シンナー

2026年05月17日 05:06

shin一昨日、私の目の前でおきたことです。塗装業を営む知人と話していた時に電話がかかってきました。電話の相手は職人らしく、「仕入れられるって?だったらどうせ値上がりするから買えるだけ買っとけ」と言って電話を切りました。

内容は「シンナーが仕入れられそうだ」と言う話しだったそうで、「買えるんだったら買え」という話しだったそうです。やっと元に戻るかんじですかね。

昨日の日経新聞記事によると、日本ペイントの若月社長がインタビューに「(シンナーについては)原料の調達は比較的安定しており、需要に対して十分な供給体制を維持できています」と答えています。

やはり先日のブログに書いたように、発端は「大幅な値上げ発表」で、使う側が「今後も値上がりするから大量発注」となり「出荷制限始動」で市場から消滅。これで不安増幅となって「各所で買占め発生」ということなのでしょう。

間違いないのはナフサ価格大幅上昇で加工品価格も大幅上昇。ホルムズ海峡解放による原料価格低下まで様子見の加工会社は出荷制限または製造停止。これで市場に物が不足するって感じになってるようです。

ただ、ゴム手袋類が無いとの話しはデマだったようで、近所の昭和大学病院関係者は「コロナ時に仕入れ過ぎた在庫が5年分以上あるはずなので絶対に欠品しないかず」だそうです。とくに医療用は無くならないとの話しでした。

うちで在庫していた余剰プラ容器やトレーを近所のスーパーが緊急で買い取って行ったのが4月20日なので、あれから1ヶ月近くが経とうとしています。早く落ち着けばいいですね。

2026年05月15日 02:33

color2日続けてナフサの話をさせてください。今起きていることについて、あくまで私個人の推測で無理やり理解してみました。

かつての日本は、世界屈指の石油化学工業国でした。巨大なコンビナートでガソリン・軽油・灯油とともにナフサを精製し、エチレン/プロピレン/ベンゼン/トルエン/キシレンといった基礎原料を連続生産。それをプラスチックや繊維、塗料に変えて世界へ輸出していました。

しかし今や、主役は中国です。世界シェアの3割を握る中国が巨大コンビナートを増設し続ける一方で、日本の石油化学は弱体化の一途を辿っています。レジ袋有料化や廃プラ抑制といった国内需要の冷え込みも、それに拍車をかけました。

現在、日本が強いのは宇宙・航空・軍需向けの「超高純度・高機能」な分野。しかし、これらは需要のパイが小さく、業界全体の未来を支えるには至っていません。どちらかというとじり貧的な感じでしょう。

別の視点です。もし石油会社が原油から何を精製するかが「収益性」で決まるとします。今はガソリンや軽油には政府から多額の補助金が出ていますが、ナフサには出ていません。しかもガソリンや軽油を切らすなとの指示も出ています。ナフサ精製が後回しになるのは当然ですよね。

政府は「ナフサの量は足りている」と言っていますが、塗料&シンナーは不足しています。正確には、塗料メーカーの値上げ発表に端を発した「駆け込み需要」と、それに伴う「出荷制限」が次々と襲ってきています。

私が注目しているのは、ナフサ由来の「トルエン(芳香族溶剤)」の不足です。トルエンは、印刷インク、塗料の希釈、接着剤の粘度調整に不可欠な素材。これが足りないから、シンナーが消え、インクが作れず、包装材が届かないという連鎖が起きています。

カルビーがパッケージを白黒にすると発表した際、政府が即座にヒアリングを行いましたが、事態は深刻です。アルミ包材へのカラー印刷は、下地の白を塗ってから色を重ねます。もっとトルエンが枯渇すれば、パッケージはアルミ下に黒一色となるでしょう。

今回の危機の本質は、ホルムズ海峡閉鎖という地政学リスクへの対応として「ガソリン・軽油」を優先しすぎた結果、ナフサ精製が煽りを食った「トルエン不足」ではないでしょうか。

レース用バイクのカウルを塗るなら、多少色が違おうが、薄め液の質が悪かろうがOKです。しかし、自動車修理工場で板金塗装の色が他の部分と違ったら絶対NG。かっぱえびせんのエビがくすんでいたらNG。質の悪いシンナーなんて使えるわけない。だから現場が止まるのではないでしょうか。

結局のところ、数字上の「在庫」がいくらあっても、それが現場で使える「製品」として適切な価格で流れてこなければ、経済は止まってしまいます。政府が補助金でガソリン価格を無理やり抑え込んでいる歪みが、様々な箇所に出ているようにも感じます。

ただ、今回は政府から各省庁に至るまで必死に対応してくれているのは良く分かります。実際に16リットル缶で頼んだ物が「欠品/入荷未定」だったのに、政府の指示で「4リットル缶で納品可」に変わりました。

今は耐えるしかないのかもしれませんが、全てはトランプ氏のイラン攻撃のせいなので、とっとと終わらせてくれないもんかと思っている私です。

2026年05月14日 04:36

sin最近、ニュースでよく耳にする「ナフサは確保できているが、流通の目詰まりが問題だ」という話し。また政府はコメ不足の時と同じ説明をしています。ただこれは、そもそもの「経済の理屈」を無視しているとしか思えません。

コメ不足の際、私はこのブログでも「コメはあるけど値上がりしたから流通していない」と書きました。発生と解消は以下のような流れを辿ったと思われます。

第一段階:流通量の減少で米価格が上昇して小売店が仕入れを控える。
第二段階:店頭から米が消え、不安になった消費者が「買い占め」に走る。
第三段階:消費者が高くても買うようになり品物が店頭に並び始める。
第四段階:儲かると踏んで買い集めた問屋が在庫を一気に放出し、価格が落ち着く。

ナフサは、私たちが日常で使うビニールやプラスチックの源流です。その価格が500ドル台から800ドル台へと跳ね上がりました。

原材料費がこれほど爆騰したら、製品価格に反映できなければ赤字になるだけですから、各メーカーが買い控えるのは当たり前です。しかもホルムズ海峡が解放されればナフサ価格が下落する可能性があるわけですから、当然様子見という企業もあるでしょう。

なぜホルムズ海峡閉鎖前にあったナフサの価格がすでに上昇しているのか?便乗値上げだ!という話しもよく耳にします。しかしこの意見は「再調達価格」の視点を無視しています。

たとえ手元にある在庫が「安かった時期」に仕入れたものであっても、次に原料を補充する(再調達する)時は、今の高い市場価格です。もし今の在庫を安く売ってしまうと、次に仕入れる高い原料を買う資金が手元に残らず、ビジネスが詰みます。

つまり、今の在庫を高く売るのは「便乗値上げ」ではなく、「事業継続の基本形」なのです。

現状、プラスチック製品が市場から消えつつあるのは、単純な話です。原材料が高すぎるから仕入れない。仕入れないから製品が作れない。高く売れる保証が無ければリスクを負ってまで流通させない。企業は「作れない」のではなく「作らない」という選択をしているのだと思うのです。

これが、政府の言う「目詰まり」の正体。物理的に物が通らないのではなく、「価格の折り合いがつかないから誰も動かない」という、経済的停止状態なのではないでしょうか。物はあるけれど、高すぎて誰も手を出せず、結果として棚から消えると言う状態なわけです。

自動車整備や手術には欠かせないニトリル(ゴム)手袋。製品に占める原材料費の割合は50%以上です。住宅建設には欠かせないビニールパイプもそう。これも原材料費の割合はニトリル手袋以上です。

原材料比率が50%超えという事は、ナフサ価格60%アップなら、これらの製品は理論上は製品価格を30%以上値上げしなければ利益が削られてしまうのです。ただ30%の値上げでは利益率が低下しますので、最低35%アップとなります。

ましてや成分のほぼ100%がナフサ由来原料のシンナーなんて価格が上がって当たり前。だけどただの薄め液だから、塗料メーカーは「値上がりしたら誰も買わない」と思うから、生産調整するのは当たり前。結果として一時的な品不足になりました。

個人的には政府が言う「流通の目詰まり」は言葉のすり替えだと思ってます。流通の流れに何段も問屋があり小売を通じて消費者に届く構造の日本では、「高い原材料を認めて、製品価格に転嫁し、消費者がそれを受け入れる」というプロセスを経ない限り、品不足は解消されないのではないでしょうか。

「原材料はあるのに物がない」のは物流の目詰まりのせいではありません。「適正な価格で取引できない状況下では様々な物が止まる」この原則を政府は理解した方が良いかもねーと思っている私です。

2026年04月21日 05:21

oil先週末、日本自動車会議所が「中東問題によるディーゼル車用エンジンオイル不足」を報じましたが、現場の状況は想像以上に深刻です。これは決して「煽り」ではありません。

現在、モービル、エネオス、出光といった主要メーカー各社は、出荷停止や大幅な値上げや(昨年同月量までの)受注制限といった厳しい措置をとっています。欠品商品多数で納期回答不可という会社もあり、容器塗装困難で外装変更を検討との表示もあったりします。

これまでの湾岸戦争などの危機でも、「オイルそのものがなくなる」「缶の塗装ができなくなる」なんて話は聞いたことがありません。異常事態です。

ディーゼル車に不可欠な「アドブルー(AdBlue)」の在庫も底を突き始めています。尿素SCRシステムを搭載したハイエース(2017年-)等の車両は、アドブルーが空になると、一度エンジンを切ったら最後、補充するまで再始動できません。

以前はGSやホームセンターで手軽に買えましたが、現在はモノタロウ等のECサイトでも在庫切れ。中大型トラックなら30〜60Lは必要となるため、すでに物流現場では激しい取り合いが始まっています。

影響は車関連に留まりません。シンナーの値上げ&枯渇と塗料の値上げで塗装業者は新規受注を停止せざるを得ない状況です。

ナフサ供給次第では、缶だけでなくプラバケツ容器の供給も危ぶまれています。先日は近所のスーパーが「安ければ催事用に譲って欲しい」と弊社が保有していた弁当容器やスープカップをすべて買い取っていきました。スーパーでも手に入らないなら小規模店は大変でしょう。

政府は「流通の目詰まりが解消されれば解決する」と繰り返していますが、現場ではすでに作業ストップが始まっています。

不安からくる買い溜めを批判するのは簡単ですが、現場を預かる身としては、仕事や生活を守るために在庫を確保するのは当然の防衛本能です。結果として、市場からモノが消え、価格が高騰する負のループに陥っています。

間もなくゴールデンウイーク。私たちは全日本ロードレース選手権で宮城県へ向かいますが、正直なところ「ガソリンをこれほど無頓着に使っていて大丈夫か?」という疑問が拭えません。

現在、ガソリン価格を抑えるために多額の税金(補助金)が投入されています。しかし、無理に価格を抑えて消費を促すより、適正な価格転嫁と「節約」を促すべき局面ではないでしょうか。

世界が「いつまで燃料を入手できるか」と危機感を募らせる中、のんきに資源を浪費し、自らの首を絞めているのは、私たち国民と政府自身なのかもしれません。

世界中を見回しても「アドブルーとエンジンオイルが無い」なんて言ってる国は日本だけ。オイルショックで2度、コロナで1度のデマ起点によるトイレットペーパー騒ぎを起こした国だけに、こういう騒ぎは今後も続くのでしょうね。
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2026年04月15日 06:02

bathじつは私の不徳の致すところで、築20年以上になる我が家のユニットバスを酔っ払って転倒してぶっ壊すという事態を発生させたことがあります。

これがコロナ中の2021年で、当時は給湯器不足が騒がれていたのですが、奇跡的に給湯器だけ交換済みだったので、壁だけを直すこともできたのですが、ユニットバスごと交換することとし、どうせ職人がいるからキッチンをやっても大差ないとか言われキッチンも交換して200万円程度でした。

これも偶然だったのですが、給湯器交換時に壁と屋根の塗装もやりかえていて、屋根は遮熱対策で遮熱塗料にすると品川区から数十万円もらえるとか、壁もいろいろやると助成金がもらえるとかで、3階建て住宅なのに100万円を切る金額でできました。

あれからたった数年なのに、ユニットバスやシステムキッチンの価格は高騰の一途で、さらに職人の価格も同様。そして今回のトランプ暴走で塗料もシンナーも無くなり、いよいよユニットバスが市場から消えました。

先日ニュースになったのはTOTOがユニットバスの受注を停止したというものでしたが、そうなると当然LIXILとパナソニックに話しが集中するわけでこの2社も14日から受注停止。工務店やゼネコンは利益が取れないタカラスタンダードは嫌うでしょうから、クリナップになるんですかねえ。

じつは前回の壁面&天井塗装から数年後に10年経過するので、現在再塗装と雨どいの交換を検討していたのですが、相談していた工務店さんから「今見積りできないからちょっと待ってね」と言われております。

それどころか、お取引先の塗装屋さんから「シンナーあったら売って」と言われる始末。一斗缶を1つお譲りしたのですが、「今3万円とかするんだよね」と言って1万円いただきました。ちなみに私が3月に買った値段は数千円。白と黒のペンキまで持っていかれ、現場の切迫感を肌で感じました。

とうとう塗料もシンナーもユニットバスも無くなりましたか・・・。新築マンションやアパートは建設中止で引渡し未定ですね。リフォーム系の会社も商売上がったり。一体どこまでこの混乱は続くのでしょうか。

数年前の「酔っ払って風呂を壊した勢い」が、結果的に数百万円の節約に繋がるとは皮肉なものです。もし今、家の不具合を騙し騙し使っている方がいたら、今は「直したくても直せない」というフェーズに入ったことを覚悟した方がいいかもしれません。

とりあえず私は、手元のシンナーとペンキが底をつく前に、この混乱が収束することを祈るばかりです。

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