倒産
2026年07月18日 05:10
(本記事は東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年7月21日号掲載予定「WeeklyTopics」の転載です。)コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。
コスト増により1棟当たり単価の値上がりが続くほか、住宅ローン金利も上昇。大規模の建売現場ではプロジェクト検討時と販売開始する際のコストや購買層の算定で開きが生じる。また、マンションやリノベーション物件との競合も激しい。仕入も人材も豊富な大手との競争も激化している。
ハウスメーカーの倒産(負債1,000万円以上)を集計した。2026年上半期は118件(前年期比87.3%増)と2倍近くに跳ね上がった。1989年以降では、デフレ期の2004年の198件が過去最多だが、上半期で100件を上回ったのは、2013年(106件)以来、13年ぶり。
118件の原因別は、販売不振が85件(構成比72.0%)、赤字累積の既往のシワ寄せが20件(同16.9%)と業績不振がほとんどだ。
倒産増勢が強まるおそれ
負債34億円を抱えて3月に破産したタイコウハウス(株)(TSRコード:510016626、愛知県)や、負債11億円の(株)ハウスM21(TSRコード:170162168、岩手県、1月破産)など中堅ハウスメーカーの倒産も目立つ。中東情勢の不安定化による住設・資材価格の高騰や納入遅れなどが長期化すれば、倒産がさらに増加する可能性もある。
破産企業の共通項は、長引く業績不振だ。タイコウハウスは20億円を超える年商時期にも最終利益は数百万円に沈み、2024年7月期には耐えきらず17億円の最終赤字を計上。ハウスM21も長らく低収益(赤字含む)に喘ぎ、23年3月期に債務超過に転落していた。
7月16日には中堅ハウスメーカーのアエラホーム(株)(TSRコード:340124466、千代田区)が民事再生法の適用を申請した。2022年5月期以降は最終赤字が続き、金融支援によって資金を繋いでいたが、ナフサ不足による資材高騰も影響した。
ただ、いずれの会社も業績不振は今に始まったことではなく、早期に抜本再生へ舵を切っていれば、結果は違った可能性もある。
ハウスメーカーの倒産時は、先払いした施主(オーナー)も債権者となり工事が止まることも多い。ただ、アエラホームのケースでは弁護士や金融機関、コンサルタントなどがオーナーの権利保護に奔走した。結果、金融や商取引債権者には被害が及ぶものの、施主への波及は防がれた。ハウスメーカーの倒産が急増しているだけに、注目される事例となった。
2026年07月17日 06:10
アエラホームが昨日7月16日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したとの報道が出ています。1963年創業で、2003年から「アエラホーム」ブランドで全国展開する中堅ハウスメーカーです。この報道を見て、私は過去のハウスメーカー倒産のことを思い出しました。かつて殖産住宅・日本電建・太平住宅は「割賦三社」と呼ばれる大手住宅メーカーでした。住宅融資がまだ十分に整備されていなかった時代、独自の割賦販売によって「現金がなくても毎月の支払いで一戸建てが建てられる」という仕組みを広げ、日本人のマイホーム取得を支えた会社です。
その中の一社が殖産住宅。「ホーム、ホーマー、ホーメスト」のテレビCMを覚えている方もいるのではないでしょうか。高い知名度を誇った大手住宅メーカーでしたが、2002年に経営破綻しました。その後、事業を引き継いだ別会社も2018年に経営破綻しています。
そして太平住宅。こちらも全国的に知られた大手住宅メーカーでしたが、2003年に民事再生法の適用を申請。その後、再建を断念して破産しています。残る日本電建は、2002年から2003年にかけて大東建託グループ入りし、姿を消しました。
2009年に発生した富士ハウスの自己破産は、大きな社会問題になりました。静岡県浜松市に本社を置き、関東から東海、近畿まで広く展開していたハウスメーカーでしたが、建築中の住宅を多数抱えたまま経営破綻したため、多くの施主が大きな影響を受けました。
住宅という商品は、自動車や家電とは大きく異なります。自動車メーカーが倒産しても、すでに納車された車が突然なくなるわけではありません。家電メーカーが倒産しても、自宅にあるテレビや冷蔵庫が使えなくなるわけでもありません。
しかし注文住宅は、契約してから完成するまでに長い時間がかかります。その間に契約金、着工金、中間金などとして、何千万円というお金を住宅会社へ支払うことがあります。もし2,000万円を支払った時点で住宅会社が倒産したらどうなるのか。
土地はある。住宅ローンもある。しかし家は完成していない。そして支払ったお金が全額戻ってくるとは限りません。別の建築会社に工事を引き継いでもらうために、多額の追加費用が必要になる可能性もあります。
富士ハウスの破綻では、工事の進捗以上に多額のお金を支払っていた施主も存在し、大きな問題となりました。
同じ2009年には、埼玉県を中心に急成長していたアーバンエステートも経営破綻しています。積極的にテレビCMを流し、住宅展示場を展開している会社を見れば、一般の消費者は「これだけ有名な会社なら大丈夫だろう」と思ってしまいます。
しかし、住宅業界の歴史を振り返ると、「大手だから大丈夫」「老舗だから大丈夫」「全国展開しているから大丈夫」「テレビCMをやっているから大丈夫」という保証はどこにもないことが分かります。
今回のアエラホームは、民事再生法の適用申請です。突然会社がなくなってしまうわけではありません。地方や郊外を中心に「クラージュ」や「プレスト」などのブランドで注文住宅を供給してきた中堅ハウスメーカーです。
報道によると、ピーク時の2013年3月期には売上高210億2,250万円だったのが、2025年5月期の売上高は85億5,964万円まで減少したとのことです。実に6割近く売上高が減少したことになります。しかも4期連続の赤字で、債務超過も拡大していたそうです。
幸いなことに、スポンサー候補として東証グロース市場に上場するロゴスホールディングスの子会社として2026年7月3日に設立されたLHD-1が、吸収分割によって注文住宅事業などを承継する予定となっています。
ロゴスホールディングスは、新築請負契約を締結している施主との契約関係についても承継会社が引き継ぎ、グループとして責任を持って完工させる予定としています。
これは現在建築中の施主にとっては非常に重要なポイントです。住宅メーカーが経営破綻した時、最も大きなリスクを負うのは、まさに「契約してから引き渡されるまで」の施主だからです。今回のアエラホームについては、スポンサー企業への事業承継によって工事の継続が予定されています。
しかし、すべての住宅会社の倒産で、このようにスポンサーが現れるとは限りません。だからこそ、これから注文住宅を建てる方には、住宅会社の知名度や規模だけではなく、「万が一、この会社が倒産したら自分の家はどうなるのか」という視点を持っていただきたいと思います。
特に確認しておきたいのが、工事代金の支払い条件です。工事が10%しか進んでいないのに、代金の50%、70%を先に支払ってしまえば、住宅会社が倒産した時のリスクは当然大きくなります。
住宅会社から「今月中に入金してもらえれば値引きします」「決算なので先に支払ってください」などと言われても、工事の進捗に対して不自然に多額の前払いになっていないかは確認した方がいいでしょう。
そして「住宅完成保証制度」の有無も重要です。ここで間違えてはいけないのが、住宅瑕疵担保責任保険と住宅完成保証は別物だということです。瑕疵担保責任保険に加入しているからといって、建築会社が工事途中で倒産した際に、必ず家を完成させてもらえるわけではありません。
また、最近の住宅メーカーは「30年保証」「60年保証」といった長期保証を競うようにアピールしています。しかし、その会社が30年後、60年後まで存続している保証はありません。会社がなくなった場合に誰が保証を引き継ぐのかは、契約前に確認しておくべきでしょう。
住宅は、多くの人にとって人生最大の買い物です。
・数十万円の値引きを交渉する。
・住宅ローンの金利を0.1%でも低くする。
・少しでも性能の高い設備を選ぶ。
もちろん、どれも大切です。
しかし、それ以上に重要なのは、数千万円を支払った住宅会社が、きちんと家を完成させて引き渡してくれることです。
殖産住宅、日本電建、太平住宅。かつて「割賦三社」と呼ばれた巨大住宅会社でさえ、時代の流れの中で姿を消しました。近年も、突然の経営破綻によって多くの施主が影響を受けたケースが出ています。
新築注文住宅の購入や建て替えを検討中の方は、家を建てる会社を選ぶ際に、知名度や価格、住宅性能だけではなく、万が一その会社が倒産した時にも自分を守れる契約になっているのかを確認する。
住宅会社を選ぶことと同じくらい、「その会社に万が一のことがあった時、自分の家とお金をどう守るのか」を考えておくことが求められているのかもしれません。
2026年07月11日 05:55
ビジネスの世界において、経営悪化による「倒産(破産)」は珍しいことではありません。しかし、今回の「全東信」のケースは通常の企業倒産とは性格が大きく異なるように感じます。報道では長年にわたる粉飾決算が指摘されており、単なる経営不振だけでは説明しきれない異例の事案と言えるでしょう。その異常さは、破産申立書に記載された「債権者リスト」を見れば一目瞭然です。債権者は実に63社。しかも、メガバンク(みずほ・三井住友・三菱UFJ)の名前は一つもなく、りそな銀行も含まれていません。それにもかかわらず、自己破産申立時の負債総額は約1,151億6,400万円に達しています。
また、近畿産業信用組合、ハナ信用組合、成協信用組合、朝銀西信用組合、ミレ信用組合、横浜幸銀信用組合、イオ信用組合など、歴史的に在日韓国・朝鮮コミュニティを母体として発展してきた信用組合も複数含まれています。最大債権者は近畿産業信用組合の219.9億円で、この7つの信用組合の債権額を合計すると358.6億円となり、金融機関向け債権全体の約3割を占めています。
債権者リスト)
・近畿産業信用組合 219.9億円
・東京スター銀行 80.0億円
・東和銀行 80.0億円
・山口銀行 74.9億円
・大阪厚生信用金庫 68.3億円
・ハナ信用組合 45.0億円
・北おおさか信用金庫 40.0億円
・成協信用組合 34.7億円
・第一勧業信用組合 29.0億円
・三十三銀行 22.0億円
・関西みらい銀行 21.0億円
・バンカーズ・クラウドクレジット・ファンディング 20.7億円
・あすか信用組合 20.0億円
・朝銀西信用組合 19.0億円
・百十四銀行 18.5億円
・ミレ信用組合 18.0億円
・きらぼし銀行 / 大光銀行 / マイナビブリッジ 各 15.0億円
・KEBハナ銀行 12.8億円
・愛媛銀行 12.4億円
・永和信用金庫 / 高知銀行 各 12.0億円
・伊予銀行 11.4億円
・大同信組 / 横浜幸銀信組 / イオ信組 各 11.0億円
・四国銀行 10.8億円
・みなと銀行 10.0億円
・枚方信用金庫 9.9億円
・JA三井リース 9.0億円
・イオン銀行 8.8億円
・静岡銀行 8.6億円
・千葉興業銀行 / 信用組合広島商銀 / 島根銀行 各 8.0億円
・大阪協栄信用組合 7.5億円
・京滋信用組合 7.3億円
・信用組合愛知商銀 7.0億円
・大阪商工信用金庫 / 佐賀銀行 / SAMURAI ASSET FINANCE 各 6.0億円
・南都銀行 / 宮崎銀行 / 兵庫ひまわり信用組合 各 5.0億円
・福岡ひびき信用金庫 4.5億円
・韓国産業銀行 / 十六銀行 / 東信用組合 各 4.0億円
・神戸信金 / 但馬銀行 / 鳥取銀行 / 栃木銀行 / 中ノ郷信組 / 京都中央信金 各 3.0億円
・江東信用組合 2.0億円
・肥後銀行 / 中国銀行 各 1.5億円
・中央信用組合 1.1億円
・トマト銀行 / 静岡中央銀行 / 全東栄信用組合 各 1.0億円
・神奈川銀行 5千万円
地方銀行、第二地方銀行だけでなく、信用組合、信用金庫、リース会社、さらにはソーシャルレンディングまで、実に幅広い金融機関・企業が債権者となっています。これほど全国の金融機関から多額の融資を受けていた企業は、極めて珍しいのではないでしょうか。
さらに今回は「準自己破産」という形で申し立てられています。準自己破産は、債務者以外の利害関係人などが申し立てる手続きであり、通常の自己破産とは異なる経緯をたどっています。なぜこの手続きが選択されたのか、会社内部でどのような状況にあったのかについては、今後の破産手続きや関係者の説明によって明らかになることが期待されます。
長年にわたる粉飾決算が指摘され、多数の金融機関が巨額の債権を抱えるという今回の事案は、日本の金融機関の融資審査やモニタリング体制にも大きな課題を投げかけています。今後、破産管財人の調査などを通じて、どのような経緯でこれほど多額の融資が実行され、粉飾が長期間見過ごされてきたのかが明らかになることを注視したいと思います。
2026年07月10日 04:29
クレジットカード決済代行を手がける「全東信」が大阪地裁に破産手続きを申請したとの報道から数日が経過しました。私は「今どきの飲食店はリクルートのAirペイ・三井住友カードのstera pack・楽天ペイのどれかだろう」と思っていたので、最初はあまり気に留めていませんでした。ちなみに弊社は楽天ペイを利用しています。カード払いされた代金は最短で翌日に入金され、今では前述の3社であれば、カード利用から数日以内に現金化されるのが当たり前になっています。
ところが調べてみると、この会社は意外にも多くの飲食店と契約していたそうで、全国の飲食店や小売店から悲鳴が上がっているようです。
全東信は、まだカード売上の入金まで1か月以上かかることも珍しくなかった時代に成長した企業でした。また、大手カード会社と直接加盟店契約を結ぶことが難しい店舗に対しても、決済サービスを提供していたケースが多かったようです。
日本飲食団体連合会は、「全東信の決済端末の使用を直ちに停止すること」「カード決済したにもかかわらず未入金となっている売上代金の回収が困難になる可能性がある」と緊急声明を発表しています。
カード決済の売上が大半を占める飲食店も少なくないでしょう。特に高級店では、その割合はさらに高いと思われます。もしキャバクラやホストクラブで先週分の売上入金が突然止まったら、店舗の資金繰りは一気に悪化し、存亡の危機に陥っても不思議ではありません。
全東信は1987年、大阪南飲食事業協同組合として設立され、長年にわたり飲食店向けのクレジットカード決済代行事業を展開してきました。
しかし今回の件を見ると、決済代行会社は単なる「カード決済の窓口」ではなく、「売上金を一時的に預かり、加盟店へ送金する金融インフラ」でもあることがよく分かります。
飲食店や小売店の経営者は、どうしても決済手数料の安さに目が行きがちです。しかし本当に重要なのは、「確実に、そして速やかに売上金が入金されること」ではないでしょうか。
キャッシュレス化が進んだ現在、売上金が1週間、2週間止まるだけでも資金繰りに深刻な影響を与えます。利益が出ている店であっても、現金が回らなければ経営を続けることはできません。
「どこの決済会社を選ぶか」は、単なるコスト比較ではなく、会社の資金繰りを左右する重要な経営判断です。
正直なところ、私はこのような昔ながらの仕組みを中心に事業を続けている決済代行会社が、現在でも一定のシェアを持っていることを知りませんでした。調べてみると、業界には地域密着型や業種特化型の決済代行会社も存在するようです。
これまで決済代行会社の経営状況まで気にして契約していた経営者は、それほど多くなかったかもしれません。しかし今回の全東信の破綻は、「決済会社も取引先であり、その信用力も経営リスクの一つである」という事実を、多くの経営者に改めて認識させる出来事になったのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は便利な仕組みですが、その便利さは決済代行会社の信用の上に成り立っています。だからこそ今一度、自社の売上を預ける相手が本当に信頼できる会社なのかを見直す良い機会なのかもしれません。
2026年04月16日 06:27
すでに各所で報道が出ていますが、あの万博用EVバスの多く(約190台超)を納入した株式会社EVモーターズ・ジャパン(北九州市)が負債57億円を抱え民事再生法の適用を申請したようです。2019年 法人設立
2022年 EVバス1号車納入
2023年 22台納入(富士急/伊予鉄/東急/那覇バス/宮城交通/北九州市交通局 他)
2024年 大阪・関西万博向けに約190台を納入
2026年 民事再生適用申請(負債債権者約280名に対し約57億円)
自動車ブログではないので詳細を書くのは避けますが、万博で使われていた車両は、バスとしての骨格を維持するための基本的部品が無かったり、見るからに明らかな強度不足が確認できると言うヒドイ車両で、信頼性が未知数の自動運転装置が搭載されてる車両もある状態。
これを大阪市は「国産だから」という理由で信頼あるBYDで一度は決定していた車両を、この会社からの調達に切り替えたようですが、中身は中国のバス会社経営者ですら聞いたこと無いメーカーからの調達。
OEMと言っているが日本で設計して中国で生産させているのではなく、中国から調達したバスに日本で必要な装備をつけ足しているだけ。確かにそれでも最終組み立てが日本なら国産になるのですが、目で見て分かる貧弱な車両が国交省の認可を受け登録まで出来た理由も分かりません。
民事再生法の適用を申請していますが、今後待ち受けているのは納入した各社からの損害賠償請求でしょうし、EV補助金は5年間乗らないと返還する義務があるので、この返還分もこの会社へ請求されることでしょう。
公共交通機関の車種選定は、市議会や都道府県議会と言った政治に出来る物ではありません。選択を誤ると誰かの命を危険にさらす可能性もあるのです。
その昔、広島電鉄がドイツのシーメンスから画期的な路面電車を導入したことがありました。初代グリーンムーバーと名付けられ、2000年には鉄道車両としては栄誉あるローレル賞を受賞。2003年度には「バリアフリー化推進功労者表彰・内閣官房長官賞」も受賞しました。
結論からいえばこれがとんだシロモノでして、日本の高温多湿の環境には合わず早々のうちから故障続出。それでも騙し騙し使っていたものの廃車となりました。まだ京都市電や神戸市電の廃車車両が50年以上も走ってますから、とんでもない寿命の短さです。
そんなわけで公共交通機関については、旅客機は海外製しか選べないから仕方ないにしても、電車やバスは実績ある国産があるなら、そっちを選んだ方がいいんじゃないかと思っている私です。
2026年04月15日 05:19
高市政権が徹底的に実施するとしていた外国人政策。「出入国・在留管理等の適正化」「外国人制度の適正化」「外国人の土地取得ルール制定」「在留資格審査では社会保険料の支払いと納税を確認」といったことが挙げられていました。その中に「特定技能・育成就労制度」の受け入れ見直しというのがあり、受け入れ上限数を設定するとともに在留資格を持つ外国人の数を従来より減少させる動きを始めていました。
先日4月13日に上限5万人に達したとして在留資格認定証明書の交付が停止されたのが「飲食物調理/飲食店での接客/飲食店の店舗管理」を担う「特定技能1号」です。ミャンマーとかバングラデシュの飲食店従業員が多かったですよね。あれはこの制度によるものです。
現在外食産業は深刻な人材難に見舞われていて、この特定技能1号による外国人労働者は大変重要な労働力でした。理由は求人コストの高さ。マイナビとバイトルとタウンワークにアルバイト募集を載せたら1週間で15万円から30万円は当たり前。しかも応募が全然来ません。
必要スタッフの半分でも海外からの特定技能1号で補えれば求人コストが半分になるわけで大助かり。飲食大手は入国手続きから印鑑作成/銀行口座開設/住宅や寮の手配といったことまで請け負い、積極的にこの枠を活用して来ました。
結果として現在は飲食店バイトの大半が外国人という店舗が多数となり、都心だと日本人店員を見つける方が難しいといった状態だったりもします。
私は先日とある大手そばうどんチェーン店へ行ったのですが、「天かすいらない」の言葉が通用せず大盛状態で提供され、それに対して「天かすいらないって言ったんですけど」と言うとさらに増量されたので言語コミュニケーションをあきらめて自分のレンゲで取り除きました。
結構深刻な話しだったりするのですが、全くメディアで採り上げられてないし、一般人も話題にしていないので、飲食大手が集まって自民党や小野田大臣に陳情しても採り上げられそうになく、このままだと単純に外国人労働者が消えた外食産業になって行くのでしょう。
ただでさえ客回転数が激減している居酒屋にとっては深刻で、深夜営業や24時間営業している店舗は営業時間短縮を迫られることになるのは時間の問題。
先日、私がある大手そばチェーンを訪れた際のことです。「天かす抜き」で注文したはずが、出てきたのは山盛りの天かす。指摘すると、言葉がうまく通じなかったのか、さらに増量されてしまいました。結局、私はコミュニケーションを諦め、自分でレンゲを使って取り除くしかありませんでした。
これは笑い話ではなく、現場の教育が追いついていない深刻な事態です。しかし、この問題はメディアで報じられることも、世間で話題になることもほとんどありません。業界団体が自民党や小野田大臣へ陳情したとしても、今の世論の流れでは、現状のまま「外国人労働者が消えていく」未来は避けられないでしょう。
ただでさえ客足の戻りが鈍い居酒屋業界にとって、この人手不足は致命傷です。深夜営業や24時間営業を支えてきた労働力が失われれば、閉店や時短営業を迫られるのはもはや時間の問題といえます。
今回の交付停止は、単なる「ルールの変更」ではありません。これまで私たちは、外国人の献身によって、安くて便利なサービスを当たり前のように享受してきました。安価な労働力に依存してきた日本の外食文化が、その構造を維持できなくなる「終わりの始まり」を意味しています。
制度の厳格化と人材不足が進むこれからは、「店が開いているだけでありがたい」「言葉が通じなくても仕方ない」、あるいは「セルフサービスが当たり前」という時代を受け入れる覚悟が求められるのかもしれません。
でもそれも一時的な物です。人手がいなければ店は回らない。日本人を雇えばコストは増える。増えたコストは価格に反映される。日本国民による都合の良い身勝手で保守的な外国人政策のツケを払うのは、実は私たち消費者自身なのかもしれませんね。
2025年10月21日 05:43
中国のEV元年がいつかは記憶が無いですが、間違いないのは北京オリンピックのあった2008年と上海万博のあった2010年の間に電動スクーターが激増しました。当時は自動車やバイクの無免許運転が当たり前でしたが、当局による取り締まりが始まり様々な規制が出来てきて高額なナンバープレート制度が導入される地域も出て来たのに対し、電動スクーターは免許が不要で登録もタダみたいな物だったので一気に広がったのです。
上海万博終了後に元日本館だった場所でアニソンイベントがあったのですが、その時点で上海市内の電動スクーターの販売台数は300万台を超え、上海市の人口2,300万人(2011年上海市人口統計)に対し7人に1人の割合となり、大人の5人に1人が持っているという状況でした。
当時から中国人民政府は「近い将来電気自動車の時代が来る時に備えての国家的投資だ」と表明していて、当時の電動スクーター生産台数は年間4千万台以上と言われていました。有象無象のメーカーも多数ありましたが、合計生産台数は少な目ではあるけどウソでは無いかと思われます。
2010年といえば日本では三菱アイミーブの一般販売が開始され年末には日産リーフがデビュー。電気自動車元年と言われていましたが、同時に電動アシスト自転車の国内出荷台数が約38万台と国内バイクメーカー4社の合計出荷台数に並んだとか言ってた頃です。
そんな時代に中国は毎年4千万台以上の電動スクーターを市場にぶち込んで壮大なる社会実験をしていたわけで、凄まじい技術の進化があったことと思います。そして2014年には中国人民政府から電気自動車(含むPHV/FCV)に対する方針が発表され、2016年には更新する政府車両や公共交通機関車両の30%以上をそれらにせよとの指示が出て、一挙にEVメーカーが多数誕生しました。
中国の補助金は企業に出るため、EVメーカーをやるといえば多額の補助金が出る時代にメーカー数が過多となり、一時は400社を超えているとも言われていましたが、今は100社を大きく割り込む展開。ここ数年で15社程度にまで減るとの話しもあります。
でも減ったとしても15社もあるんです。しかも各社がデザイン/IT/マーケティング等で一長一短だし、EV/PHEV/ガソリンと得意な発動機も各社で異なるので、今後は合併によって足りない部分を補完し合うことで一気に巨大化する企業が出て来る可能性もあります。
メディアには「中国EVの墓場」とか言って倒産したシェアEV会社の車両が多数放置されている写真を紹介したりしているのも見かけますが、中国経済の悪化で国内市場だけでは生きられなくなっているEVメーカーが多数出てきているのも事実だったりします。
「窮鼠猫を噛む」では無いですが、中国企業は困ったことがおきると本気を出すのが通例なので、国内経済の悪化で困った中国企業が、一気に海外市場に攻勢をかけた時、世界の自動車市場が激変するんじゃないかと思ったりもします。
ジャパンモビリティショー2025では、BYDが発売する軽EVを出品します。軽PHEVも開発中と言いますから、これらが補助金を使って150万円以内なら日産サクラ/三菱eKクロス EVなんて目じゃないわけで、かなりのインパクトがあるのでは無いでしょうか。
国を挙げて15年もかけて電気自動車市場を育てて来た中国に対し、企業の自助努力に任せて来た日本の今後はどうなりますかね。国会議員の皆様にはとっとと新政権を発足させてもらって、コメ対策や物価対策じゃない未来への意味ある投資を議論してもらいたいと思ってます。
2025年04月20日 06:29
アメリカのボーイングといえばその昔は世界最高の航空機メーカーのイメージでしたが、新型機で次々と致命的なミスを発生させた上に相次ぐストライキでまともに稼働できていません。
最販売機種と想定した「737MAX8」は、古い設計の機体に新型で巨大なエンジンを無理やり搭載したため前後バランスが崩れ、それをコンピューターによる姿勢制御でコントロールするはずだったのが失敗。
納入直後から離陸して数分で操縦不能となる事例が多発。しかも墜落する事例まで発生し、ライオン・エア610便事故では乗客乗員189名全員死亡、エチオピア航空302便事故では乗客乗員157名全員死亡となり納入が長期ストップしたこともありました。
次世代大型機「777X」もトラブル続出で試験飛行も停止。当然ですが納入時期も延期されました。新型機を開発しているわけですから、既存の大型機「787」を買う企業があるわけも無く売れず、さらに従業員はストを頻発させ、大規模な資金調達が必須となっています。
受注残機数は5千機以上もありますが、発注機数が多いのはアメリカン/デルタ/ユナイテッド/サウスウエスト/フェデックスといったアメリカの航空会社ですが次に多いのは中国系。その数は他国を圧倒するレベルです。
ところがここにトランプ関税が来たのでボーイングへの発注を取り消す動きになりそうです。中国南方航空は新造機を当て込んで既存のボーイング機の退役&売却予定を発表していましたが、中止したのではと報道されています。
ボーイングはすでに中国浙江省舟山に最終引き渡し工場を持っていますが、ライバルのエアバスはすでに2つ目の工場建設を進めていて、中国国内でのボーイングの地位は落ちるどころか消えるレベルにまで達しそうな雰囲気です。
当然の話しとして世界中がトランプ関税に対する報復関税をかければ、その関税分だけボーイング機は価格競争力を失うわけで、ヨーロッパの国々やアジア各国も発注取消の流れは加速するでしょう。
アメリカを製造大国にするとか言ってる大統領がいるようですが、少なくともボーイングに関しては消え去るしかない運命を与えた歴史的な決定になるかもしれません。2025年03月06日 07:01
全く知らない会社でしたが、キャンピングカーの製造販売をしていた「ケイワークス」という会社が破産したそうです。ネット検索すると、2020年04月24日のグーネット記事に「愛知県春日井市に体験型展示場 名古屋ショールーム オープン」といったのが載っていたので、コロナ期のキャンピングカーブームに乗ったのかもしれません。
資本金2,500万円の会社なのに、負債総額が約17億7,600万円(2023年12月決算時点)とのことで、借り過ぎというか貸し過ぎの気もしますが、それだけ売り上げもあったのでしょう。
そんな感じで知らんぷりをしていたら、レース業界ってキャンピングカーを移動車兼宿舎にしている人も多いので、とある人から「倒産したのってオーロラシリーズの会社ですよ」と教えてもらいました。
オーロラシリーズは「国産家具職人が内装を手掛けた」とかいって各種YouTubeチャンネルでも見たことあります。「えー!あのハイエースで1,000万円以上ってヤツー!」ってことで、事の深刻さを理解するに至りました。
というのも「発注してから2年待ちました」みたいな動画が結構あったんですよ。つまり1千万円以上する車の注文を2年以上分も請け負ったまま破産申請ってことですよね。破産ってことは絶対にお金は戻ってこないわけで、えらいこっちゃなわけです。
やっぱり自動車は引き渡し時にお金を渡すのが原則ですね。でも新車キャンピングカーは各車仕様が異なるので、最初に結構な額の手付金を入れるのも多いから難しいですねー。店側も2年後に「完成しました」と連絡したときに引き取ってもらえるとは限りませんから、半額以上は前金でもらうでしょう。
なんとも言いようがありませんが、知り合いに被害が発生していないことを祈ってます。
2025年03月04日 06:39
金曜日に発表された「丸住製紙(マルスミセイシ)」の民事再生法適用申請は衝撃的なニュースでした。負債総額は2024年11月決算時点で約590億円とされています。この会社は愛媛県の東端であった旧川之江市(現四国中央市)に位置していて、同じく四国中央市は伊予三島に本社がある大王製紙を筆頭に、香川県の西側で西讃地区と言われるである坂出周辺までが製紙業界のメッカだったりします。ポケットティシュのウチダ(旧内田紙工)さんとか有名ですよね。
私も折込チラシ全盛期の20年以上前には紙の直接調達依頼をしに行ったりしました。ただ、当時は問屋を通すという商習慣が強く撃沈。結果的に海外メーカーに作らせて輸入するという当時は暴挙と言われるような事もやってました。
丸住製紙さんは直近でも大規模投資をされていたのでスゴイなーと思っていたのですが、倒産発表1週間前の2月21日に「新聞用や印刷用に使われる洋紙の生産を終了する」と発表していたんです。
ただ、印刷業界では誰もが知るほどの新聞用紙大手でしたので、愛媛県のメディアでは「主力事業を停止して会社はいったいどうなるんじゃい!?」と大きな話題になって、市長が「雇用を守りたい」等と会見する事態になってました。
総合商社の丸紅が約3割の株を保有する筆頭株主なのですが、現在の再建計画を実行しているコンサル会社の前に別の大手コンサルを入れていたそうで、そこで巨額赤字を計上したっぽいのですが、詳しいことは分かりません。
ただ間違いないのは新聞はオワコンってこと。我が家でも新聞ってとってますが見るのは電子版のみ。届いた紙はそのままゴミになってます。新聞が終わってるのに折込チラシが大人気なんてあり得ないので、こちらも需要は激減中。商業印刷も今後は期待できません。
幸いにして日本人は世界で唯一と思われるティッシュで鼻をかむ(他はハンカチ)国民で、全国的に花粉症患者も増加中。トイレットペーパーもバカほど使う上にコロナ以降はペーパーハンドタオルも需要拡大中なので、製紙業界が全部ダメということは無いのですが、いろいろ厳しいのは事実でしょう。
25年前までは一年中新聞広告を売って折込チラシやダイレクトメールの企画提案をしていた私としては寂しい限りですが、今や日本の大手印刷会社であった凸版印刷や大日本印刷が商業印刷から撤退して久しいですし、凸版は社名から印刷を外してTOPPANになりましたからね。
電通高松支社の支社次長だった川下寛さんが退職後に紙業界に転職されて、いろいろ楽しく紙について教えてもらった20代後半を思い出しました。もう30年前かー。債権者への対応を何よりも優先して、良いスポンサー企業が出てくることを祈っております。









