フォグランプ
2026年06月03日 02:11
インターネットもスマホも無い時代、車やバイク好きの人々は、何の知識も無いまま「改造」や「整備」と称する無茶苦茶なチャレンジに挑んだ物でした。若い人なら絶対に信じないと思いますが、その昔は男なら車やバイクに乗ってるのが当然。だからカー用品店も日本中どこにでもあり、そこでイロイロ調達しては、出たとこ勝負での改造に挑むのが普通と言う時代でした。
今はエアバッグが付いているので絶対にチャレンジしないであろうハンドル交換は基本メニュー。ナルディーやモモといったメーカーのハンドルを購入して、良く分からないまま純正ハンドルのセンターパッドを外し、出て来たネジを左に回して力任せにハンドルを引っ張って外し、買って来たハンドルの取り付け方が分からず途方に暮れるというのまでがセットでした。
実際には車種別のステアリングボスという部品が必要で、それを取り付けるネジを締めるにもトルクレンチという特殊な工具が必要なのですが、それも後からカー用品店の人や、詳しい(かどうか怪しい)人に教えてもらって取り付けたりしたものです。
フォグランプもDIYメニューの基本。パッと見でカッコよさそうな場所に取り付けるのですが、車両の鉄で出来ている場所に付けないといけないのを知らず、プラスチック部分に付けちゃってグラグラ明かりが揺れたり、配線にリレーやヒューズを付けるのを知らずにメインヒューズを飛ばすなどもアルアルでした。
もう一つの定番がウインドウフィルム。昔は貼るだけで窓を黒くできるフィルムが普通に売っていて、これを霧吹きで水を吹きながら取り付けるのが定番でしたが、結構な確率で失敗してグチャグチャになり、成功しても黒すぎて運転に支障が出たりとイロイロ問題がおきたものでした。
オイル交換も自分で頑張るのですが、オイルフィルターを回す方法が分からず、手持ちのペンチなどを使って頑張って回したり、ちゃんと締まらずオイル漏れする等もやったものです。
今思えば、よくあんな状態で整備していたなと思います。正しい工具も無い。正しい知識も無い。サービスマニュアルなんて持っている人は少数派。分からないことがあれば、近所の詳しい先輩やカー用品店の店員さんに聞くしかありませんでした。
もちろん失敗も山ほどしました。
・ネジをなめる
・部品を壊す
・配線を間違える
・買ってきた部品が付かない
・組み上げたら余ったネジが出てくる・・・
今ならSNSに写真を載せれば数分で正解が返ってくるようなことでも、当時は自分で考え、自分で試し、自分で失敗しながら覚えるしかありませんでした。
でも、だからこそ身についた知識もあります。どんな時にどんな工具が必要か。どの部品はどんな役割か。自分のお金と時間を使い、自分で痛い目を見た経験はなかなか忘れません。
今はYouTubeを見れば、プロ顔負けの整備動画が無料で見られます。車種ごとの交換方法も検索すればすぐ出てきますし、必要な工具まで紹介されています。昔の私が見たら夢のような環境です。その一方で、少しだけ思うこともあります。
今の若い車好きやバイク好きは、失敗する前に正解へたどり着ける時代になりました。それは素晴らしいことです。無駄な出費も減りますし、安全面でも大きなメリットがあります。
ただ、人間というのは不思議なもので、自分で失敗した経験からしか学べないこともあります。動画で見た知識と、自分でネジを折ってしまった経験は別物です。人は様々な失敗を通じて、「次はこうしよう」という知恵を磨いたのだと思ってます。
その昔はカーナビやグーグルマップなんてありませんでした。だからこそ地図を見て目的地を目指し、道を間違えるたびに何度も地図を開き直しては、必死に道を覚えたのです。
今の若い人達は道を覚えないそうです。それはきっと、最初からカーナビやグーグルマップが正解のルートを指示してくれるから。確かにゴールへは間違いなく近道ではありますが、それは「ナビの指示通りに動いた」だけであって、本当の意味での知識や知恵としては身についていないわけです。
「失敗だらけの人生こそ面白い」これは車やバイク、ドライブだけの話ではありません。仕事もそう。人付き合いもそう。お金の使い方もそう。振り返れば、私の人生も失敗だらけでした。失敗して恥をかき、怒られ、金銭的ダメージも受けました。
それでも、その失敗の積み重ねが今の自分を作っています。成功から学べることは意外と少なく、失敗から学べることは驚くほど多いものです。
だから私は、「失敗しない人生」よりも「たくさん失敗した人生」の方が価値があると思っています。もちろん同じ失敗を何度も繰り返すのは困りますが、挑戦した結果の失敗なら大歓迎です。
何もしなければ失敗もしません。でも、何もしなければ成長もしません。
昔、ハンドル交換で途方に暮れたことも、フォグランプの配線でヒューズを飛ばしたことも、オイルまみれになりながら整備したことも、今となっては笑い話です。そして、その笑い話(経験)こそが、人生の財産なのだと思います。
「失敗は成功の母」と言いますが、私は少し違う気がしています。失敗は成功のためだけにあるのではなく、人間を成長させるためにあるのだと。だからこれからも、多少の失敗を恐れずに新しいことへ挑戦していきたいと思います。
動画の予習やナビのルート案内もいいですが、たまには「出たとこ勝負」のワクワク感を味わうのも悪くありません。どうせなら、人生の最後に「あれも失敗したなあ」「これもやらかしたなあ」と笑いながら振り返れるくらい、失敗だらけの人生の方が面白いですからね。
若いみなさんはAIで失敗しない怒られない人生を送るのも楽しいかもしれませんが、積極的に失敗を楽しむことで得られる素敵な人生があるってことも伝えたいと思っている私です。









