マレーシア
2026年06月16日 05:49
日本国内では人口減少が続き、飲食業界にとっては厳しい環境が続いています。とくにコロナ禍を境に、お酒を伴う会合が激減したことは大きな影響を与えたようです。とはいえ、撤退する店舗がある一方で新規出店も絶えないのが飲食業界の凄さ。激しい競争が続いていますが、都内中心部については完全な飽和状態とも言え、賃料や人件費も高騰していることから、利益を上げるのはかなり厳しい環境となっています。
もちろん国内で成功する余地はまだまだあると思います。しかし、多店舗展開を目指すとなると、良い立地と良いスタッフを確保するのは至難の業です。そこで若い経営者の方々には「海外進出」という選択肢もぜひ検討してほしいと思っています。
海外進出というとアメリカやヨーロッパを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし私が特に注目しているのは東南アジアです。親日的な国が多く、日本食の人気も高いことから、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアあたりは有力な進出候補と言えるでしょう。
例えばインドネシアを例に挙げると、人口は約2億8,500万人。中国、インド、アメリカに次ぐ世界第4位です。首都ジャカルタの人口は約1,100万人ですが、周辺地域を含む首都圏(ジャボデタベック)では約4,200万人と、世界最大級の都市圏となっています。
日本は東京一極集中と言われていますが、東京23区の人口は約1,000万人、東京都全体でも約1,425万人です。そう考えるとジャカルタ首都圏の規模の大きさが分かっていただけると思います。しかも高齢化が進む日本とは対照的に、インドネシアは若い世代が非常に多いのです。
とくにジャカルタはインドネシア経済の中心地であり、全国の富が集中しています。その層に支持されているのが大規模ショッピングセンターです。イオンモールやららぽーと規模の巨大モールがジャカルタだけでも30以上あり、実際にはさらに多くの大型商業施設が存在しています。
「とはいえ物価が違うでしょ」と思われる方も多いかもしれません。
では吉野家を例に挙げてみます。ジャカルタの吉野家では看板商品の牛丼(Original Beef Bowl)が日本円で約500円前後。大盛りやトッピング付きの商品になると700円前後の商品も珍しくありません。
そんなわけで、吉野家だけでなく、丸亀製麺、すき家、大戸屋、やよい軒などの日系チェーンが多数出店し、継続的に店舗を増やしています。つまり「日本食は高級品だから売れている」のではなく、「日本食が日常的な外食ジャンルとして定着している」のです。
日本の飲食店経営者が海外進出というと、「大企業だからできる話」と思いがちです。しかし実際のインドネシア市場を見ると、必ずしもそうではありません。
日本国内では数店舗規模のブランドが、インドネシアでは大成功している例が数多くあります。日本で1店舗しかないような小さな店が、ジャカルタで複数店舗を展開しているケースも珍しくありません。現地資本と組み、フランチャイズ方式で持ち帰り唐揚げ専門店を展開している例などもあります。
「日本で全国チェーンになってから海外へ」ではなく、「日本では小規模でも海外で大化けする」。そんなケースが実際に起きているのです。
他の東南アジア各国に目を向けると、タイは日本食市場が成熟していて成功事例が多い反面、競争も激しく、「日本食だから売れる」という時代は既に終わりつつあります。ベトナムは経済成長率が高く魅力的ですが、都市が分散しており人口は約1億人規模。マレーシアは所得水準が高い一方で人口は約3,500万人程度です。
そう考えると、約4,200万人の巨大首都圏を抱えるジャカルタには非常に大きな可能性があるように感じます。
もちろん、「じゃあお前がやれ」と言われそうですが、インドネシア進出が簡単というわけではありません。最大の課題は法規制です。日本国内とは比較にならないほど確認事項があります。
・外資規制
・会社設立手続き
・ハラール対応
・労務管理
・輸入規制
・税制
などなど、事前に調べるべきことは山ほどあります。残念ながら私は「これから10年かけて海外で勝負するぞ!」と言える年齢ではありません。だからこそ、これからの若い飲食店経営者にはぜひ挑戦してもらいたいと思っています。
私が勧めるとすれば、まずはジャカルタの大型ショッピングセンター内フードコートへの小規模出店です。大きな投資をする前に、現地客の反応や価格帯、人気商品の傾向を確認できますし、イニシャルコストも比較的抑えられます。
人口約2億8,500万人、首都圏約4,200万人という巨大市場を前にすると、日本国内だけを見ているのは少々もったいない気もします。
人口減少が進む日本と、若い世代が増え続けるインドネシア。飲食店経営者にとって、今後10年、20年を考えたときに一度は真剣に検討してみる価値のある市場かもしれませんよー。
PS) 冒頭の写真は「イオンモール ジャカルタガーデンシティ」です。都心から1時間ほどかかる郊外に位置していますが、そこでも結構な規模です。なんとなく市場規模が分かっていただけるのでは無いでしょうか。









