
BYDが世界中で販売台数を増やしている理由がまさにPHEVでして、トヨタもプリウス・RAV4・ハリアー等に用意するハイブリッドシステムの一種。普通のハイブリッド車と違うのは、外部から充電もできるっていう点です。
BYDのシステムは2モーターのシリーズパラレル式。1.5リッターのガソリンエンジンを積んでいます。そして圧倒的なのが搭載しているバッテリーで、多くの電気自動車を販売するBYDだからこその量産効果がある独自で開発したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載しています。
このリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが秀逸で、高価なニッケルやコバルトといったレアメタルの代わりに安価なリン酸鉄を使用。通常のリチウムイオンバッテリーで発生する熱暴走の危険からも解放された安全な物でもあります。
先日BYDは2024年の世界販売台数でPHEV 248.5万台に対してEV 176.5万台だったと発表しました。つまり合計で400万台を超えていますので、数年前はトップ10にすら入ってなかった新興メーカーが、ホンダや日産を軽々と抜く販売台数を記録しているということになります。
なお、日本での販売台数は2,223台。前年2023年は1,446台だったことを考えると激増と言えそうですが、まだまだお話しにならない台数だったりするのは、日本に一番適していると思われるPHEVをまだ投入していないからであり、ガンガン広告展開しているのは、これから導入するPHEV普及への布石だと考えられます。
これだけの台数を世界中で販売していればトラブルも比例して増えるでしょうから、中国をはじめとした各国での問題点を解消したシステムを搭載して日本には登場すると思われ、日本車メーカーにとっては脅威でもあったりします。
昨年BYDが発表した「次世代PHEVシステム・第5世代DM-i」を搭載したという「秦L DM-i」「Seal06 DM-i」は、驚異の航続距離2,100kmで燃費はリッター34.5km(WLTCモード/WLTC換算値26.9km)を実現しています。
この販売価格が約10万から14万人民元(1元=21.3円換算で213万円から300万円)という低価格。しかもデザインはテスラを上回る洗練度なわけですよ。そして夏にはアルファードをイメージさせるようなミニバンの登場も予定されています。
何よりも危惧してるのは、このBYDが日本戦略モデルの開発をするんじゃないかという点。中国って電動スクーター天国なんですね。メーカーも山のようにあって年間約2千万台も生産してるんです。この技術を活用した小型コミューターとか出てきたら売れちゃうと思うんですよねー。
日本メーカーが「EVなんか流行らない」言ってるうちに、しっかりとPHEVでハイブリッド市場をゴソッとかっさらわれてます。何よりの強みはBYDにはイケイケドンドン社員が山ほどいること。大企業病の日本メーカーがGMやフォードのように過去の遺物とならないことを祈ってます。
