買い物

2026年07月19日 08:39

スクリーンショット 2026-07-19 083651住宅ローンは年収の6倍までと言われることがあります。月の手取り30万円だと額面が36万円。ボーナスが年2ヶ月分だと年収500万円ぐらいになりますので、年収の6倍なら3,000万円ということです。

3,000万円もあれば、築40年以内のマンションや一戸建てなら、東京23区内でも様々な物件が選択肢に入るでしょう。リフォーム済みの物件なら、新築マンションに近い感覚で生活できる物件もあると思います。

ただ、今の住宅ローンには謎の「5年ルール」と「125%ルール」ってのがあります。5年ルールとは、金利が上昇しても毎月の返済額を5年間は原則として変えない仕組み。そして125%ルールとは、5年後に返済額を見直す際も、それまでの返済額の125%を上限とする仕組みです。

借り手の返済額が急激に増えないようにするためのルールではありますが、見方を変えれば、金利が上昇しても元金がなかなか減らず、金融機関に長期間利息を支払い続けることにもなります。

なお、すべての変動金利型住宅ローンに5年ルールと125%ルールがあるわけではありません。金融機関や商品によっては採用していない場合もあります。

例えば、3,000万円を変動金利1.2%、35年、ボーナス払いなしの元利均等返済で借りたとします。諸費用は250万円ほど必要なので、本来は頭金と諸費用を合わせて購入価格の2割程度は現金で用意したいところですが、今回は諸費用だけ用意して、物件価格3,000万円はフルローンで借りたとします。

今年は日銀の政策金利が1回もしくは2回上がるとも言われていますので、今年は1回だけ0.25%上昇。来年は2回、再来年は1回、4年目と5年目は2回ずつ上がるという、すべて0.25%ずつ段階的に上昇するケースを想定します。

なお、実際には日銀の政策金利が0.25%上がったからといって、住宅ローン金利も必ず0.25%上がるわけではありません。金融機関によっては政策金利の上昇幅以上に住宅ローンの適用金利が上昇する可能性もありますが、今回は分かりやすくするため、同じ幅で上昇すると仮定します。

・1年目 0.25%上昇でローン金利1.45%
・2年目 さらに0.50%上昇でローン金利1.95%
・3年目 さらに0.25%上昇でローン金利2.20%
・4年目 さらに0.50%上昇でローン金利2.70%
・5年目 さらに0.50%上昇でローン金利3.20%

当初金利1.2%での毎月返済額は約8万7,500円。5年ルールが適用される住宅ローンでは、途中で金利が上がっても毎月の返済額は5年間変わらず、約8万7,500円のままです。

ただし、金利が上がった分が免除されるわけではありません。返済額の中で利息が占める割合が増え、その分だけ元金の減り方が遅くなります。

つまり、毎月同じ8万7,500円を払っているので、本人は「何も変わっていない」と思っていても、実際には住宅ローンの中身が大きく変わっているわけです。

そして6年目に入ると、月々の返済額の見直しが行われます。ここで125%ルールが適用されると、新しい返済額はそれまでの125%が上限となるため、月々の返済額は約10万9,000円になります。当初の約8万7,500円から月約2万2,000円、年間では約26万円の負担増です。

しかし、本来であれば金利はすでに3.2%まで上昇しています。残っている元金を残り30年で返済するためには、月々12万円前後の支払いが必要になる計算ですが、125%ルールによって約10万9,000円に抑えられます。

もちろん、足りない分が消えてなくなるわけではありません。その分だけ元金の返済がさらに先送りされることになります。

そして11年目には、再び返済額の見直しがやってきます。

仮に住宅ローン金利が3.2%で止まり、それ以上上昇しなかったとしても、残っている元金を残り25年間で返済するため、11年目以降の返済額は月12万円前後になります。

つまり、1〜5年目:月約8万7,500円、6〜10年目:月約10万9,000円、11年目以降:月約12万円前後という形です。

この話ですが、元金が3,000万円だから「月8万7,500円から12万円に増えるだけ」で済んでいます。これが6,000万円なら、返済額への影響も単純計算でほぼ2倍になるんですよ。

最近では東京23区内の新築マンション価格が高騰し、共働きを前提に6,000万円から1億円を超える住宅ローンを組むケースも見られます。さらに50年ローンや夫婦のペアローンとなれば、話はもっと複雑になっていきます。

住宅ローンを借りる時、多くの人が気にするのは「今、毎月いくら払えるか」です。「家賃が月10万円だから、住宅ローンも月10万円なら大丈夫」そんな計算をする人もいるでしょう。私もそうでした。

しかし、変動金利の住宅ローンで本当に考えなければならないのは、「今払えるか」ではありません。「金利が3%になった時に払えるか」「金利が4%になった時に払えるか」ということです。

しかも5年ルールがあることで、金利上昇の影響が家計に現れるまでには時間差があります。金利が上がっているのに、毎月の返済額は変わらない。だから危機感もありません。

ところが実際には、毎月支払っている8万7,500円の中で利息の割合がどんどん増え、元金が思ったように減らなくなっている。

そして5年後、返済額が最大25%上がる。さらに5年後、もう一度返済額が見直される。これが5年ルールと125%ルールの怖いところだと私は思います。

5年ルールも125%ルールも、金利上昇による負担そのものをなくしてくれる制度ではありません。あくまで「今月から返済額が一気に増える」というショックを和らげ、その影響を先送りする仕組みです。そして先送りしている間にも、利息は発生し続けます。

だからこそ、住宅ローンは「銀行がいくら貸してくれるか」で考えてはいけないと思います。

年収500万円だから3,000万円借りられる。銀行の審査に通ったから大丈夫。月々8万7,500円だから払える。そう思いがちではありますが、実際には35年間という長い期間の中で金利が上昇しても、本当に返し続けられる金額はいくらなのかを考えることが重要です。

安全を考えるなら、「借りられる金額」ではなく、「金利が上がっても返せる金額」から住宅価格を決めるべきかもなーって思ってます。

最後になりましたが、私自身の話を書いておきます。

私は4棟建てのうちの1棟の新築一戸建てを購入しましたが、これまで約25年間で、外壁塗装に150万円、ユニットバスとシステムキッチンの交換に150万円ほどかかっています。

さらに固定資産税を年間12万円として35年間なら420万円。排水管清掃も1回3万円を5回行えば15万円。これだけで合計735万円です。

さらに来年には、屋根と雨どいの交換で150万円ほどかかる予定です。そうなると、住宅ローン以外の住宅関連費用だけでも885万円になります。

マンションなら毎月の管理費と修繕積立金が必要になりますし、一戸建てなら管理費や修繕積立金を毎月請求されない代わりに、修理や交換が必要になった時には自分でまとめて支払わなければなりません。

家は、普通に住んでいるだけでも結構なお金がかかります。だから住宅ローンの「返せる金額」を考える時には、住宅ローンだけを見てはいけません。

固定資産税、管理費、修繕積立金、そして将来のリフォームや設備交換。そうした「プラスαの出費」が必ずあることを意識した上で、購入を検討することをお勧めします。

ちなみに私は、毎月3万円を自分なりの「修繕積立金」として積み立て、それを投資信託で運用しています。一戸建てだから修繕積立金がいらないのではありません。誰も請求してこないから、自分で積み立てなければならないだけです。

住宅ローンを完済することだけが、住宅にかかるお金のゴールではありません。35年後にローンが終わっても、その家で暮らし続ける限り、修繕費も固定資産税も続きます。

そう考えると、住宅を買う時に本当に見るべきなのは「今、月々いくらなら払えるか」ではなく、「住宅ローンを払いながら、将来の修繕費まで積み立てられる余裕があるか」なのかもしれません。

記事検索
QRコード
QRコード
月別アーカイブ