anzen企業に課されている義務の中に「安全配慮義務」というのがあって、弊社の場合は社員がみんな職長資格を持っているので、安全衛生責任者の設置や安全配慮義務の役割については分かっているはずということになっています。

とはいえ、社長である私自身がどうしていいか分かっていないわけで、社員の方々も分かっていないと思いますし、「企業は必要な対策を講じなさい」と言われますが、その対策が何なのかが明確ではないのが難しかったりします。

分かりやすいのは「ハラスメント対策」で一生懸命研修を受けて対策を講じてきましたが、結論的に言うと、私共の会社はお酒に弱くおしゃべりな下品で口の悪い社長がいて、その人が年に何回かは食事や飲み会をするのはコミュニケーション上必要で、飲み会も食事会も全廃するのはダメだと分かったのはつい最近のことでした。

以前は海外出張や国内出張にスタッフを連れて行くのは当たり前でしたが、これも徹底的に排除して来た6年間を改め、昨年は同行出張や現地での食事も再開しました。「レースで仙台に行ったら牛タンぐらい食べようぜ」って感じですよ。これが社風。

社員の自由時間を奪うなというのも分かりますが、出張時ぐらい一緒に食事したいという人もいるし、会社のお金で海外行けるんだったら海外出張ウエルカムって人もいることが分かってきました。そりゃあそうですよ。

そんなわけで、今回のフジテレビ女子アナウンサーの問題で感じたのですが、残業が過労死ラインを超えないようにする的な話しよりも、「社員が命の危険を感じた時に社として何ができるか」が「安全配慮義務」の最たるものでは無いでしょうか。

フジテレビの社風に飲み会大好きとかタレントとチャラチャラなんて物があっても良いと思うのですが、社員が命の危機を感じるほどのショックを受けたら、どんなに有名タレントや自社幹部であろうとも、何よりも先に疑わしい行為のあった者全員を排除する必要があったのではないかと思いました。

というか、普通の会社ってとっくにそうなってますよね。私が大手広告代理店を退職したのは25年前ですが、その時点ですら女性のお尻を触った(らしい)という偉い人が翌日には無期限の出社停止になり、翌月には違う地域へ異動になりました。

この話しに結論は無いのですが、究極の「安全配慮義務」とは「窮境の場面では徹底的に社員の命を守る姿勢」であり、それこそが「心と体のバランス確保」とか「ワークライフバランス」なんて事より大切なのではないかと感じております。