2026年09月23日 05:41
アルコール依存症は病院で治療しましょう
今年春、町内で仲良くさせてもらっている64歳の知人男性Aさんが、アルコール依存症からの肝硬変で倒れて入院した話は、以前このブログにも書きました。路上で倒れ救急車で搬送されて病院へ入院。重いアルコール依存症と診断され、安定剤を投与される状態となり、そこから久里浜の国立の依存症治療施設へ入院し、今月初めに退院されてきました。
会社を経営されていたのですが、会社は突然の廃業。ご本人は退院したとはいえ、歩行器や杖がないと歩くのも危ない状況です。
危ないなと感じ始めたのは東京オリンピックのあった2021年。健康診断でγ-GTPの値が「去年の半分で700になったと褒められた」との話を聞き、それが近所の中華料理店でお酒を伴う会合中のことだったので失礼かと思いましたが、「その値は死ぬレベルなのでお酒はやめましょう」と初めて伝えました。
激しい腰痛を訴えており、顔も黒く、飲んでいない時でも呂律が回らない感じでしたが、周囲の方々は「昔からこうだ」とおっしゃるので、それについては「そんなもんか」と思っていたのも事実です。
ただ、2023年には近所のラーメン店に入ろうとしたものの満員で入れず、そこにいたお客さんに「俺たちが入ろうとしてるんだから席をあけろ」と座席を空けるように怒鳴ったことから、「さすがにおかしいぞ」となってきました。
2024年には、この方が経営する会社の従業員(結構な年齢の方)に対し、「俺は社長だぞ!お前にゴチャゴチャ言われる筋合いはない!」と叫ぶ状態にも遭遇。ちなみにこの時、誰もAさんの話はしていませんでした。
そんなわけで、周囲で一緒に飲む方は激減していたと思うのですが、それでも少し離れた飲食店では飲んでいる姿の目撃談が結構聞かれ、昨年7月に近所の居酒屋でバッタリ鉢合わせ。私は初めて「帰ってください」と言いました。
それでも「1杯だけ」と言って座ると、短時間に4杯を飲み「最後に泣きの2杯」とか言っていたので、さすがに「それじゃあアル中ですよ、帰れ!」と言ったら激高されましたが、泣きの2杯は飲まずに1万円を置いて帰られました。正直、これでもう飲まないだろうと思ったのも事実です。
ところが、そこから1ヶ月もすると近所の飲食店に再度頻出するようになり、昨年9月の地域祭礼では、裏に置いてあったサントリー角瓶700mlを2日間で空けてしまい、生ビールは目撃されているだけで6杯も飲んでいました。
これだけ周囲から「やめた方がいい」と言われてもやめられない。人間関係がおかしくなってもやめられない。身体に明らかな異変が出ていてもやめられない。今になって振り返ると、それこそが「依存症」だったのだと思います。
先日、精神科医・松本俊彦先生のYouTube動画を見て、「世界の精神科医に何が人間の体に一番害があると思うかと聞くと、圧倒的1位なのがアルコール」といった趣旨のお話をされていました。
松本先生ご自身もお酒やたばこを嗜まれるそうですが、合法・違法という区分と、依存性や身体へのダメージは別の話です。アルコールはコンビニやスーパーで普通に買えるだけに、その危険性を意識する機会が少ないのかもしれません。
今回の地域祭礼で、退院後初めてAさんの姿を見ました。劇的に痩せ、以前のように自由に歩ける感じではありませんが、幸いにして命は助かり、普通に会話ができるまでに回復しておられました。
私はこの数年間、「これでもう飲まないだろう」と何度も思いました。それでも結局、お酒は止まりませんでした。最終的にお酒を止めたのは本人の意思というより、倒れて入院し、物理的にお酒を飲めない環境に置かれたことだったのかもしれません。
アルコール依存症の怖さというのは、酔っ払って暴れたり、身体を壊したりすることだけではありません。「やめなければ大変なことになる」と本人も周囲も分かっているのに、それでもやめられないことなのだと思います。
Aさんは64歳です。会社を経営し、普通に仕事をし、地域の人たちとも付き合いながら生活していた人です。その人の生活が、わずか数年でここまで変わってしまいました。それでも幸い、命は助かりました。今回の祭礼で久しぶりにAさんと普通に言葉を交わしながら、今度こそお酒のない生活を一日でも長く続けてほしい。そう思いました。
Aさんを何年間も見てきて感じるのは、アルコール依存症というのは「酒が好き」とか「酒癖が悪い」とか「意志が弱い」というだけの話ではないということです。
周囲から見れば「これだけ言われたら普通はやめるだろう」と思うような状況になっても、それでもやめられない。仕事や人間関係、そして自分の身体まで壊れ始めてもやめられない。それこそが依存症の恐ろしさです。
家族や周囲は「これだけ言えば分かっただろう」と思うのですが、本人に危険性が伝わったとしても、それだけでやめられるとは限りません。そして周囲も、何度言っても状況が変わらないことで、いつしか「言っても無駄」と思うようになってしまう。そのことを、周囲の人間という立場を経験して実感しました。
そんなわけで、もし周囲に「依存症かもしれない」と感じる方がいれば、本人や家族だけで何とかしようとせず、できるだけ早い段階で依存症を専門に診る医療機関などへ相談されることをお勧めしたいと思います。
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