リモートワーク

2026年07月16日 03:57

work新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年、在宅勤務・リモートワークの導入によって、日本の働き方は一気に変わりました。

当時は「これからは在宅勤務が当たり前になる」「毎日会社へ行く必要はなくなる」「都心の大型オフィスは不要になる」とまで言われ、私どもも3拠点あったオフィスのうち、学習塾拠点以外を閉鎖しました。私は学習塾拠点へ出社し、他のスタッフは完全リモートワークという体制です。

あの頃は、世界中がリモートワークへ向かっていくものだと、多くの人が信じていました。しかし、その流れは2023年頃まででした。

2024年になると週3日程度の出社を求める企業が増え始め、私どもも五反田駅前へ再びオフィスを構えました。そして2026年の現在はというと、まさかの「毎日出社が当たり前」という方向へ大きく舵が切られています。

一方で、逆に大きく普及したものがあります。それがリモート会議です。

どの企業もデジタルツールを導入したことで、取引先との打ち合わせは大半がオンラインになりました。以前なら1時間の打ち合わせのために往復2〜3時間かけて訪問していた仕事も、今では画面越しに済ませるのが普通です。出張も大幅に減りました。

リアルで会う場合は、「なぜ直接会う必要があるのか」「その結果として何を決めるのか」といった目的が以前より明確に求められるようになっています。

つまり、社外の人とはリモート会議。社内の人とはオフィスで仕事。これが現在の働き方になりつつあるように感じます。

さらにデジタル化によって大きく変わったのが、社員の働き方の分析です。社員証による入退館記録、パソコンの稼働状況、アプリケーションの利用履歴、オンライン会議への参加状況など、社員が「いつ」「どこで」「どのように」仕事をしているかを、以前より細かく把握できるようになりました。

こうした中でアメリカで話題となったのが「コーヒーバッジング」という働き方です。

朝だけ会社へ立ち寄り出社記録を残す。デスクでコーヒーを飲み、同僚と少し話をしたら、自宅や別の場所へ移動して仕事を続ける。会社から見れば出社実績は残りますが、実際にはオフィスへ短時間しか滞在していないという働き方です。

しかし、社員証の入退館記録やパソコンの利用状況などを組み合わせれば、このような勤務実態も以前より把握しやすくなりました。

数年前までは、ほとんどのアナリストが「リモートワークは今後ますます増える」と予測していました。ところが現在は、明確な成果や専門性を示せないままリモートワークを続ける社員に対して、企業側の目が急速に厳しくなるという180度の転換が起きています。

その象徴ともいえるのが、X(旧Twitter)です。2022年にイーロン・マスク氏がTwitterを買収すると、それまで導入されていた「希望すれば永続的に在宅勤務を続けられる」という制度を撤廃しました。原則として週40時間以上のオフィス勤務を求め、在宅勤務は特別な承認がある場合を除いて認めない方針へ変更したのです。

Amazonも2025年1月2日から、原則として週5日のオフィス勤務へ移行しました。アンディ・ジャシーCEOは、社員が同じ場所で働く方が、企業文化を強化し、協働、学習、発明を進めやすいと説明しています。

アメリカ最大級の金融機関であるJPモルガン・チェースも、2025年3月から原則週5日の出社を求める方針へ変更しました。ジェイミー・ダイモンCEOは以前から、リモートワークでは若手社員の教育、企業文化の継承、創造的な共同作業が難しいとの考えを示しています。

Appleも現在は原則として週3日のオフィス勤務を求め、社員証の入退館記録によって出社状況を確認していると報じられています。出社義務を守らない社員には、段階的な警告や処分の可能性も示されました。

Microsoftも2025年9月、社員のオフィス勤務を原則週3日とする方針を発表しました。Teamsを提供し、世界中のリモート会議を支えているMicrosoft自身が、社員にはオフィス勤務を求めているのです。

日本で象徴的なのが、GMOインターネットグループです。GMOは2020年1月、国内で新型コロナウイルスの感染が本格化する前から約4,000人の従業員を在宅勤務へ切り替え、日本で最も早く大規模リモートワークへ移行した企業の一つとなりました。

その後、2023年2月には「週3日出社・週2日在宅勤務」の推奨を終了して原則出社へ移行し、残されていた「週1日程度の在宅勤務推奨」も、2026年7月13日付で完全に廃止されました。2020年には在宅勤務の象徴だった企業が、6年後には毎日出社を基本とする会社へ戻ったわけです。

一方で、完全リモート求人がなくなったわけではありません。むしろ2026年には、リモート求人が再び増加しているという調査結果もあります。ただし、その中身は以前とは大きく違います。

リモート勤務を認められるのは、エンジニア、クリエイター、プロダクトマネージャー、コンサルタントなど、高度な経験と専門性を持ち、会社へ来なくても成果を出せる人材が中心です。

「あなたほどの専門家なら、完全リモートで構いません。当社で働いてください。」そんな求人も増えています。つまり、一般社員には出社を求める一方で、優秀な専門職については働く場所の自由を認め、企業同士で引き抜き合戦が行われるという二極化が進んでいるのです。

2020年当時、リモート会議とリモートワークは、同じ「新しい働き方」として語られていました。しかし2026年の現在、その二つはまったく別の方向へ進んでいます。

・リモート会議は定着する。
・出張や取引先訪問は減る。
・電子契約やクラウドはさらに普及する。
・在宅勤務は縮小・制限される。
・一般社員は出社状況や勤務実績を以前より細かく分析される。
・出社比率の少ない人員は評価や処遇で不利になる可能性が高まる。

つまり今後の働き方は、「在宅勤務か出社か」という単純な二者択一ではありません。一般社員にはオフィス出社を求める。一方で、優秀な専門職には働く場所の自由を認める。このような働き方の二極化が進んでいくのでしょう。

私もコンサルティング業務の中で、企業から「週1日から4日しか出社しない社員の人数と割合データ」を見せられる機会が増えました。そのデータをもとに「この人たちを今後どうするか」という議論をするわけです。

中には、「この仕事が出社しなくてもできるなら、このポジション自体が必要なのだろうか」という、かなり厳しい議論になるケースもありました。

AIの普及によって、人材を選別する動きは今後ますます加速していくでしょう。AIで代替できる仕事は、想像以上のスピードで置き換えられていくと思います。かつて「人間でなければできない」と言われていたスーパーのレジ打ちや飲食店の接客でさえ、自動化やロボット化が進んでいます。

今後の世界がどうなるかは、正直なところ私にも想像がつきません。

しかし、建設、設備管理、施工管理、ビルメンテナンス、警備、清掃など、現場で状況を判断しながら身体を動かす仕事は、事務職よりも人間の役割が長く残るでしょう。実際、50代以上でボイラー技士や施工管理技士などの資格取得へ動く人が増えているのも、その流れの一つだと感じています。

間違いないのは「今日はリモートで」なんて事を言っていると世の中から置いて行かれるというのとだけ。そんな働き方は伝染病蔓延時代の遺物であり、誰もが利用できる制度ではなく、企業が引き留めたい人材に与える待遇の一つへと変わりつつあります。

脱コロナの時代に必要なのは、在宅勤務か出社かを議論することではありません。2030年も今と同じ仕事をしている保証は誰にもありません。それは私も同じです。AI時代をどう生き抜くかではなく、すでにAI時代での淘汰は進んでいるのです

だからこそ、変化を恐れず、次の一手を探し続けながら、これからも挑戦を続けていきたいと思っている私です。

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