2026年09月19日 04:52
今の金利動向は当たり前の状況に戻る序章
日本銀行が政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。報道では「31年ぶりの高水準」という言葉が並んでいますが、今回の利上げは市場ではほぼ折り込み済み。発表後の為替市場では円高にならず、逆に円安へ振れました。それより私が気になったのが「31年ぶり」という時間の長さです。
31年前に22歳で銀行や証券、不動産業界に入った人は、現在53歳です。すでに現場の責任者どころか、部長や役員になっている人も多いでしょう。つまり、そんなベテランですら「金利のある日本」を実務としてほとんど経験していないわけです。
私は逆でした。阪神淡路大震災のあった27歳まで、マンション販売の企画など不動産関係の仕事をしていたので、当時は金利があるのが当たり前。むしろ、その後にやって来たゼロ金利の世界の方を異常だと思い続けてきました。
2002年に自分で住宅ローンを組んでから24年間、一度も変動金利にしなかったのも、その感覚があったからです。結果だけを見れば、長い間、変動金利の方が有利でした。それでも「こんな低金利がいつまでも続くはずがない」と思っていました。
この金利上昇の影響を大きく受ける可能性があるのが不動産市場です。東京都心では利回り3%以下という収益不動産も珍しくありません。それでも買われてきたのは、極端な低金利に加えて「物件価格はまだ上がる」という期待があったからでしょう。
しかし、金利が上がれば話が変わります。事業用・投資用不動産では、銀行だけでなくオリックスなどノンバンクから資金を調達するケースも多く、日銀が0.25%利上げしたから融資金利も0.25%だけ上がる、という単純な話ではありません。
実際の融資金利は金融機関の調達コストや信用リスク、物件評価などで決まり、政策金利以上の幅で上昇する場合もあります。利回り3%の物件を高い借入比率で購入している場合、資金調達コストが上昇すれば利益は急速に圧縮されます。
今は物件価格も下落していますので、「借入金利上昇」「収益性悪化」「売却価格下落」ということが同時に起こっているわけです。これまで「利回りは低くても、最後に高く売れればいい」という前提で物件を購入・仕入れてきた事業者にとっては、かなり大きな環境変化でしょう。
そして怖いのは、1.25%という金利そのものが歴史的に見て異常に高いわけではないことです。
日本では31年間という長い時間をかけて、本来は特殊だったはずの「金利がほとんどない世界」が当たり前になってしまいましたが、まだまだ世界から見ると低すぎるわけで、今回は日本の金融や不動産が「金利のある世界」へ戻っていく過程の序章なのではないでしょうか。
私が怖いのは、その当たり前の世界を実務として知らない世代が、いまや日本の金融や不動産業界の中心にいるということ。これこそが、日本が陥っている諸悪の根源のような気がしています。
幸いにして、日銀の植田総裁は明日のお誕生日で75歳。副総裁2名は60代で、審議委員6名のうち50代は2名だけなので、この方々は金利ある世界に対する理解が十分にあると思いますので、できるだけ早期に、日米金利差が解消されていくことを祈ってます。









