kuiウジテレビ等とまで称されるようになったフジテレビ。今回AC素材に切り替えしている広告主各社に対して、今月分の広告料金を請求しないことを広告代理店各社につたえているとの報道が出ています。

また、来月以降のCMについてもキャンセルを受け付ける方針とのことですが、中居さんの件が発覚してから現在に至るまでの広告費全額についても、返還要求が出ないとも限りませんので、2023年6月以降の収支に関してはまだ予断を許さないと言えるでしょう。ただ将来的動向については、多くの広告主が継続するのではないかと思っています。

テレビ番組の番組スポンサーには金額設定がありまして、これには「実績」という物が大きく影響します。実績といっても難しいものではなくスポンサーを始めた時期のことでして、何十年も前からスポンサーをやってる方は、その当時の価格から少しづつ値上げされている感じです。

当然、最近スポンサーになる方々は30秒1ヶ月で3,000万円の枠でも、実績ある企業は1,800万円だったりするわけです。ただし重要なのは、ずーっと続けていないと実績が切れちゃうってこと。つまりリセットされて、次回広告を出す際は新規と同じ料金になるわけですよ。

そんなわけで、番組改編時には各スポンサーに打診をするのですが、これまた放送局アルアルで新番組の情報が全く分からないんですよ。例えば「新番組4月スタート!新バラエティ番組(タイトル未定/クイズ番組を予定) 30秒3,000万円/月(年契約)」みたいな紙が来るんです。

「ご提供いただいている枠の内容が変わるんです」と言いに行くのに、タイトルも内容も出演者も決まって無いことが多々ありまして、これじゃ説明できないなんて言うと局の営業さんが「私も同行させてください」なんて感じになりまして、広告主の前で「内容は未定ですが私共の水曜21時枠を愛し続けてください」なんて懇願してOKを取り付けるなんてことがあったりもします。

ですから、何十年もスポンサーをやってる企業は一度降りてしまうと次に出稿する際は料金が上がってしまうので簡単には決断できないと思うのです。とくにミニ枠と呼ばれる短い枠は1社提供できるので超人気。フジテレビのくいしん坊!万才なんて降りたらすぐほかの企業が押さえる事でしょう。

逆に「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」と「この番組の提供は・・・」の間に入るスポットCMというのは時価なので、自由に降りられるというかCM発注しなければいいだけなので、今回のフジテレビ問題では、出稿を差し控える広告主も多いかと思います。

ただ先ほども「時価」と書きましたが、需要が少なければ価格が下がるので、そんなに企業イメージは関係しない脱毛サロン等はチャンスと見て出稿するかもだったりします。

そんなわけで、今回のフジテレビの件は業績的には短期にはダメージでしょうが、長期では地上波放送局事業自体がオワコンなので、早めのリストラに着手できるという点ではメリットが大きいかもと思っております。

フジ・メディア・ホールディングスの株価が急騰しているのは、もしかするとそんな視点も入ってるかもしれませんね。