ドゥカティ
2026年10月04日 15:26
MotoGP日本GPで、小椋藍選手が6位でフィニッシュしました。前日のスプリントでも5位。大きなケガによる欠場もあり、決して順調とは言えないシーズンを過ごしてきた中で、日本に戻ってきて、母国のファンの前で素晴らしい走りを見せてくれました。小椋選手といえば、ホンダの育成ライダーとして長く育ってきた選手です。アジア・タレント・カップからMoto3、Moto2へとステップアップし、2024年にはMoto2世界チャンピオンを獲得。当然、次はホンダからMotoGPへ行くものだと、私は勝手に思っていました。
ホンダ育成の日本人ライダーとしては、中上貴晶選手もMoto2からMotoGPへとステップアップしました。中上選手はMoto2での優勝経験もあり、長年にわたって世界選手権を戦った素晴らしいライダーですが、Moto2の年間チャンピオンには届かないままMotoGPへとステップアップしました。
だから小椋選手は余裕でホンダファクトリー入りだと思っていたのですが、MotoGP昇格が決まった時、乗ることになったのはホンダではなくアプリリア。しかもファクトリーチームではなく、サテライトのTrackhouse Racingでした。
正直に言えば、私はこの時「ホンダはここまで育てておいて、MotoGPでは乗せないのか」と、少しガッカリしました。
そして上位争いは望めないであろうアプリリアの、それもサテライトチームと聞いて、「せっかくMotoGPまで来たのに、これではなかなか結果を残すのは難しいだろうな」とも思っていました。
ところが、完全に私の認識不足でした。アプリリアは王者ドゥカティの座を脅かすほど強く、そしてTrackhouse Racingも、私が勝手にイメージしていたような「ファクトリーのお下がりのマシンで走るサテライトチーム」ではありませんでした。
MotoGPは長年、ヨーロッパを中心に発展してきた世界選手権ですが、近年は巨大なアメリカ市場をどう開拓していくのかが、大きなテーマの一つになっています。
そんな中、2024年からMotoGPに参戦したのが、アメリカンチームのTrackhouse Racingでした。このチームは、長年アメリカでNASCARを戦ってきたレーシングチームです。
MotoGPのレース運営は、それまでスペインのドルナ・スポーツが行っていました。それが2025年、近年F1の商業的な成長を牽引してきたアメリカのリバティ・メディア傘下に入りました。
もちろん時系列で言えば、TrackhouseのMotoGP参戦の方が先です。ただ、MotoGPがこれからアメリカ市場を本格的に開拓していこうという大きな流れの中で考えれば、アメリカンチームであるTrackhouseの存在は、私が思っていた以上に重要なものだったのでしょう。
F1を見ても、リバティ・メディアが入ってからアメリカでの存在感は劇的に大きくなりました。MotoGPでも同じようにアメリカ市場を拡大していくのであれば、アメリカのチーム、アメリカのスポンサー、そしていずれはアメリカ人ライダーという存在も重要になってくると思います。
そんな将来性のあるチームに、Moto2世界チャンピオンになった小椋藍選手が加入したということを、私はしっかり理解できていなかったのだと思います。
その意味でも、Moto2世界チャンピオンというタイトルを手にして、アメリカンチームから最高峰クラスへステップアップしてきた小椋選手には、運営側からも特別な期待があったのだと思います。
考えてみれば、ホンダにとっても「ホンダのMotoGPマシンに乗せること」だけが育成のゴールではなかったのでしょう。世界最高峰のMotoGPで戦えるライダーを育てた。それ自体が、ホンダの育成システムの大きな成果なのだと思います。
そして小椋選手は、その期待をはるかに超える活躍を見せてくれました。MotoGP参戦2年目となった今年、ついに最高峰クラスで初優勝。日本人ライダーとして久しぶりとなるMotoGP最高峰クラスでの勝利を、Trackhouse Racingで成し遂げたのです。
小椋選手は2027年、Trackhouse Racingを離れ、ヤマハのファクトリーチームへ移籍することが決まっています。チームメイトは、MotoGP世界チャンピオンのホルヘ・マルティン。
ホンダが育てた日本人ライダーが、アメリカのTrackhouse Racingからアプリリアを駆ってMotoGPに挑戦し、そこで勝利を挙げ、その実力を認められて、今度は日本のヤマハにファクトリーライダーとして迎えられる。こうして振り返ると、ものすごいキャリアです。
2027年のMotoGPは、1000ccから850ccへと大きくレギュレーションが変わります。タイヤもミシュランからピレリへ変更され、まさにMotoGPの新しい時代が始まります。ヤマハにとっても、その新時代に向けてマシンを一から作り上げていく大切なタイミングです。
そこに世界チャンピオンのマルティンとともに、日本人の小椋藍がファクトリーライダーとして選ばれた。これからどこまで行くのか、本当に楽しみです。
レースを見終わって思ったのは、私たちがサポートするチームからも、将来MotoGPや世界の舞台へ羽ばたくようなライダーが出てくることを夢見て、日々の活動を頑張っていきたいということでした。
そんなわけで、もしスポンサーになりたいという方がおられましたら、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。説明が必要でしたら、いつでもどこでも参りますので、本当によろしくお願いいたします。
2026年09月11日 03:03
今やMotoGPの主役にまで上り詰めたドゥカティ。ワークスチームには王者マルク・マルケスを抱え、サテライトチームも強豪ぞろいです。そのドゥカティをフォルクスワーゲングループが売却することを検討しているという報道が出ました。私はそれを見てビックリ! なぜなら、ドゥカティは純イタリアンメーカーだと思い込んでいたからです。知っている人からすれば「今さら何を言っているんだ」という話なのでしょうが、私は完全に勘違いしていました。
ドゥカティといえばイタリア・ボローニャの会社。真っ赤なバイク。そしてモータースポーツ。そんなイメージから、勝手にフェラーリと同じようなイタリア資本の会社、もっと言えば、なんとなくフィアットやフェラーリと近いグループにいる会社だと思っていました。
ところが、調べてみると全然違いました。
ドゥカティがフォルクスワーゲングループ入りしたのは2012年。ドゥカティをアウディ傘下のランボルギーニが買収したからだったのです。
イタリアのランボルギーニがイタリアのドゥカティを買った。でも、そのランボルギーニの親会社はドイツのアウディで、そのアウディのさらに上にはドイツのフォルクスワーゲンがいる。なんともややこしい。
公式資料でも、この買収によってドゥカティはフォルクスワーゲングループ11番目のブランドとなり、フォルクスワーゲングループは本格的に二輪車の世界へ進出したとされています。そして現在もドゥカティはAudi Groupの一員です。
では、私が勝手に仲間だと思っていたフェラーリはどうなのか。これも調べてみて驚きました。
私の頭の中では、いまだに「フェラーリ=フィアットグループ」というイメージが強かったのですが、これもすでに昔の話でした。
フィアットがフェラーリの持株比率を90%にまで高めたことがあったのは事実ですが、2014年に当時のFiat Chrysler Automobiles(FCA)がフェラーリをグループから分離する方針を発表。2015年にフェラーリ株はニューヨーク証券取引所に上場され、2016年1月にFCAからの分離が完了していました。
つまり現在のフェラーリは、フィアットでもステランティスでもない独立した上場企業です。
さらに調べてみると、現在のイタリアの自動車メーカーの勢力図は、私が昔から頭の中に持っていたものとは、かなり違っています。
独立企業
・フェラーリ
フォルクスワーゲングループ
・ランボルギーニ
・ドゥカティ
ステランティス
・フィアット
・アルファロメオ
・ランチア
・マセラティ
・アバルト
ステランティスには、プジョー/シトロエン/オペル/ジープ/クライスラー/ダッジなどまで同じグループに入っています。
私の町内の方が乗っているJeepレネゲードにしても、アメリカを代表するJeepブランドなのにイタリア製だったりします。ブランドの国籍と実際にクルマを造っている国、さらにその上の資本関係まで考え始めると、どの自動車メーカーがどこの国の所属なのかすら分からなくなってきます。
そう考えると、同じことは世界中で起きています。
ロールス・ロイスとMINIはBMWグループ。ベントレーはフォルクスワーゲングループ。ジャガーとランドローバーはインドのタタ・モーターズ傘下。MGは中国のSAIC Motor傘下。ボルボとロータスは中国のGeelyと深い資本関係にあります。日産とフランスのルノーも、かつてほどではないものの現在も資本関係を持っています。
もはや「どこの国のクルマなの?」という質問自体が難しくなってきています。
ブランドが生まれた国なのか。本社がある国なのか。開発している国なのか。生産している国なのか。それとも最終的に資本を支配している会社の国なのか。
例えばランボルギーニを「ドイツ車」と呼ぶ人は、まずいないでしょう。
ドゥカティだってフォルクスワーゲングループだからといって「ドイツのバイク」と言われれば、猛烈な違和感があります。やっぱりドゥカティはイタリアのバイクです。
そして今回、そのドゥカティをフォルクスワーゲングループが売却する可能性が出てきました。
2012年にフォルクスワーゲングループ入りしてから14年。次にどこの会社がオーナーになるのか。それとも、このままフォルクスワーゲングループに残るのか。現時点では何も決まっていません。
ただ、個人的には親会社がどこの国になったとしても、ドゥカティにはドゥカティであり続けて欲しいと思います。そして何より、MotoGPには居続けて欲しい。
ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、アプリリア、KTM。それぞれ違う国で生まれ、違う歴史を持ち、違う思想と技術で造られたマシンが、同じサーキットで世界一を争う。それこそがMotoGPの面白さだと思います。
世界の自動車・バイクメーカーの勢力図は、私が思っていた以上に、いつの間にか大きく変わっていました。
それでも、マルケスが走らせる真っ赤なドゥカティを見れば、やっぱりそこにイタリアンスピリットを感じてしまう私です。









