バッテリー
2026年04月19日 06:48
1989年に登場したのが、モトローラの名機「マイクロタック」。それまでの“携帯電話”の常識を大きく変えたモデルでした。それ以前に主流だったのは、いわゆるショルダーホン。お笑い芸人の平野ノラさんのネタでおなじみの、あの“肩掛け電話”です。
その流れを汲む端末として、NTTから登場したのがTZ-802。とはいえ「携帯」とは名ばかりで、ポケットに入るサイズでは到底ありません。
手提げバッグのように持ち歩く前提で、重量は約900g。改良型のTZ-803では軽量化されたものの、それでも約640g。しかも手提げスタイルが廃止されストラップ式になったため、結局は収納用のバッグが必要という、本末転倒な状態でした。
さらにバッテリー性能も厳しく、通話すればすぐに電池切れ。待ち受けも実質5時間程度しか持たないため、予備バッテリーを複数持ち歩くのが当たり前。とにかく「重くて大きくて不便」な存在でした。
そこに登場したのが、関西セルラーホン(現 KDDI)。同社が投入したのが、モトローラ製「マイクロタックHP501」です。
重量は約305g。頑張ればポケットにも入るサイズで、当時としては驚異的な小型化でした。連続待ち受けは約8時間、通話も2回程度は可能と、実用性も大きく向上。
この端末を導入するため、関西セルラーはモトローラの通信方式を採用。これが結果的に、ドコモ系とau系で異なる通信方式が並立するきっかけになったとも言われています。
この動きに対し、さすがのNTTも危機感を抱きます。電電ファミリー(NTTの旧社名が日本電信電話公社=通称電電公社だったので下請けメーカーがそう呼ばれた)等に「とにかく小型化しろ!」という号令が発せられました。
巻き込まれたのは松下通信工業、NEC、三菱電機、富士通といった面々。こうして後の「mova(ムーバ)」へとつながる、小型端末の開発競争が始まっていきます。
・・・とはいえ、この時代に爆発的に普及したのは携帯電話ではありませんでした。
主役はポケベル。
そして、いまでは考えられませんが「偽造テレホンカード(テレカ)」も出回っていました。
街では謎の外国人が、50度数(500円分)の偽造テレカを「30枚1000円」で販売。それを使って公衆電話からポケベルに連絡する、という文化が広がっていきます。
その流行は、1993年に秋元康プロデュースのドラマ「ポケベルが鳴らなくて」が放送されるほど。この頃は、まだ携帯電話の時代ではなかったのです。
転機となったのは「デジタル携帯電話」の登場でした。
それまでのアナログ方式に比べて、
・バッテリーの持ちが向上
・電波の利用効率が改善
といったメリットがあり、各社は一斉にデジタル対応の基地局整備を進めていきます。そして1995年1月、阪神・淡路大震災が発生。この出来事が大きなターニングポイントとなり、「どこでも連絡が取れる手段」として携帯電話の価値が一気に認識され、普及が加速していきました。
そこに携帯電話と並行して家庭用コードレスホンを屋外に持ち出せるようにするという考えの「PHS」という物も導入され、軽くて小さくてバッテリも長持ち(ただし電波が弱いので基地局が死ぬほど沢山必要で高速移動に弱い)のPHSの普及も始まります。NTTは携帯電話のNTTドコモに対してPHSのNTTパーソナルという会社も設立しました。
しばらくすると本体に登録できる電話帳に漢字も使えるようになり、件数は50件から100件,500件と一気に増え、着信番号が表示されるナンバーディスプレイというサービスが始まって、電話帳に登録されていると名前が表示される機能も追加されました。
そういえば、1998年長野オリンピックにNTTグループが「腕時計型PHS」というのを関係者用として大量に貸与してくれたのですが、有線ヘッドホンを腕につけた本体から繋ぐ必要があり、話すときは本体に話す必要があるチョー使いにくい物。
電話をかけるにも十字キーすらなく音声でかける必要があり、常に大きな音が鳴っている上に小声しか出せない運営スタッフは、オリンピック会場で番号1つ認識させるのすら簡単では無く、ブレスレットのように腕に着けつつ、ドコモのP205という携帯電話を持たされていました。
いま振り返ると、なんとも懐かしい時代です。
当時はメールもできず、写真も撮れない。メールサービスの開始は1999年、カメラ付き携帯の登場は2000年。ほんの少し前まで「通話しかできない機械」だったとは、今では信じられません。
ちなみに、私が初めて携帯電話を手にしたのは、日本でようやく1号機が登場したばかりの1987年。当時働いていたカナダの会社から貸与されたユニデン製の端末。当時はモトローラのDynaTACが小さく高性能と言われていましたが、それより小さく機種でした。
今考えれば、当時日本ではまだ携帯電話が一般的ではなかったわけで、とんでもない先取りをしてい
たことになりますね。
あれから約40年。肩掛けバッグのような電話機は、今や手のひらサイズのスーパーコンピューターみたいな物になりました。次の40年後、私たちの手元には一体何が残っているのでしょうね。
長い昔ばなしにおつきあいいただきありがとうございました。
2026年02月25日 03:47
ホンダが新たな電動二輪車「ICON e:」を3月23日に発売すると発表しました。原付免許で乗れる電動スクーターとしては、やっとまともな商品が出て来たなという感じです。現在は2023年8月に発売開始した「EM1 e:」という車種があるのですが、カタログ値では一充電で53km走れるとしているものの、満充電にしてもあっという間にバッテリーが切れてしまうという問題がありました。
それでいてナゾに車体/バッテリー/充電器がバラバラに売られ、価格は車体が156,200円(税込)、バッテリーの「Honda Mobile Power Pack e:」が88,000円(税込)、充電器の「Honda Power Pack Charger e:」が55,000円(税込)と合計30万円弱もするんですよ。
しかも採用している着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」がシート下にあってメットインスペースが無く、さらに発火の可能性アリで昨年7月にリコールが出たりとなかなかに難しい車種でした。
新たに発売されるICON e:は価格が22万円(税込)で一充電走行距離が81kmと劇的に伸びました。しかも今回のはバッテリーの搭載位置が床フロアになったことで、ちゃんとシート下にメットインスペースがあるのです。
当然ですがバイクの安定性を考えても重量物が高い位置にあるより低い位置にあるほうが良いわけで、バッテリーがシート下から床フロアに変わったことで、劇的に走りも良くなっていると思われます。
じつはこの車種、2024年10月にインドネシアで発表され、ベトナムやパキスタンでも発売されていて、なんで日本だけ変なの売ってるのかな?と思っていたのですが、ホンダは日本でHonda Mobile Power Pack e:と互換性のあるGachaco(ガチャコ)という交換性バッテリーを普及させようとしていたので、無理やりそれが搭載できる車種を売っていたのだと思います。
このGachacoという交換性バッテリーですが、東京ですらほとんど普及していないので実用化には程遠い状態。もう普及をあきらめたのかもしれません。
個人的にはこの方式でメットインスペースのある原付二種スクーターが出て来れば買いたいのですが、まだホンダの原付二種電動バイクはHonda Mobile Power Pack e:を採用しているんですよねー。もうこの変なバッテリーパックをあきらめればいいのに・・・。
とはいえ、まずはホンダからもまともな電動スクーターが出てきたことに安堵。ただ東南アジアより遅れて発売される日本の位置づけにガッカリ。もはやホンダ二輪部門にとって日本は本社があるってだけで付録のような存在なのかもですね。
2025年12月15日 06:39
世界中の自動車メーカーで、日本市場向けに軽自動車を本気で開発した会社なんてのはこれまで1社もありませんでした。せいぜい海外で販売している車両を少し手直しして軽規格に合わせた程度が関の山。でも今回、中国BYDは軽自動車で一番人気の高い軽ハイトワゴン市場にピッタリ合わせた車種「RACCO」を開発し、先日の東京モビリティショー2025でデザインを公開しました。ただ、価格やバッテリー容量が公開されなかったので詳細は不明です。
不明と言ってもバッテリーシールが撮影されていて、224Vの160Ahとなっているので35.8kWhで、ホンダN-VAN eの29.6kWh(245km)や日産サクラの20kWh(180km)より航続距離は長いと思われます。
しかもバッテリー電圧が224Vと低いので、市中にある高電圧の超高速急速充電器の使用では無く、家庭用の単相三線電源から200Vを取り出して自宅車庫での給電を考えていると思われます。もしかすると自宅用給電施設を販売開始キャンペーンで無料プレゼントしてくるかも。
BYDはRACCOにはショートレンジとロングレンジがあると発表していて、普通に考えると35.8kWhがロングレンジなのでショートレンジは25kWhなのでしょう。ただ、35.8kWhがショートで50kWhがロングだと価格次第では驚異的な存在になることも考えられます。
軽ハイトワゴン市場は、普通車にハイトワゴンを持たないホンダが、N-BOXで上級軽自動車希望者からFREED購入者に至るまでの幅広い層を取り込む戦略を取っていて、ノンターボだけで安いN-BOX、ターボもあって上質なカスタム、遊び心のあるジョイと3方向展開で上質化を図って来ました。
当然、軽自動車が主戦場であるスズキ&ダイハツもホンダ対抗策として上質化路線を取って来たため、今や軽自動車といってもハイトワゴン市場は超高額車だらけ。先日フルモデルチェンジしたデリカミニは一番安いGグレードでも税込約200万円します。
ターボ付きなら300万円超えも珍しくない市場だけに、BYDがロングレンジで300万円を切る価格で登場し、新車購入者に給電設備無料設置なんてやったら、世界で最も電気自動車の普及が遅れていると言われる日本にも風が吹くかもしれませんね。
そんなこと書いておりますが、本日東京に戻れるかはまだ未定です。いろいろ各方面にご迷惑をおかけしますが、自然現象に伴うものですのでご容赦ください。帯広駅前で立ち往生車両の雪かきを楽しんでいたら全身筋肉痛になっている私です。
2025年11月27日 07:10
スクーター天国の台湾ですが、じつは驚くほど電動スクーターが普及してます。写真は警察車両ですがこれも電動。このバイク「Gororo」といいてして、町中に「Go Station」という24時間利用可能なバッテリー供給所があって、月額定額制のサブスク方式で利用できる仕組みです。だからいちいち家や職場での充電は不要。ホンダなどが頑張ってる「Gachaco(ガチャコ)」の元ネタですな。
Gocoroスクーターのバッテリーはシート下に2個入っているので、どちらか1個が電池切れになったら充電済みのに交換すればいいだけなので、虎の子の1個だけが搭載されてるタイプとは安心感が違うので、急速にシェアを伸ばしている感じです。
それにしても、警察車両を電動にするって正しい方向性ですよねー。日本もバイクメーカーが積極的に交番の自転車を全部無料で電動スクーターにするプロジェクトを展開して、代わりに町中の交番にバッテリーステーションを置かせてもらえばいいのと思いました。
電動スクーターが普及してる国ってEV普及率も高いんですよ。まさに中国がいい例。あそこはEV普及を始める前に電動スクーターは免許不要で乗れる形にして爆発的な普及を実現しました。ちょうど上海万博前後だったので15年ほど前ですねえ。
GororoはiPhoneやアップルウォッチを鍵にすることもできるんですよ。もちろん自分の停めたバイクを探すのもiPhoneで可能。いろいろ進んじゃってますねー。日本も学ぶべきところを学ばないとダメだなーと感じております。
2025年04月29日 05:33
電気自動車(以下EV)の課題は充電設備と言われた時代は過去の物となりました。今はEV用充電設備は各所にありますし、自宅前に駐車場がある場合は自宅にEV充電設備を設置するのも手軽にできるようになり、100Vコンセントから充電可能な車両もあります。
そうなると課題は充電時間と走行距離になるのですが、当然ながらバッテリーメーカーはより大容量で軽量で充電時間の短いバッテリー開発を、モーターメーカーは少ない電気使用量で走れるモーター開発を努力することになります。
世界中に電車が走っていることから分かるように、モーターの開発段階は究極レベルに達していて、あとはバッテリーの技術革新が待たれている段階ですが、現段階でも低温に弱いとか重いと言った課題がありつつも、既存のバッテリー技術搭載車が多数出ています。
電気自動車生産台数No.1は中国で、レアアース埋蔵量No.1も中国。当然ながらリチウムイオン以外のバッテリー開発も積極的。今や自動車メーカーとしても名を連ねるBYDもバッテリーメーカーですが、世界最大のEVバッテリーメーカーはCATLと言う会社です。
充電バッテリー技術が進化したのは誰もが分かるように携帯電話やスマホの普及でした。日本のソニーがリチウムイオンバッテリーを開発しましたが商業的には儲け損ね、TDKも大成功とは行きませんでした。そんな中でBMWのEVバッテリー開発でノウハウを構築したのがCATLでした。
このCATLは、昨年マイナス40度でも普通に動作するナトリウムイオンバッテリーを発表していましたが、先日上海のイベントで発表したのは以下の3つのトピックスでした。
1,リン酸鉄リチウムイオンの2代目Shenxing(5分間の充電で520km走行可能)
2,ナトリウムイオンバッテリーNaxtra
3,デュアルパワーバッテリー(片側が壊れてももう一方が動く)
これ、上記1だけでも先日のBYDが発表した5分で400kmを遥かに凌ぐし、ナトリウムはリチウムより大量にあるため原料価格は30分の1以下。しかもCATLはNaxtraを今年6月には大型トラック向け始動用バッテリーとして生産開始。一般車両も12月には開始するそうです。
輸入車ってボンネットに超巨大バッテリーを積んでるのが多く、メルセデスなんてそれを2個も載せてたりするのですが、これがナトリウムイオンバッテリー2個になるとか、1台のデュアルパワーバッテリーになるだけで大幅な軽量化とコストダウンが期待できます。
ほんの数年前まではスマホバッテリー技術の延長線上にあった自動車用バッテリーですが、ここに来て過去の話しは遠い昔へと消え去ってしまいました。私はバイク用バッテリーを年に10個ほど買いますが、5年ほど前からは価格差がありすぎて安い中国製しか選ばなくなりました。
日本の自動車バッテリーといえばGSかユアサが両巨頭でしたが20年以上も前に統合済。古河も聞かなくなりましたねえ。青いパナソニックはよく見かけるような気がします。欧州車はバルタかボッシュでしょうが、どのメーカーも消えて無くなるのかもしれませんね。
ショートすると発火するリチウムイオンバッテリーが世界に山ほど普及している現状は危なすぎるので、ナトリウムイオンバッテリーがその危険からも解放してくれるのではないかと淡い期待を抱いている私です。







