基準金利

2026年07月26日 05:39

スクリーンショット 2026-07-25 064250円安が日本にとって本当に良いことなのか悪いことなのか、正直なところ私には分かりません。ただ総理の高市早苗さんが円安容認派で日銀の金利上昇に否定的であることは分かります。

確かに、日本は輸出で成長してきた国です。円安になれば日本製品の価格競争力が高まり、輸出企業の利益が増え、法人税などの税収増につながるという説明も理解できます。

しかし、その代表例として挙げられるトヨタ自動車の利益を見ていると、そんな単純な話ではないように思うのです。

現在のトヨタは、日本で作った車を海外へ輸出して利益を上げている企業ではありません。世界中から部品を調達し、世界各地の工場で生産し、それを世界中で販売しています。

つまり、発表される巨額の利益には、海外で生み出された利益も数多く含まれています。それらを円に換算すれば、円安の局面では利益が大きく膨らんで見えるのは当然です。

もちろん、日本から輸出している分については円安の恩恵があります。しかし、現在の利益全体を見ると、「円安のおかげで商業的に大成功を収めている」というほど単純ではないように感じます。

だからこそ、円安による為替差益で一時的に利益が大きく見えたからといって、その分をそのまま恒久的な賃上げに回すのは簡単ではありません。

もし将来、円高へ戻れば、その為替による押し上げ効果は一気に消えてしまいます。その時に賃金を下げられるのかと言われれば、現実には難しいでしょう。

確かに、円安になれば日本で生産した製品は海外で売りやすくなります。しかし、今の日本企業や日本人に「さあ海外へ進出しよう」という勢いがあるでしょうか。

海外旅行でさえ以前より大きな負担になっている今、現地へ行って市場調査を行い、新たな販路を開拓することは、昔よりはるかに高いハードルになっています。

また、「インバウンドで日本は潤っている」とも言われます。もちろん、日本の文化や食、治安などに魅力を感じて訪れる外国人も数多くいます。その一方で、円安によって「日本は安く旅行できる国」になったことが、訪日客増加を後押ししているのも間違いありません。

私は、この「安い日本」というイメージが世界に定着してしまうことに、強い危機感を覚えています。賃金が低く、物価も安い国だから観光客が集まる。それが日本の競争力になってしまうことを、本当に喜んで良いのでしょうか。

私がカナダに引っ越した1988年1月は、1カナダドル=102円でした。その時のホームステイ(下宿)代は朝・夕2食付きで475ドル。つまり5万円以下でした。7月から借りた都心のマンションは680ドル=約7万円。自由に海外へ働きに出られましたし、留学もできました。

その頃の日本は「豊かな国」という印象を持たれていました。私自身も、日本での稼ぎで気軽にカナダへ引っ越し、学校へ行くことも仕事をすることもできました。

今の日本人には簡単に留学なんてできないでしょう。ここ数年の急激な円安によって、海外の大学に留学中だったものの、卒業をあきらめて帰国したという方もいます。日本での稼ぎで海外生活すること自体が困難な時代です。

つまり、今の日本は世界から「貧しい国」と思われている可能性があります。そのことを、日本の政治家や日銀は分かっているのでしょうか。

政府が円安を容認し続けた結果として今起きている現象は、日本の国際的な存在感や購買力がどんどん失われているだけに見えます。

円安は決して「善」でも「悪」でもありません。ただ、円安を是正するための施策が講じられず、日銀の政策金利の引き上げすら遅々として進まない状況が正しいのかどうかは、一度冷静に考えてみる必要があるのではないでしょうか。

アメリカとイランの戦いはまだまだ続きそうです。大半の原子力発電所を止めている日本では、電気を作るにも何か燃料を燃やすしかありません。そのすべてが輸入である以上、今後さらなる物価上昇が起きるのは確実でしょう。

我が社の海外出張手当は1日5千円(国内は3千円)。1ドル=164円なら約30ドルです。アメリカ出張だと、水のボトルを買ってビッグマックセットを食べたらなくなってしまいます。これは行き過ぎた円安だと思いますので、ビッグマックセットを2回食べられる程度の1ドル=130円ぐらいにしてほしいと思っている私です。

最後に、購買力や総合的な通貨の相対実力を示す日本円の実効為替レート(リンク)で見ると、1ドル=360円だった固定相場時代(1970年前後)の水準まで円の価値が低下しています。そこまで円の価値が下がっているという現実を高市政権が一大事だと受け止めない限り、今後も円安は進むと思っています。

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