2026年05月10日 03:05

磐越道バス事故) 青少年活動に潜む移動の危うさ

kodomo福島県郡山市の磐越自動車道で、高校生20人を乗せたマイクロバスがガードレールに衝突し、男子生徒1人が尊い命を落とした事故から数日が経過しました。概要は以下のとおりです。

・バス依頼者:北越高校ソフトテニス部顧問
・バス手配会社:蒲原鉄道(新潟県五泉市)
・使用車両:レンタカーのマイクロバス
・レンタカー借受人:蒲原鉄道営業担当
・運転手の手配:蒲原鉄道営業担当が個人的に募集

この話しですが、私の感覚で書かせていただくと「よくある話し」です。まだバス会社に一定の費用を支払って移動手段を手配しているだけマトモな事例に思えます。

青少年活動における移動交通手段は様々です。ただ間違いないのはマトモとは思えない手段が横行していること。ボランティア指導者の保有する車や保護者の車で移動するのは日常茶飯事。近所の企業が社員送迎用マイクロバスを出したりもあります。

学校やスポーツ団体でバスを保有して、その運転をボランティアに依頼するのは当たり前のようにありますし、レンタカー会社にドライバー紹介を含めて依頼するといったパターンも普通です。

とにかく青少年活動における移動交通手段の確保は、少年野球や少年サッカーといったレベルから高校生レベルでの活動に至るまで必須で、それにかかる費用低廉化のため、多くの方々が苦労していることと思います。

「車を出してくれた保護者に謝礼を払おう」なんてのがあればマトモなほうで、「まず保護者や指導者はミニバンを買って子供達の送迎をするのは当たり前」なんて団体も普通にあります。

私が直近でマイクロバスをバス会社に依頼した時は、今年3月の静岡県伊東市で午後1時から午後5時の利用時で約7万円。6月下旬に新潟県三条市で計画中の手配では、午前10時から午後5時までのチャーターで11万円強。どちらもドライバーは1名です。

ただ、青少年活動でも高校生レベルとなれば、こんな短い時間の拘束は稀です。関東の高校で千葉への日帰り遠征となると朝6時集合で3時間以上の移動をして夕方まで現地活動。帰りも3時間以上かけて20時着といった感じです。

これをバス会社に依頼すれば、バスの拘束時間が出発前後1時間として5時から21時の16時間。貸切バスに関するルール厳格化によって運転手さんが2名必要で15万円超となるでしょう。

スポーツ強豪校ともなればこの種の遠征が日常茶飯事。宿泊遠征もあります。部活動の顧問だったら保護者の負担増になるので、なんとか安くする方法が無いかと模索するのも分からなくありません。

一般的にマイクロバスのレンタカー代は1日4〜5万円。運転手の謝礼が時給2千円として3万円。あとは燃料費、諸経費を合わせれば、9〜10万円は下らないでしょう。それでも数万円は安くなるわけです。

正規の手配:約15万円〜(16時間拘束・2名体制)
今回の手配:約9〜10万円(レンタカー+謝礼) 差額:約5万円

営業担当の方は、テレビ取材等に対し「高校側から安く済ませたいのでレンタカーで送迎してほしいと依頼された」といった趣旨の説明をしています。そして学校側はそんなことは言っていないと反論しています。

事実は警察が調べることであり私には何も分かりません。ただ、バス会社の営業担当者なら普通のバス手配依頼があったらレンタカーなんて手配するわけが無いのは誰でも分かることです。そして今回が初めてでは無いはずなので、どちらがウソをついているかはスグに判明するでしょう。

レンタカーは営業担当者が自身の名義で借り、運転手は知人の知人で二種免許は持っていなかった上に、レンタカー会社に運転者登録していなかった可能性もあるようです。

さらに運転手が普段は杖をついて歩くほど足腰が弱っていたとの証言もあります。マイクロバスという大型の車両を、生徒の命を預かって運転できる状態ではなかったかもしれません。

ただ、この運転手は高校の運動部顧問として活動していたことがあるようなので、元スポーツ指導者として、安価な方法でのスポーツ活動における移動手段を探していた高校生や顧問のために一肌脱いだのかもしれません。

なんにせよ営業担当者の方はバス会社でプロとして安全を売る立場にある以上、どのような理由があれ、このような手配が許されることではありません。この種の依頼が何年も続いていたとしても、コンプライアンス視点で断る必要もあったでしょう。

「安さ」を追求した結果、失われたのは将来ある若者の命でした。もし本当に費用の抑制が目的だったとしても、その代償があまりにも大きすぎます。

こうした杜撰な手配を許してしまった組織体制も問題ですが、青少年活動に蔓延する「これくらいなら大丈夫だろう」というユルユルの移動交通実態こそが、今回の悲劇を生んだ真犯人ではないでしょうか。

失われた命はかえって来ませんし重症の方には将来障がいが残る可能性もあるでしょうから、せめて、学校や会社の賠償責任保険やレンタカーの自動車保険が何らかの形で適用され、被害者の方々への補償が滞りなく行われることを切に願います。

亡くなられた生徒さんのご冥福を心よりお祈りするとともに、負傷された方々が1日も早く生活復帰できることを祈っております。

子供達の命を預かるボランティア活動に従事する一人として、今回の事を教訓にして、安全第一で移動計画を構築することを心がけたいと思っております。

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