ラーメン店
2026年07月03日 01:48
以前ブログに飲食店の経営について相談がある旨を書いたのですが、その時も「飲食店は専門コンサルに頼んだ方が良い」と書いたかと思います。というのも、飲食店には一定の割合で「自宅兼店舗で家族経営」というスタイルの店舗がありまして、さらに「自宅兼店舗は持ち家でローンも無し」というのが結構あるわけですよ。
飲食店の原価は「FLRコスト」と呼ばれる、Food(食材費)/Labor(人件費)/Rent(家賃)で構成されるのですが、自宅兼店舗で家族経営ってお店は、Rが固定資産税だけで、Lも夫婦経営ならほぼゼロ。結果的にFしかかからないわけです。
こういうお店と価格競争したら勝てないのは当たり前だと思うのですが、なぜか多くの飲食店は価格競争に参入します。客単価1,000円以内のラーメン屋とか、客単価4,000円未満の居酒屋等がそれにあたるのですが、そんなの経営コンサルも何もできないわけですよ。
例えば、賃料20万円の店舗で、夫婦2人だけで営業するラーメン店を考えてみます。
・営業:11時〜24時(13時間営業)/定休日週1日(月25日営業)/席数20席
・賃料:20万円
・水道光熱費:20万円
・その他雑費:10万円(通信費・消耗品・保険等)
・目標手取り:夫婦で30万円(税引前38万円)
以上、固定費合計は88万円です。
食材原価率35%(粗利率65%)で固定費88万円をまかなうには、
88万円÷0.65=1,353,846円
つまり月商約135万円、1日あたり約5.4万円の売上が必要になります。
20席でランチ1回転、夜3回転なら1日の客数は80人です。すると必要な客単価は677円。客単価850円なら月商170万円となり、粗利は約110万円。夫婦の手取り50万円も十分見えてきます。一見すると「これなら十分やっていけそうだ」と思える数字です。
でも、現実にはそんなにお客様は来ません。カウンターが常に満席という店はごく一部ですし、4人掛けテーブルが毎回4人で埋まることもありません。2人掛けを1人で使うこともありますし、4人掛けを1人で使われることも普通にあります。
つまり20席あっても、実際に稼働しているのは6割程度という日も珍しくありません。20席の6掛け、つまり平均12席が4回転だと、1日の客数は48人です。
この場合、月商135万円を達成するには客単価約1,125円が必要になります。さらに雨の日や猛暑日、近隣イベントの有無、競合店の出店などで客数は簡単に変動しますから、実際の経営はさらに厳しくなります。
しかも、夫婦2人だけで13時間営業を毎月25日間続けることは、本当に現実的でしょうか。
11時開店なら、仕込みを考えると朝8時には店に入る必要があります。24時閉店後、片付けや売上確認を終えれば帰宅は深夜。通勤時間まで含めると、自宅で過ごせる時間は6時間程度しかありません。これを何年も続けるとなれば、体力的にも精神的にも非常に大きな負担になります。
専門家ではない私には、飲食店の経営相談を受けても、簡単に価格提案や改善提案ができないのです。単なる数字だけなら見れますが、立地・席数・営業時間・客単価・家賃・家族経営or従業員を雇っているのか・・・少し条件が変わるだけで、状況は劇的に変わります。
間違いないのは、持ち家の自宅兼店舗で家賃も人件費もほとんどかからないお店と、テナントを借りて従業員を雇うお店が価格競争をすれば、勝負にならないのは当然です。
そんなわけで、飲食店経営の分からない私には、賃貸物件で飲食店を経営するのであれば、ある程度の客単価を確保できる業態でなければ継続は難しいように思えます。
しかし現実には、新規出店する飲食店の多くはリーズナブルな価格設定で開業します。そして開業する店も多い一方で、閉店する店もまた非常に多いのが現実です。
飲食店は「おいしい料理を作れること」と「経営が成り立つこと」は別問題です。だからこそ、開業前には一度、飲食店専門のコンサルタントなど第三者の視点で事業計画を見てもらうことが、結果的に成功への近道なのではないかと思っています。









