モータースポーツ
2026年06月29日 04:26
MotoGP第10戦オランダGPで、小椋藍選手が最高峰クラス初優勝を飾りました。日本のモータースポーツファンにとって、本当にうれしいニュースです。しかも、この優勝は単なる初優勝ではありません。日本人ライダーとして22年ぶりとなるMotoGP最高峰クラスでの優勝という歴史的快挙です。2004年に玉田誠選手が優勝して以来、長い年月を経て、ついに日本人ライダーが世界の頂点に立ちました。
近年のMotoGPはヨーロッパ勢の活躍が目立ち、日本人ライダーが優勝争いをする姿を見る機会は決して多くありませんでした。それだけに、今回の勝利は日本のファンだけでなく、世界中のMotoGPファンに大きなインパクトを与えたことでしょう。
しかも小椋選手は、決して運だけで勝ったわけではありません。激しいトップ争いを制し、自らの速さで勝ち取った堂々たる優勝でした。レース後には「最高峰クラスで国歌を流せたことがうれしい」と語っていたそうですが、その言葉を聞くだけでも胸が熱くなります。
そして、日本のレースファンにとっては、興奮冷めやらぬまま今週は、いよいよ鈴鹿8時間耐久ロードレースです。
世界耐久選手権の中でも特別な存在である鈴鹿8耐は、日本の二輪レース最大のイベント。国内トップライダーだけでなく、MotoGPやスーパーバイク世界選手権で活躍する海外トップライダーも多数参戦するビッグレースです。
例年は7月最終週の開催で"真夏のバイクの祭典"と呼ばれて来ましたが、今年は完全に梅雨のど真ん中での開催ですから、例年に比べて雨によるドラマが形成されるかもしれません。
私自身も長年レース運営の現場に携わってきましたが、鈴鹿8耐には他のレースにはない独特の緊張感があります。灼熱の暑さ、コロコロ変わる天候、ライダー、チームスタッフ、そして観客が一体となってゴールを目指す姿には、毎年感動させられます。
小椋選手の歴史的優勝で、日本のロードレース界は大きな追い風を受けました。この勢いのまま鈴鹿8耐も大いに盛り上がり、日本人ライダーや日本メーカーが活躍する姿を期待したいと思います。
今週末は、ぜひ鈴鹿から世界へ向けて、日本のモータースポーツの底力を見せてほしいですね。
2026年06月04日 05:25
今年もWRC(世界ラリー選手権)フォーラムエイトラリージャパンに携わる機会をいただきました。毎年この大きなイベントに関わらせていただけることに、心から感謝しています。5年間に及ぶラリージャパンの現場でいつも印象的なのは、トヨタの皆さんが口々に「GRヤリスを作って良かった」と語り合い喜び合っている姿です。
その「トヨタの皆さん」とは、決してレース関係だけではありません。ありとあらゆる部署の方々が、自分たちの仕事の成果としてGRヤリスを誇りに思っている。その光景は他のレース現場ではなかなか見ることができないものです。
世界ラリー選手権(WRC)に出るホモロゲーション(競技車両公認)を取得するには、ベースとなる車両が連続する12ヶ月に「2,500台以上」かつ「シリーズ全体で2万5000台以上」製造される必要があり、今までならその台数ギリギリの製造を狙うのが一般的でした。
ところが、当時社長だった豊田章男氏は全車両の基本骨格(プラットフォーム)を、いくつかの基本サイズにグループ化することから着手。その上でフロントに小型車用Bフレームを、リヤに中型車用Cフレームを組合せ、これらを組み合わせて製造できる専用工場まで用意しました。
GRヤリスは単なるスポーツカーやホモロゲーション取得用モデルとしてでは無く、世界中に販売されることで、モータースポーツ活動の屋台骨を支える車両となっているとともに、トヨタのイメージ戦略に大きく貢献している上、ビジネスとしても成立させている稀有な存在なのです。
しかも2020年から現在まで続くGRヤリスの製造ノウハウは、多くのモータースポーツ用車両の量産ノウハウをトヨタにもたらしました。人間の手で接着剤を盛り、人間の手でスポット溶接をする。それが当たり前という工場を作り出し、沢山の人材を育て上げたのです。
このGRヤリスの存在は、部品メーカー/販売店/工場スタッフ/レース関係者/エンドユーザーといった垣根を超え、これに関わる全ての人々が「世界最高峰のラリーにつながっている」と実感できるアイコン的な所まで成長しているように感じます。
WRCは2027年から大きな転換点を迎えます。新しい「WRC27」規則では、現在のRally1カーとは考え方そのものが変わります。
現在は市販車との関連性が重視されていますが、新規則では共通の安全セルを持つスペースフレームシャシーをベースとし、その外側に自由度の高いボディパネルを装着する方式へ移行します。極端に言えば、レース専用フレームの上にどんなボディを被せることも可能になります。
さらにホモロゲーション取得に必要な台数も10台程度と大幅に引き下げられる方向となっています。メーカーにとっては参戦コストを下げることができ、新規参入のハードルも大きく下がるでしょう。競技としては歓迎すべき変化です。
しかし一方で、私は少し寂しさも感じています。
もし参戦資格を得るために必要な台数が10台程度で済むのであれば、極端な話、レース専用車を10台製作すれば条件を満たせてしまいます。10台ならトヨタワークスチームだけで使い切るわけで、理論上はGRヤリスを販売する必要もなくなるかもしれません。
ただ、それでは工場は育ちません。
人材も育ちません。
販売ネットワークも動きません。
街中を走るファンのクルマも増えません。
GRヤリスが凄かったのは、レースカーを作ったことではなく、「モータースポーツを支える産業構造」を作ったことではないでしょうか。
クルマを作る人が誇りを持ち、生産技術が磨かれ、部品メーカーが成長し、ユーザーがそのクルマを購入し、その利益が再びモータースポーツへ還元される。そんな理想的な循環を実現したことこそが、本当の成功のように感じています。
来年以降、GRヤリスがWRCの舞台を走り続けるのか、それとも全く新しい車両へと生まれ変わるのかはまだ分かりません。しかし私が願うのは、GRヤリスによって築かれたこの素晴らしい仕組みが今後も続いていくことです。
モータースポーツは単なる競技ではありません。クルマを作り、人を育て、技術を磨き、産業を発展させる文化でもあります。
来年のラリージャパンでどんなマシンが走っているのかは分かりません。それでもサービスパークのどこかで、今年と同じように「あのクルマを作って良かった」と語り合う人たちの姿が見られることを願っています。
このたびはありがとうございました。
2026年01月07日 05:30
ベネズエラの件から気になってジョニー・チェコット(ベネズエラ出身)の全日本F2映像を探していたら、わざわざ私がネット上にアップしなくてもYouTubeに動画がありました。その中でも気になったのが1982年のグレート20レーサーズ(リンク)。まだ当時の私はホンダがF1に再挑戦するなんて全く予想だにしてなかったですが、ホンダ側はしっかり準備していたのでしょう。鈴鹿でのレースだというのにヨーロッパF2選手権に出ているスピリットホンダとラルトホンダを呼び寄せてます。
このレースがスゴイのは、その後F1にステップアップした選手の多さ。予選上位順に書くと以下のような感じ。(以下敬称略)
・中島悟
・ステファン・ヨハンソン
・ジョナサン・パーマー
・ティエリー・ブーツェン
・ジョニー・チェコット
・ケネス・アチソン
・クリスチャン・ダナー
(前座F3)・鈴木亜久里
すごい時代ですねー。まだバブルの雰囲気すら無かった時代に、これほどのドライバーを集めてF2やってたんだから、日本のモータースポーツは昔も凄かったんだと痛感しました。
前座のF3では予選ポールポジションインタビューに高橋徹が出て来てるんですよねー。彼はこの翌1983年に電撃的にヒーローズレーシングに加入してF2開幕戦で2位フィニッシュ。富士GCシリーズ最終戦での不幸な事故が無ければF1に行ってたでしょうね。
同じくF3決勝2位の小河等選手もF1目前まで行きましたよね。小川選手も翌1983年にまさかの型落ちマシンに唯一のトヨタエンジンという形でF2参戦してました。(1992年にスポット参戦した鈴鹿F3000での事故により他界)。
当時のF2シャシーはマーチが主流でしたが、この後ラルトに圧倒されちゃうんですよねー。ただし1987年日本のレイトンハウスをスポンサーとしてにF1進出。2年後にはレイトンハウスに買収されました。
このレース、シャシーがマーチ(822,812,802)/スピリット/ラルト/ローラ/トールマン/マウラーと6社8種類も出ているのも珍しいんですよ。いろいろ昔を思い出すことができました。また機会があれば昔のF2も振り返ってみたいと思います。
この動画にはありませんでしたが、当時の鈴鹿F2中継には番組最後に前座のスーパーシビックレースを車載カメラとマイクを付けた津々見友彦(様々なワークス経験後に国内トップフォーミュラ参戦/この日は優勝)がレースをしながらレポートするコーナーがありました。あれも楽しみだったなー。
最後になりましたがピットレポーターの今宮純さんの姿も久々に拝見することができました。コロナ目前の2020年お正月明けに亡くなられたのでもう6年ですね。みなさん素晴らしいレースを魅せてくださりありがとうございます。
ベネズエラのジョニーは大変だと思いますが、何事も無く無事であることを祈っております。
2025年12月07日 06:59
とんかつ・かつ丼の全国チェーンに「かつや」という店があります。ここは一度行くと翌月末まで使用可能な100円引券をくれるのですが、ケチな私はこれを忘れたら店に入りません。出張が続いたりして翌月末まで1度も行かない事態になると、100円引券が無いので誰かにもらうまで行かないと言うのが結構ありました。今はかつやアプリで常にクーポン保有状態になるので一安心しております。(ただ食券自販機がアプリクーポンのQRを認識しやがらないのですが・・・)
値引きというのは販促プロモーションの武器として使えるのは事実ですが、このように逆の効果を生み出す場合も多く、たびたびミスタードーナツが陥いる「ミスドクラブスクラッチの時しか売れない」「100円の時しか売れない」「100円&120円の時しか売れない」は逆効果の良い事例かと思います。
昨日、日経新聞にフォルクスワーゲン(以下VW)の折込チラシが入っていました。見ると在庫車一掃セールで車種によって35万円から55万円の値引きがある感じ。BYDは楽天スーパーセールで20%OFFをやっていて、こちらも車種によっては100万円を超える結構な値引き額となっています。
これ以前BMWの値引きがすごすぎる話しでも書きましたが、さすがにココまで値引いちゃうと定価で買う人なんていなくなるわけですよ。もはや定価がウソってレベル。
以前は自動車の大幅値引きって「限定1台」って書いたんですよ。あとは「抽選で各10名様にご購入サポート100万円/50万円/30万円が当たる!」とかね。ところが今は売れなさ過ぎて何台でも値引いちゃう感じ。これだと売る時も価値が下がっちゃうので買う人が減りますし、もっと安くなるまで待というって人も増えるでしょう。
トヨタなんて値引きしてくれても10万円以内の端数だけですし、値引きキャンペーンを待ってるとそのうち定価が上がっちゃうのでえらい差です。
こういう値引きプロモーションって誰が提案するんですかね?以前なら広告代理店のプロモーション(ストラテジック)プランナーでしたが、こんな爆発的値引きをチラシやウェブで大々的にやってしまうようでは1年間を通した販促施策があるとは到底思えませんし、複数年レベルでブランド価値を高めるなんて目線も無いのでしょう。
自動車の場合は「ロイヤルカスタマー」という「ブランド&商品に惚れ込み愛着と信頼を寄せる人」を育てる必要があり、これがF1やWRCといったモータースポーツをやる理由でもあったりします。
そこを育成するにはまず「買ってくれる人=カスタマー」が必要で、そこから「よく買ってくれる人=グッドカスタマ―」を作っていかなければなりません。それは今値引きして「安ければ買う人」を引き寄せるのとは真逆の発想が必要なんです。
VWにはビートル&ゴルフファン。BMWには2002&初代3シリーズファン。比較的低価格だが高品質でジャーマンクラフトマンシップが感じられる車を愛するというロイヤルカスタマーがしっかりいたのですが、今ってここに刺さる車が無いような気がするのは私だけでしょうか。
ましてやBYDともなると海の物とも山の物とも分からないわけで、そこをブレイクスルーするには「5年後50%買取保証(無事故の場合)」や「バッテリーを含めた主要機関10年保証(無事故の場合)」といったものが必要でしょうし、「電気自動車初購入の方にご自宅用充電設備無料設置」なんてのも効果があるでしょう。
ちなみに私はVWだとゴルフ2とポロ2(初代正規ディーラー物)に、BMWだとBMW520i(E28)とBMW528i(E39)に乗ってました。すべていい車だったのですが、高温多湿の日本で乗るには日本車が最高だし、日本車って新車価格が安いのに下取り価格が高いんですよねー。
値引きプロモーションは戦略的にやらないと、激しい買い控えを誘発したりブランド価値を棄損してしまうと思うので、うまくやったほうが良いかもと思いました。1年は52週間なので、まず52週間のマーケティングプラン作成が必要でしょうね。
(やっぱりブログが長くなってすみません。明日こそは短くしたいと今は思っております)









