pro日本の住宅ローンは約8割が変動金利。利用者の大半は大都市圏のサラリーマン。年収上限イッパイの金額を借りている方も多く、少々の金利上昇でも破綻する可能性が大きい日本の爆弾です。

リーマンショックが発生したのは、アメリカでサブプライムローンという「信用力=借りる人ではなく不動産」という不動産価格が右肩上がりでのみ成立するローンを供給。価格下落時に大量の返済不能者が出て、その債権を世界中の金融機関が買っていたので世界同時株安を引き起こしたわけです。

今の日本は夫婦の年収を合算して連名で組むペアローンや次世代の返済をあてにした50年ローンも一般化しつつあり、普通にローンを組んでいる人でも月々の返済額がギリギリといった例も多く、そもそも金融機関が貸出金額は年収の5から7倍としていた物を10倍以上にまで広げている状態です。

ここ数年は不動産価格の高騰が続いており、返済不能時は不動産売却による住宅ローン残高の一括返済で解決できたのですが、逆を言えば「不動産価格の低下=逆ザヤ」となり「返済不能=自己破産」となるわけです。

これって「近年の日本の住宅ローン=日本版サブプライムローン」であり、リーマンショックと同じような世界同時株安を日本発で発生させる可能性もあるし、日本の住宅ローン債権は海外投資家へのリスク分散がされていないので、日本の金融機関だけが窮地に陥る可能性もあると思うのです。

日銀推計の需給(GDP)ギャップ(=(実質GDP-潜在GDP)÷潜在GDP)はマイナスが続いています。ところが今回は「2025年度でプラスになるんちゃう!?(日経新聞記事)」と楽観視した結果、GDPギャップのプラスを待たずに利上げに転じました。

今年は「0.25%の利上げが2回」と予測されていますが、利上げ局面ってあっという間に金利が上がっていくので予断を許さない状況。フラット35ではなく変動金利を選んだ消費者だけを金利上昇局面で政府が支援したりすれば重大なモラルハザードなので救済措置は出せないでしょう。

結果として日本版サブプライムとして大問題にならないよう、ローン返済不能者が返済額を変えずに返済期間を50年まで延長可能といった選択肢が取れるような大胆な対策が必要かもと思っております。