけが残り、電子化が進むほど存在意義は薄れていくようにも見えます。
収入印紙制度は、そろそろ「昔からあるから続いている制度」の代表例として、本格的な見直しを議論しても良い時期に来ているのではないでしょうか。
そんなことを書きつつも、昨日は1万円の収入印紙を1枚、2千円の収入印紙を2枚購入しました。合計1万4千円。決して安い金額ではありません。そのお金がどこでどのように使われているのか正直よく分かりませんが、とりあえず今日も法律に従ってペタペタ貼っています。
ところで、海外にも領収書にまで貼らされる収入印紙のような制度はあるのでしょうか。ご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。









