全東信
2026年07月12日 01:50
全東信の破産から数日が経過し、負債総額が当初報じられていた額より約100億円多いことも分かってきました。なぜかこの被害を「大阪だけの話」のように説明している解説動画も多数見かけますが、実際には東京でも多数の加盟店が影響を受けており、被害は全国規模となっています。
これによって大きなダメージを受けている飲食店や小売店が多数出ているわけですが、こうなると他社の決済サービスへの切り替えを検討する必要も出てきます。当然ながら、様々な会社が積極的に営業をかけているわけですが、自分自身の知識向上のためも含め、一旦リスト化してみました。案件ではないのでリンクは張っていません。
・Airペイ(運営会社:リクルート)/Airレジとの連携が簡単
手数料率:約2.48〜3.24%/月額:0円/入金:月3回または6回(銀行による)
・Square(運営会社:Square[アメリカBlockの日本法人])/導入が早い
手数料率:約2.5〜3.25%/月額:0円/入金:最短翌営業日(一部銀行)
・楽天ペイ(運営会社:楽天グループ)/入金が早く楽天経済圏入りできる
手数料率:約2.48〜3.24%/月額:0円/入金:楽天銀行なら翌日
・stera pack(運営会社:三井住友カード)/大手の安心感とオールインワン端末
手数料率:約1.98〜2.70%/月額:3,300円程度/入金:最短翌々営業日
・PAYGATE(運営会社:スマレジ)/スマレジとの連携が簡単
手数料率:約1.98%〜/月額:プランによる/入金:最短翌営業日
・STORES(運営会社:STORES)
手数料率:約1.98〜3.24%/月額:プランによる/入金:数営業日
・PayCAS(運営会社:PayPay)
手数料率:約1.98〜3.24%/月額:プランによる/入金:月2回
・USEN PAY(運営会社:USEN)
手数料率:2.99%〜/月額:条件付き0円/入金:月2回(オプションで翌日入金)
・Alpha Note(運営会社:アルファノート)
手数料率:契約内容による/月額:契約内容による/入金:月1回・月2回・週払い
私どもは楽天ペイを利用していますが、実はAirペイの審査にも通っていました。その後、タッチ決済の一般化や様々なQR決済への対応などを考えているうちに、そのまま放置してしまい、Airペイの申込書類が今でも机の上に置きっぱなしになっています。
移動販売車の方々によく使われている印象があるのはSquareです。導入までのスピードや使いやすさが評価されているのかもしれません。最近では、三井住友カードのstera packを導入している店舗もよく見かけるようになりました。
もちろん手数料は重要です。しかし、それ以上に「売上金がいつ入金されるのか」「運営会社の経営基盤は安定しているのか」「QR決済やタッチ決済など、今後普及する決済手段にも柔軟に対応できるのか」といった点も、これからは重要な判断材料になるでしょう。
昔はカード売上の入金まで1〜2か月待つことも珍しくありませんでした。しかし現在では、翌営業日や数日以内に入金されるサービスも増えています。キャッシュフローが改善されることによる経営面でのメリットは、飲食店にとって決して小さくありません。
私どもで最初に楽天ペイを導入した頃は、iPadのヘッドホンジャックにカードリーダーを差し込むだけでカード決済が始められる時代でした。その後、タッチ決済や各種QR決済が次々と登場し、一台の端末で様々な決済方法に対応できることが当たり前になりました。キャッシュレス決済は、この10年ほどで大きく進化したと感じています。
今回の全東信の破産は、多くの加盟店にとって非常に大きな痛手となりました。しかし一方で、自店の決済環境を見直すきっかけにもなっています。
これからは「どの会社が一番安いか」だけではなく、「売上金がいつ入金されるのか」「安心して売上を預けられる会社なのか」「将来の決済手段にも対応し続けられるのか」といった視点で選ぶ時代になっていくのでしょう。
今回の出来事を教訓として、決済会社選びの基準そのものを見直す加盟店が増えるのではないかと感じています。
2026年07月11日 05:55
ビジネスの世界において、経営悪化による「倒産(破産)」は珍しいことではありません。しかし、今回の「全東信」のケースは通常の企業倒産とは性格が大きく異なるように感じます。報道では長年にわたる粉飾決算が指摘されており、単なる経営不振だけでは説明しきれない異例の事案と言えるでしょう。その異常さは、破産申立書に記載された「債権者リスト」を見れば一目瞭然です。債権者は実に63社。しかも、メガバンク(みずほ・三井住友・三菱UFJ)の名前は一つもなく、りそな銀行も含まれていません。それにもかかわらず、自己破産申立時の負債総額は約1,151億6,400万円に達しています。
また、近畿産業信用組合、ハナ信用組合、成協信用組合、朝銀西信用組合、ミレ信用組合、横浜幸銀信用組合、イオ信用組合など、歴史的に在日韓国・朝鮮コミュニティを母体として発展してきた信用組合も複数含まれています。最大債権者は近畿産業信用組合の219.9億円で、この7つの信用組合の債権額を合計すると358.6億円となり、金融機関向け債権全体の約3割を占めています。
債権者リスト)
・近畿産業信用組合 219.9億円
・東京スター銀行 80.0億円
・東和銀行 80.0億円
・山口銀行 74.9億円
・大阪厚生信用金庫 68.3億円
・ハナ信用組合 45.0億円
・北おおさか信用金庫 40.0億円
・成協信用組合 34.7億円
・第一勧業信用組合 29.0億円
・三十三銀行 22.0億円
・関西みらい銀行 21.0億円
・バンカーズ・クラウドクレジット・ファンディング 20.7億円
・あすか信用組合 20.0億円
・朝銀西信用組合 19.0億円
・百十四銀行 18.5億円
・ミレ信用組合 18.0億円
・きらぼし銀行 / 大光銀行 / マイナビブリッジ 各 15.0億円
・KEBハナ銀行 12.8億円
・愛媛銀行 12.4億円
・永和信用金庫 / 高知銀行 各 12.0億円
・伊予銀行 11.4億円
・大同信組 / 横浜幸銀信組 / イオ信組 各 11.0億円
・四国銀行 10.8億円
・みなと銀行 10.0億円
・枚方信用金庫 9.9億円
・JA三井リース 9.0億円
・イオン銀行 8.8億円
・静岡銀行 8.6億円
・千葉興業銀行 / 信用組合広島商銀 / 島根銀行 各 8.0億円
・大阪協栄信用組合 7.5億円
・京滋信用組合 7.3億円
・信用組合愛知商銀 7.0億円
・大阪商工信用金庫 / 佐賀銀行 / SAMURAI ASSET FINANCE 各 6.0億円
・南都銀行 / 宮崎銀行 / 兵庫ひまわり信用組合 各 5.0億円
・福岡ひびき信用金庫 4.5億円
・韓国産業銀行 / 十六銀行 / 東信用組合 各 4.0億円
・神戸信金 / 但馬銀行 / 鳥取銀行 / 栃木銀行 / 中ノ郷信組 / 京都中央信金 各 3.0億円
・江東信用組合 2.0億円
・肥後銀行 / 中国銀行 各 1.5億円
・中央信用組合 1.1億円
・トマト銀行 / 静岡中央銀行 / 全東栄信用組合 各 1.0億円
・神奈川銀行 5千万円
地方銀行、第二地方銀行だけでなく、信用組合、信用金庫、リース会社、さらにはソーシャルレンディングまで、実に幅広い金融機関・企業が債権者となっています。これほど全国の金融機関から多額の融資を受けていた企業は、極めて珍しいのではないでしょうか。
さらに今回は「準自己破産」という形で申し立てられています。準自己破産は、債務者以外の利害関係人などが申し立てる手続きであり、通常の自己破産とは異なる経緯をたどっています。なぜこの手続きが選択されたのか、会社内部でどのような状況にあったのかについては、今後の破産手続きや関係者の説明によって明らかになることが期待されます。
長年にわたる粉飾決算が指摘され、多数の金融機関が巨額の債権を抱えるという今回の事案は、日本の金融機関の融資審査やモニタリング体制にも大きな課題を投げかけています。今後、破産管財人の調査などを通じて、どのような経緯でこれほど多額の融資が実行され、粉飾が長期間見過ごされてきたのかが明らかになることを注視したいと思います。
2026年07月10日 04:29
クレジットカード決済代行を手がける「全東信」が大阪地裁に破産手続きを申請したとの報道から数日が経過しました。私は「今どきの飲食店はリクルートのAirペイ・三井住友カードのstera pack・楽天ペイのどれかだろう」と思っていたので、最初はあまり気に留めていませんでした。ちなみに弊社は楽天ペイを利用しています。カード払いされた代金は最短で翌日に入金され、今では前述の3社であれば、カード利用から数日以内に現金化されるのが当たり前になっています。
ところが調べてみると、この会社は意外にも多くの飲食店と契約していたそうで、全国の飲食店や小売店から悲鳴が上がっているようです。
全東信は、まだカード売上の入金まで1か月以上かかることも珍しくなかった時代に成長した企業でした。また、大手カード会社と直接加盟店契約を結ぶことが難しい店舗に対しても、決済サービスを提供していたケースが多かったようです。
日本飲食団体連合会は、「全東信の決済端末の使用を直ちに停止すること」「カード決済したにもかかわらず未入金となっている売上代金の回収が困難になる可能性がある」と緊急声明を発表しています。
カード決済の売上が大半を占める飲食店も少なくないでしょう。特に高級店では、その割合はさらに高いと思われます。もしキャバクラやホストクラブで先週分の売上入金が突然止まったら、店舗の資金繰りは一気に悪化し、存亡の危機に陥っても不思議ではありません。
全東信は1987年、大阪南飲食事業協同組合として設立され、長年にわたり飲食店向けのクレジットカード決済代行事業を展開してきました。
しかし今回の件を見ると、決済代行会社は単なる「カード決済の窓口」ではなく、「売上金を一時的に預かり、加盟店へ送金する金融インフラ」でもあることがよく分かります。
飲食店や小売店の経営者は、どうしても決済手数料の安さに目が行きがちです。しかし本当に重要なのは、「確実に、そして速やかに売上金が入金されること」ではないでしょうか。
キャッシュレス化が進んだ現在、売上金が1週間、2週間止まるだけでも資金繰りに深刻な影響を与えます。利益が出ている店であっても、現金が回らなければ経営を続けることはできません。
「どこの決済会社を選ぶか」は、単なるコスト比較ではなく、会社の資金繰りを左右する重要な経営判断です。
正直なところ、私はこのような昔ながらの仕組みを中心に事業を続けている決済代行会社が、現在でも一定のシェアを持っていることを知りませんでした。調べてみると、業界には地域密着型や業種特化型の決済代行会社も存在するようです。
これまで決済代行会社の経営状況まで気にして契約していた経営者は、それほど多くなかったかもしれません。しかし今回の全東信の破綻は、「決済会社も取引先であり、その信用力も経営リスクの一つである」という事実を、多くの経営者に改めて認識させる出来事になったのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は便利な仕組みですが、その便利さは決済代行会社の信用の上に成り立っています。だからこそ今一度、自社の売上を預ける相手が本当に信頼できる会社なのかを見直す良い機会なのかもしれません。









