2026年08月12日 07:20

留学・フィギュアスケート・レース・・・。子育て費用と奨学金を考える

スクリーンショット 2026-08-12 063800先日、とある番組を見ていたところ、おぎやはぎの小木博明さんが、高校2年生の娘さんの海外留学について、「1年間で最低でも1300万円。そこからいろいろな費用がかかるので、1700万円から1800万円くらいになる」と話していました。

「留学って、そんなにかかるのか」と驚いたのですが、そういえば何年か前、博多華丸さんだったかと中華料理店でお話ししていた時にも、「娘のフィギュアスケートに年間1000万円くらいかかって大変」という話を聞いたことがあります。

もちろん、どちらも一般家庭の子育て費用と単純に比較できる話ではありません。ただ、子どもが何かに本気で取り組もうとすると、親には想像以上のお金と時間が必要になることがあります。

私どもの周囲にも、お子さんをバイクレースや自動車レースに参戦させている親御さんが何人もおられます。

レースとなれば、車両を買って終わりではありません。タイヤ、ガソリン、部品、整備代、エントリー代、サーキットまでの交通費や宿泊費。転倒やクラッシュをすれば、さらに修理代がかかります。

しかも、お金だけの問題ではありません。週末になれば早朝からサーキットへ向かい、練習やレースに付き添う。場合によっては仕事の予定まで調整しなければならない。「子どもの夢を応援する」という言葉だけを聞けば美しいのですが、実際にはなかなか大変なことです。

もちろん、すべての家庭が年間何百万円、何千万円もの費用を子どもにかけられるわけではありませんし。家庭にはそれぞれ事情があり、収入も違います。それでも親は、自分たちのできる範囲で、習い事をさせたり、進学させたりします。そんな中で大きな負担の一つとなるのが大学の学費ではないでしょうか。

私自身、子どもの大学進学にあたっては、国の教育ローンである日本政策金融公庫の教育一般貸付から150万円を借りました。当初は、子供が生まれた時に入った月々2万円の学資保険で賄えると思っていたのですが、全然足りなかったからです。

さらに実際に大学へ通わせてみると、3年生からアパートで独り暮らしさせたのですが、さらにお金が必要になり、会社からプラス200万円を借りました。

つまり私の場合、日本政策金融公庫から150万円、会社から200万円。学資保険の400万円だけでは不足した分について、合計350万円の借金をして子どもの大学費用を用意したことになります。おかげさまで子どもは無事に大学を卒業できましたし、私の返済も最初に借りてから7年かけて先月終わりました。

ここで私が言いたいのは、「親は借金をしてでも子どもを大学へ行かせるべきだ」という話ではありません。

家庭によって収入も資産も違いますし、兄弟の人数も違います。それぞれ事情があります。ただ、私の場合は「子どもを大学へ進学させるために必要なお金なのだから、不足するのであれば自分が借りて、自分が返そう」と考えました。ところが、これが「奨学金」になると仕組みが大きく変わります。

日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金は、基本的に学生本人がお金を借り、卒業後に本人が返済していく制度です。つまり、親が「大学の学費を用意できないから奨学金を借りなさい」と言えば、借金を背負うのは親ではなく子どもです。

例えば年間150万円の学費が4年間必要なら、それだけで600万円になります。これを有利子の奨学金で賄えば、利息を含めた返済額はさらに大きくなり、場合によっては20年近く返済が続くことになります。

大学を卒業して社会へ出た時には、まだ22歳か23歳です。その若者が、社会人としてのスタート地点ですでに数百万円の借金を背負っている。私は、この仕組みに以前から違和感があります。

もちろん、奨学金そのものを否定するつもりはありません。親に経済的な余裕がなく、奨学金がなければ大学進学そのものを諦めざるを得ない家庭もあります。その意味では、奨学金は絶対に必要な制度です。

ただ、大学へ進学するためのお金を借りるのであれば、「誰が返すのか」という選択肢がもっとあってもいいのではないでしょうか。

現在でも、親が借りて親が返済する教育ローンという仕組みはあります。私自身も日本政策金融公庫から借りました。しかし、奨学金という低利の教育支援制度の中にも、「学生本人が借りて本人が返す」という方式だけではなく、「親が借りて親が返す」という仕組みを設けてもいいのではないでしょうか。

今は大学進学者の半数が奨学金を利用しているそうです。今や「奨学金があるのだから大学へ行きたいなら子ども自身が借りればいい」という話を普通に耳にします。でも、奨学金という名前ではありますが、貸与型であれば実質的には借金です。しかも、返済責任を負うのは子どもです。

小学生の時に通わせた塾の費用を、社会人になってから「返してくれ」と請求する親は、まずいないでしょう。中学、高校時代の学費や部活動、修学旅行にかかったお金についても同じです。ところが大学に進学した途端、「ここから先は奨学金があるから、自分で借りて自分で返しなさい」となる。

もちろん、そうせざるを得ない家庭もあるでしょう。しかし、奨学金という便利な制度があることで、本来なら親が負担することも検討すべき教育費まで、安易に子どもの借金にしてしまうケースがあるとすれば、それは少し考えた方がいいように思います。

大学を卒業した20代前半は、本来なら人生の土台を作っていく時期です。一人暮らしを始めたり、仕事に必要なものを揃えたり、車を買ったり、将来のために貯蓄を始めたりする。そして、結婚や出産について考え始める人もいるでしょう。住宅購入資金を貯め始める時期でもあります。

そんな人生のスタート地点で、毎月数万円の奨学金返済が始まり、それが10年、15年、20年と続いていく。少子化がこれだけ大きな社会問題になっている日本で、本当にこれが最善の仕組みなのだろうかと思うのです。

少子化対策というと、出産時の給付金、児童手当、保育料や高校授業料の無償化などが話題になります。もちろん、それらも重要です。しかし、大学を卒業した若者をできるだけ借金のない状態で社会へ送り出すことも、長い目で見れば立派な少子化対策ではないでしょうか。

少子化が深刻な問題となっている今だからこそ、「誰が教育費を負担するのか」という問題について、親だけ、子どもだけに答えを求めるのではなく、社会全体でもう一度考えてみる時期に来ているように思っている私です。

記事検索
QRコード
QRコード
月別アーカイブ