2026年09月28日 05:29
円高是正なるか?ゴールドマン・サックスが見通しを165円から150円に変更!
これまでゴールドマンは、1年後のドル円相場を1ドル=165円と予想していましたが、今回これを150円へと大幅に円高方向へ修正しました。3カ月後が158円、6カ月後が155円、そして12カ月後が150円です。7月時点では円安方向を予想していたわけですから、わずか数カ月でかなり大きな方向転換。理由として挙げられているのが、日本銀行の利上げペースがこれまでより速まる可能性です。
日銀は今月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。6月の利上げからわずか3カ月での追加利上げですから、これまで半年に一度程度とみられていた利上げペースが速まったことになります。
ただし、ここで注意しなければならないのは、「日本が利上げする=円高になる」と単純に考えることはできないということです。為替に大きな影響を与えるのは、日本の金利そのものよりもアメリカとの金利差です。
アメリカのFRBも9月16日に0.25%の利上げを行い、政策金利を3.75〜4.00%に引き上げました。しかもFRBでは、追加利上げを示唆する発言が相次ぐようになっています。
FOMC参加者の金利見通しでも、予測を提出した18人のうち16人が年内に少なくとももう1回の利上げを見込んでおり、セントルイス連銀のムサレム総裁などからも、インフレを抑えるためにはさらなる利上げが必要との発言が出ています。
つまり、アメリカも利上げするのであれば、日銀が0.25%利上げしたからといって、それだけで日米の金利差が縮まるわけではありません。
ゴールドマンが想定する円高シナリオが現実になるためには、今後の日銀の利上げペースがFRBの利上げペースを上回り、日米金利差が実際に縮小していくことが重要になります。そして、もうひとつ気になるのが日銀内部の変化です。
今回の日銀の利上げは満場一致ではありませんでした。政策委員9人のうち7人が賛成、2人が反対。反対した2人は、今年新たに審議委員に就任した浅田統一郎氏(4月1日就任)と佐藤綾野氏(6月30日就任)です。いずれも高市政権下で任命された審議委員で、今回の投票を見る限り、少なくとも利上げには慎重な姿勢であることが分かりました。
日銀は実際には利上げを決定しているわけですから、「日銀が利上げに弱気になった」と断定はできません。しかし市場から見ると、政策委員9人の中に2人の慎重派が明確に存在することは、今後の日銀がどこまで速いペースで利上げを続けられるのかを考えるうえで無視できない材料です。
実際、今回の利上げ発表直後には円高ではなく円安に振れる場面もあり、2人が利上げに反対したことで、今後の追加利上げ期待がやや後退したとの見方も出ました。
さらにゴールドマンは、日本から海外へ流れていた資金が国内へ戻ってくる可能性にも注目しています。
これまで日本では超低金利が長く続き、「円を持っていても増えない」という状況でした。そのため、より高い利回りを求めて海外へ向かうお金が大量にありました。
しかし、日本の金利が上がってくれば状況は少しずつ変わります。わざわざ為替リスクを取って海外へ資金を移さなくても、日本国内である程度の金利が得られるようになれば、海外へ流れていたお金の一部が日本へ戻ってくる可能性があります。これも円高要因になります。
ただ、結局のところドル円を考えるうえでは、「日銀がどこまで利上げするのか」だけではなく、「FRBがどこまで利上げするのか」との競争になってきます。FRBが今後も0.25%ずつ利上げし、日銀も0.25%ずつ利上げするのであれば、日米金利差はほとんど縮まりません。
逆にFRBが利上げを止めた後も日銀が利上げを続ければ、そこで初めて金利差が本格的に縮小し、円高への力が強くなってきます。そう考えると、ゴールドマンの「1年後150円」という予想は十分あり得る一方、そこへ至る条件もかなり多いように思います。
そもそもゴールドマン自身が、少し前まで1年後165円と予想していたわけです(笑)。為替の予想なんて、それほど難しいものなのだと思います。
そんなわけで、プロプレーヤーが大半を占める為替市場で、素人が短期的な値動きを予想してFXに参加するのは、かなりリスクが高いと思います。投資マネーは計画的にお願いします。
個人的には、円の価値が上がることについては大歓迎です。輸出企業やインバウンド関連にとって円安にはメリットがありますが、日本で生活している人間にとって円の価値が下がり続けることが良いことだとは思いません。
輸入する原材料、エネルギー、食品、海外旅行など、円安になれば日本人にとって海外のあらゆるものが高くなります。そして円安が進めば、海外から見た日本の物価は安くなる一方、日本人の海外での購買力は低下します。
今やマレーシアやベトナムをはじめ、アジア各国から「日本は安い」と多くの方が旅行へ来る時代になりました。海外へ行くたびに物価の高さに驚かされる日本人とは、まさに逆の現象です。
ですから、円の価値が少しずつ戻っていくことについて、私は基本的にはウェルカムです。
とはいえ、個人的にはちょっと複雑な事情もあります。実は手持ちの円を600万円ほどドルに換えてしまいました(笑)。正しくは、円建ての生命保険を米ドル建てに変えただけなんですがね。
なので円高になれば、日本円の価値が上がるのでウェルカム。逆にドルが上がって円安になれば、今度は持っているドルの円換算額が増えるので、それはそれでウェルカム。どっちに転んでも、まあいいかと思っています(笑)。
その昔、韓国がアジア通貨危機に見舞われた頃は、1万円が13万ウォンを超えたこともありました(今は8万6千ウォン程度)。その頃の私は、2カ月に1回くらい韓国へ行っていたような気がします。
ウォンの価値が大きく下がり、韓国の人たちにとっては本当に大変な時代だったと思います。それでも街へ行くと、外国人観光客に対しては「ウォン安ならどんどん韓国へ来てください!」というくらいの逞しさがあり、「IMF危機」をネタにしたTシャツまで売られていました。
しかも通貨危機で自国が大変な時期に、2002年のサッカーワールドカップを日本との共同開催で実現しました。そのためのスタジアム建設など巨額の投資も進め、韓国代表はベスト4に進出。大会に向けた資金調達では日本からの融資も受けましたが、その資金もしっかり返済しています。凄まじいパワーを感じました。
今年は、2003年に完成した高陽総合運動場でBTSのワールドツアーが始まり、2002年のワールドカップにも使われた釜山アジアド主競技場でも公演が行われました。特に釜山アジアド主競技場は、アジア通貨危機を挟みながらも建設が続けられ、2001年に完成したスタジアムです。あれも厳しい時代に行った投資があってこそのことです。
2020年の国際スポーツイベントに対し、「建設費が高い」と、当初計画されていた新国立競技場についてデザイナーの案ごと白紙撤回。その案を選んだ審査委員長からは、「こんな大きなもんはつくったことがありませんから、へぇ〜1300億円いるんだなくらいにしか思ってなかった」という凄い発言まで飛び出し、結局開閉式屋根のないスタジアムを建設してしまった国とは大違いですよね。その国は何の金融危機にも見舞われてなかったはずなんですがねえ。
自国通貨の価値が下がることは決して喜ばしいことではありません。でも、下がってしまったものを嘆いているだけでは何も始まらない。
「だったら外国人にたくさん来てもらえばいいじゃないか」と、それすら商売のチャンスに変えてしまう。あの頃の韓国の人たちを見ていて、その逞しさには感心したものです。
円高になれば円の価値が上がる。円安になれば外国人に日本へ来てもらい、お金を使ってもらう。どちらに動いても、その状況を嘆くだけではなく、どう利用するかを考える。日本も、それくらい強い心を持っていた方がいいのかもしれませんね。
最後に投資についての話です。日経平均株価が3万円を超えて以降、あるいはドル円が1ドル=130円から160円へ向かう過程で市場に参加した一般投資家の方は、十分に利益が出ているのであれば、一度立ち止まって今後を考える時期なのかもしれません。
私のドル建て生命保険なんて1ドル平均103円程度で積み立てていて、すでに全納済みですし、株なんて手元にありません。相場はアップダウンする生き物です。また買い時が来るまで、私は現金or(不動産以外の)現物で持っておくのが良いのではないかと思っています。









