モリゾウ
2026年09月12日 06:22
GAZOO Racing(以下GR)が、入門用レーシングカート「GR KART」を9月10日から発売しました。以前このブログでも、長年にわたって日本のレーシングカートを支えてきたヤマハが、2027年末をもってレーシングカート事業から撤退すること、そして、その一方でトヨタが入門用レーシングカートの量産を計画していることについて触れました。
ヤマハは1973年から約50年にわたってレーシングカート事業を続けてきたメーカーです。そのヤマハが撤退するというニュースには寂しさを感じましたが、そのタイミングでトヨタが新たにカートの世界へ入ってくる。これは非常にありがたい話だと思っていました。
ただ、まさかこんな価格で出してくるとは思いませんでした。GR KARTのメーカー希望小売価格は、なんと税込385,000円です。
もちろん38万5000円という金額自体は決して安い買い物ではありません。しかし、これは遊園地などにあるレンタルカートではなく、自分で所有してサーキットを走るためのレーシングカートです。
しかも、単に価格を安くしただけではありません。私が「これはすごい」と思ったのが、徹底的に「普通の家族が所有すること」を考えて作られていることです。
まず、子どもから大人まで1台を共有できます。ペダル位置をワンタッチで動かせるペダルスライドと、ステアリングの角度を変えられる機構を採用し、身長135cmから185cmまで対応。つまり、お父さんが乗ったあとにポジションを調整して子どもが乗る、といった使い方ができるわけです。
そして、さらに素晴らしいのが運搬方法です。レーシングカートを始めようとすると、カート本体だけ買えばいいという話ではありません。どうやってサーキットまで運ぶのか?家のどこに置いておくのか?整備はどうするのか?こうした問題が次々に出てきます。
ところがGR KARTは、ノアやヴォクシーといった普通のミニバンに、分解せずそのまま積載できるように設計されています。さらに自宅では立てた状態で保管することもできます。
しかも、単に「立てられます」という話ではありません。立ててもガソリンやエンジンオイルが漏れにくいように考えられていて、エンジンオイルキャッチタンクやダイヤフラム式キャブレターを採用するなど、縦置き保管まで最初から想定されています。
そして駆動にはチェーンではなくベルトを採用。チェーンオイルによる汚れをなくし、オートテンショナーによって張り調整も不要にするなど、メンテナンスの手間まで減らしています。これはモータースポーツの底辺を広げるために考えられた本気のレーシングカートだと思います。
そして、もう一つ「これは本気だな」と感じたのが、購入後の講習システムまで用意されていることです。
GR KARTは、販売店で車両を買って「では、あとは自分でどうぞ」という商品ではありません。初めてカートに乗る人のために、動画による学習やオンラインテスト、さらにカートコースでの実技講習まで用意されています。
考えてみれば、これも非常に重要です。今までレーシングカートに縁のなかった親子が「面白そうだから買ってみよう」と思っても、最初に困るのは「買ったあと、どうすればいいの?」ということだと思います。
どこで走ればいいのか。どうやってカートを扱うのか。走行前に何を確認するのか。そしてサーキットでは、どんなルールやマナーを守ればいいのか。経験者にとっては当たり前でも、初めての人には分からないことだらけです。GR KARTは、そこまで含めて入口を作っています。しかも、車両価格には1名分の実技講習料も含まれています。
販売についても面白い仕組みです。全国すべてのトヨタ販売店で売るのではなく、発売時点では全国36カ所のカートコースと7カ所のGR Garageが販売拠点となっています。
関東では、クイック潮来、レオンサーキット、井頭モーターパーク、フェスティカサーキット栃木、榛名モータースポーツランド、サーキット秋ヶ瀬、本庄サーキット、新東京サーキット、茂原ツインサーキット、大井松田カートランド、中井インターサーキットなどで購入できます。
GR Garageでは、MTG日の出町、つくば、浦和美園、高辻、京都伏見、観音、沖縄の7店舗が販売拠点となっています。
つまり、売る場所についても「カートを買ったことのない人が普通のディーラーで車両だけ買ってしまう」のではなく、実際にカートやモータースポーツに接することのできる場所を入口にしているわけです。これも非常によく考えられていると思います。
そしてこれの凄いところは、世界企業トヨタが手掛けているということ。そしてTOYOTA GAZOO Racingは、WRC、WECをはじめ世界のモータースポーツで活動しています。
今のところGR KARTは国内での販売ですが、もし将来これを世界で販売するようになったらどうなるのでしょう。同じGR KARTで子どもから大人までモータースポーツを始められ、世界各地のカートコースで走るようになる。
さらに同じ車両を使ったワンメイクレースやイベントが各国で開催されるようになれば、かなり面白いことになると思います。
もちろん、現時点で世界販売が発表されているわけではありません。でも、世界中でクルマを販売し、世界中でモータースポーツを戦っているトヨタだからこそ、そんな未来をちょっと期待してしまいます。
もしかすると将来は世界へ。いやぁ、これは素晴らしいです。モータースポーツの裾野を広げるというのは、こういうことなのかもしれませんね。モリゾウさんの行動力に脱帽です!
2026年01月08日 06:50
昨日トヨタが発表した今年の世界耐久選手権レースへの参戦体制発表において、これまでのチーム「TOYOTA RACING GmbH」の社名が「TOYOTA RACING GmbH」に変わったとの報告がありました。同じタイミングで「TOYOTA GAZOO RACING」が「GAZOO RACING」へ名称変更するとのニュースリリースも出され、こちらからはトヨタの名前が消えました。
「GAZOO」とは画像の意味で、当時課長だった豊田章男会長が1996年に立ち上げた中古車画像システムのことで、まだトヨタのホームページすらトヨタ&電通の有志で作っていた時代に、ネットで中古車を売ろうと言う画期的な試みでした。
当初は「GAZO」にするはずだったらしいですが、誰かが書き間違え「GAZOO」となり、一時はインターネットポータルのようにフリーメールアドレスを発行したり、ブログサービスを実施したり、物販のEコマースをやったりと幅広く展開し始めました。
中古車のネットオークションを始めたのもGAZOOでしたが、2005年の愛知万博でイメージキャラクターとなった「モリゾー&キッコロ」にちなんでなのか豊田章男氏がブログ名やレースの登録名に「モリゾウ(以下モリゾウ)」とつけるようになりました。
2007年にモリゾウが偉大なる草レースとも呼ばれる「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」に参戦する際、会社から公式活動として認められずチーム名は「Team GAZOO」でドライバー名は「モリゾウ」となり、ここからGAZOO&モリゾウの逆襲が始まります。
この頃はトヨタはF1に「TOYOTA Motorsport GmbH」という会社が「Panasonic TOYOTA RACING」の名前で参戦していたのですが2009年を最後に一度も優勝できないまま撤退。
逆に草レース中心で活動していた「Team GAZOO」が草の根モータースポーツ普及活動の中で徐々に輝き始めます。
そしていつしかこの「GAZOO」に「TOYOTA」の名前が付くようになり、気が付けばトヨタワークス活動の代名詞ともなり、それこそ市販車のスポーツモデルに「TOYOTA GAZOO RACING」をイメージさせる「GR」が与えられるようになりました。
私は以前から「ガズーとモリゾウってトヨタに戦いを挑む反逆児じゃなかったの?」と思っており、どんどんエリート化していく姿に違和感を感じておりました。
トヨタは2017年にWRC(FIA世界ラリー選手権)へ復帰するのですが、ここに「TOYOTA GAZOO RACING(TGR)」の名前とカラーリングの車が多数走り、ワークスチームもプライベーターも開発車両もGRを名乗っていることにも違和感がありました。
それでも今も残り続ける「gazoo.com」というサイトは、様々なサービスが消えてスリム化したとはいえ自動車メーカーの枠にとらわれない記事を発信し続けていて、当初活動の志を見せてくれています。
今回の「TOYOTA GAZOO RACING」が「TOYOTA RACING」と「GAZOO RACING」に分かれるのはこの違和感を解決させてくれるものだと感じております。
「TOYOTA RACING」はワークス活動。「GAZOO RACING」はトヨタだけにとらわれないレース&自動車開発。「GAZOO SPORTS」はモータースポーツにとらわれないスポーツ支援。こういう棲み分けなんですかね。
個人的には明日からの東京オートサロンにGAZOOブースがあって、スバルやダイハツのGRグレードが並んでるだけじゃなく、メルセデスやBMWのGRチューン等も展示されてたらいいのになーとワクワクしております。
まずは200万円以下で発売されると噂の「ダイハツGRスポーツ」と、昨年モデルチェンジしたダイハツムーブの「ムーブGRコンセプト」、そして先日のジャパンモビリティショーで発表されたコペンの後継車K-OPENの「K-OPEN GR」に期待して幕張メッセへ行きたいと思いまーす。









