カルビー
2026年05月15日 02:33
2日続けてナフサの話をさせてください。今起きていることについて、あくまで私個人の推測で無理やり理解してみました。かつての日本は、世界屈指の石油化学工業国でした。巨大なコンビナートでガソリン・軽油・灯油とともにナフサを精製し、エチレン/プロピレン/ベンゼン/トルエン/キシレンといった基礎原料を連続生産。それをプラスチックや繊維、塗料に変えて世界へ輸出していました。
しかし今や、主役は中国です。世界シェアの3割を握る中国が巨大コンビナートを増設し続ける一方で、日本の石油化学は弱体化の一途を辿っています。レジ袋有料化や廃プラ抑制といった国内需要の冷え込みも、それに拍車をかけました。
現在、日本が強いのは宇宙・航空・軍需向けの「超高純度・高機能」な分野。しかし、これらは需要のパイが小さく、業界全体の未来を支えるには至っていません。どちらかというとじり貧的な感じでしょう。
別の視点です。もし石油会社が原油から何を精製するかが「収益性」で決まるとします。今はガソリンや軽油には政府から多額の補助金が出ていますが、ナフサには出ていません。しかもガソリンや軽油を切らすなとの指示も出ています。ナフサ精製が後回しになるのは当然ですよね。
政府は「ナフサの量は足りている」と言っていますが、塗料&シンナーは不足しています。正確には、塗料メーカーの値上げ発表に端を発した「駆け込み需要」と、それに伴う「出荷制限」が次々と襲ってきています。
私が注目しているのは、ナフサ由来の「トルエン(芳香族溶剤)」の不足です。トルエンは、印刷インク、塗料の希釈、接着剤の粘度調整に不可欠な素材。これが足りないから、シンナーが消え、インクが作れず、包装材が届かないという連鎖が起きています。
カルビーがパッケージを白黒にすると発表した際、政府が即座にヒアリングを行いましたが、事態は深刻です。アルミ包材へのカラー印刷は、下地の白を塗ってから色を重ねます。もっとトルエンが枯渇すれば、パッケージはアルミ下に黒一色となるでしょう。
今回の危機の本質は、ホルムズ海峡閉鎖という地政学リスクへの対応として「ガソリン・軽油」を優先しすぎた結果、ナフサ精製が煽りを食った「トルエン不足」ではないでしょうか。
レース用バイクのカウルを塗るなら、多少色が違おうが、薄め液の質が悪かろうがOKです。しかし、自動車修理工場で板金塗装の色が他の部分と違ったら絶対NG。かっぱえびせんのエビがくすんでいたらNG。質の悪いシンナーなんて使えるわけない。だから現場が止まるのではないでしょうか。
結局のところ、数字上の「在庫」がいくらあっても、それが現場で使える「製品」として適切な価格で流れてこなければ、経済は止まってしまいます。政府が補助金でガソリン価格を無理やり抑え込んでいる歪みが、様々な箇所に出ているようにも感じます。
ただ、今回は政府から各省庁に至るまで必死に対応してくれているのは良く分かります。実際に16リットル缶で頼んだ物が「欠品/入荷未定」だったのに、政府の指示で「4リットル缶で納品可」に変わりました。
今は耐えるしかないのかもしれませんが、全てはトランプ氏のイラン攻撃のせいなので、とっとと終わらせてくれないもんかと思っている私です。









