2026年06月11日 05:53

乗って分かる電動キックボードの恐怖/LUUP死亡事故に潜む「コリジョンコース」の罠

スクリーンショット 2026-06-11 050444ヘルメット不要の特定小型原付電動キックボードのシェアリングサービスが、東京を中心に流行しているのをご存じでしょうか。複数企業が参入していますが、その中でも圧倒的なシェアを誇っているのが「LUUP(ループ)」です。

私もたまに使用するサービスではあるのですが、実際に乗ってみると「明らかに危ない乗り物」であることだけはひしひしと感じられます。その危険度は自転車やバイクとは段違いで、普通に走るだけでもフラフラしてしまうほどです。

理由は単純で、「立ち乗りという乗車姿勢」「超小径タイヤ」「貧弱なサスペンション」という、構造的な問題にあります。

立ち乗りなので当然、重心が高くなり不安定になります。その不安定な状況で、小さな2つのタイヤに全体重を預けるわけですが、その足回りには衝撃を吸収する仕組みがありません(あってもほぼ無いに等しい状態です)。

そのため、乗った瞬間から体が常にガタガタと揺らされ、その衝撃は「タイヤ → デッキ → 足首 → 膝 → 背骨 → 脳」へとダイレクトに突き抜けてきます。そんな状態であるにもかかわらず、道路のわずかな陥没や数センチの段差、マンホールのくぼみに乗るだけで、簡単に車輪がロックされてしまうのです。

その上で、結構な速度が出ます。特定小型原付の最高速度は時速20km。これは自転車の平均的な速度(時速15km程度)よりも速く、陸上の短距離選手が全力疾走しているのとほぼ同じです。もちろん、下り坂ではそれ以上の速度が出ます。

車輪が小さいということはブレーキも小さいため、何かあっても急には止まれません。さらに、ギリギリで止まれるかどうかの急制動をかけると、重心が高いために容易に「ジャックナイフ現象」が起きて、前転してしまう危険性もあります。

そして何よりも致命的なのが、小さな車体ゆえの「圧倒的な視認性の低さ」です。車を運転する側の目線に立つと、そこに走っていると頭では認識している状況下であっても、ふとした瞬間に視界から消えることが多々あります。ドライバーからすれば「あり得ない場所から急に飛び出してきた」と感じるシチュエーションも、一度や二度ではありません。

先日、このLUUPと軽自動車による交通死亡事故が発生しました。場所は東京都北区の「王子3丁目交差点」という大きな変則五差路。22時過ぎの、夜間で雨が降り始めるような視界の悪い状況だったようです。

軽自動車は交差点を緩やかに右折、LUUPは同じ方向から進入して直進していたとのこと。同じ向きに走っていた2台の進路が、交差点内で交錯した形になります。

これは、航空機事故や見通しの良い交差点の事故でもよく原因として挙げられる現象に酷似しています。お互いが同じような速度で同一方向に向かっている(または鋭角に交差する)と、相手が動いていないように錯覚し、近づいていることに直前まで気づきにくい。いわゆる「コリジョンコース現象」の罠にはまっていた可能性があるかもです。

手軽で便利な「未来の移動手段」として急速に街に溶け込んだ電動キックボードですが、その実態は「驚くほど不安定な車体に乗り、生身のまま原付並みのスピードで車道を走る」という、極めてリスクの高い乗り物です。

ルール上は「免許不要」「ヘルメット努力義務」とハードルが下げられましたが、物理的な危険性まで下がったわけではありません。車からは見えにくく、路面の罠には弱く、一度転倒すれば頭部に致命傷を負う。今回の悲しい死亡事故は、そんなハードウェアとしての限界と、人間の視覚の盲点が最悪の形で重なって起きてしまったと言えます。

「便利だから」「みんな乗っているから」と自転車感覚で安易に利用するのではなく、乗る側も、そして周囲を走る車の側も、この乗り物が持つ「目に見えない危うさ」を正しく認識しなければ、第2、第3の悲劇は防げないのではないでしょうか。

街で気軽にシェアできる便利な乗り物ですが、車道走行モードのままの歩道走行は日常茶飯事。夜だと明らかな飲酒運転や2人乗りといった例を見かけることがあるのもまた事実。

「だったらLUUPなんて無くしてしまえ!」とか「電動キックボードも電動自転車も廃止しろ!」なんて声があるのも事実ですが、すでに普及している乗り物だけに、いかに安全に運用できるかを社会全体で考えて行かないといけないなあと感じている朝です。

最後になりましたが、そもそも歩道を自転車で走るのって禁止になってませんでしたっけ?そして多くの自転車って信号無視当たり前で走ってますよね。まず電動キックボード規制の前に、そっちを取締り強化して欲しいなあとも思ってます。

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