2026年07月
2026年07月20日 05:42
競輪界を代表する選手の一人である伏見俊昭選手が、7月18日に松阪競輪場で行われた第12レースで落車し、昨日19日午前10時15分、三重県松阪市内の病院で亡くなったことが発表されました。50歳でした。報道によると、レース中に落車した選手を避けようとした際、バンク外側の金網に激突して落車。病院へ搬送されましたが、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
私にとって伏見選手は、単に「有名な競輪選手」「オリンピックのメダリスト」というだけの存在ではありません。
1996年のアトランタ大会から2000年のシドニー大会へかけて、私はKEIRINのオリンピック正式種目化に関連する作業に携わり、代表合宿への同行なども行っていました。その中で伏見選手と一緒に過ごした時間も多かっただけに、今回の訃報にはかなりのショックを受けています。
伏見選手は2000年シドニー大会への出場が確実視されていました。しかし、代表最終選考会でまさかの落選。ところが、その挫折をバネにするかのように、その後は本業である競輪で一気に才能を開花させていきます。
2001年には、ふるさとダービー函館で初優勝。さらにオールスター競輪を制して特別競輪初優勝を果たし、年末のKEIRINグランプリ01でも優勝。その年の賞金王に輝きました。
そして2004年のアテネ大会では、念願だった自転車競技日本代表入りを果たします。長塚智広選手、井上昌己選手とともに男子チームスプリントに出場し、見事に銀メダルを獲得しました。
私自身の競輪との関わりを振り返ると、1998年の長野オリンピック終了後に電通西日本岡山支社を退職しています。
岡山支社時代には玉野競輪場を担当させていただきました。前職では1991年から弘報館という広告代理店の競輪案件作業を受託させていただいていており、退職時点で8年間にわたって競輪関連の仕事に携わっていたことになります。退職時には、「これで私の競輪の仕事も終わった」と思っていました。
ところが、それまでの経験をテレビ中継などで一緒に仕事をしていた電通のメンバーに評価していただき、退職後も競輪関連の仕事に関わらせていただくことになりました。
そんなわけで、本来なら途中まで関わって終わるはずだったKEIRINのオリンピック正式種目化に向けた仕事にも、その後も継続して携わることができました。
そして2000年のシドニー大会からKEIRINがオリンピックの正式種目となり、2004年のアテネ大会、そして私が最後に競輪関連の仕事に関わった2008年の北京大会まで、その歴史を間近で見ることができました。
電通西日本を退職した時には、「もうスポーツの国際大会や競輪の仕事に関わることはないだろう」と思っていただけに、この経験は私にとって本当にありがたいものでした。
しかも、アテネ大会では日本代表が銀メダルを獲得する瞬間を見ることができました。そして、私にとって最後となった2008年の北京大会にも伏見選手は日本代表として出場しています。
・アトランタ大会のあった1996年デビューで一気にS級入り。
・シドニー大会の代表選考で味わった挫折。
・その翌年、競輪界の頂点へと駆け上がった2001年。
・そして2004年のアテネ大会で獲得した銀メダル。
・さらに2008年の北京大会。
私自身の競輪との関わりを振り返ってみても、そこにはいつも伏見俊昭という選手の姿がありました。
50歳になった現在も現役の競輪選手として走り続けていた伏見選手。私にとっては、本当に思い出がいっぱいある選手です。それだけに、まさかレース中の事故によって、このような形で亡くなられるとは思ってもいませんでした。
あまりにも突然のことで、今も信じられないというのが正直な気持ちです。伏見俊昭選手のこれまでの活躍に敬意を表するとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
2026年07月19日 08:39
住宅ローンは年収の6倍までと言われることがあります。月の手取り30万円だと額面が36万円。ボーナスが年2ヶ月分だと年収500万円ぐらいになりますので、年収の6倍なら3,000万円ということです。3,000万円もあれば、築40年以内のマンションや一戸建てなら、東京23区内でも様々な物件が選択肢に入るでしょう。リフォーム済みの物件なら、新築マンションに近い感覚で生活できる物件もあると思います。
ただ、今の住宅ローンには謎の「5年ルール」と「125%ルール」ってのがあります。5年ルールとは、金利が上昇しても毎月の返済額を5年間は原則として変えない仕組み。そして125%ルールとは、5年後に返済額を見直す際も、それまでの返済額の125%を上限とする仕組みです。
借り手の返済額が急激に増えないようにするためのルールではありますが、見方を変えれば、金利が上昇しても元金がなかなか減らず、金融機関に長期間利息を支払い続けることにもなります。
なお、すべての変動金利型住宅ローンに5年ルールと125%ルールがあるわけではありません。金融機関や商品によっては採用していない場合もあります。
例えば、3,000万円を変動金利1.2%、35年、ボーナス払いなしの元利均等返済で借りたとします。諸費用は250万円ほど必要なので、本来は頭金と諸費用を合わせて購入価格の2割程度は現金で用意したいところですが、今回は諸費用だけ用意して、物件価格3,000万円はフルローンで借りたとします。
今年は日銀の政策金利が1回もしくは2回上がるとも言われていますので、今年は1回だけ0.25%上昇。来年は2回、再来年は1回、4年目と5年目は2回ずつ上がるという、すべて0.25%ずつ段階的に上昇するケースを想定します。
なお、実際には日銀の政策金利が0.25%上がったからといって、住宅ローン金利も必ず0.25%上がるわけではありません。金融機関によっては政策金利の上昇幅以上に住宅ローンの適用金利が上昇する可能性もありますが、今回は分かりやすくするため、同じ幅で上昇すると仮定します。
・1年目 0.25%上昇でローン金利1.45%
・2年目 さらに0.50%上昇でローン金利1.95%
・3年目 さらに0.25%上昇でローン金利2.20%
・4年目 さらに0.50%上昇でローン金利2.70%
・5年目 さらに0.50%上昇でローン金利3.20%
当初金利1.2%での毎月返済額は約8万7,500円。5年ルールが適用される住宅ローンでは、途中で金利が上がっても毎月の返済額は5年間変わらず、約8万7,500円のままです。
ただし、金利が上がった分が免除されるわけではありません。返済額の中で利息が占める割合が増え、その分だけ元金の減り方が遅くなります。
つまり、毎月同じ8万7,500円を払っているので、本人は「何も変わっていない」と思っていても、実際には住宅ローンの中身が大きく変わっているわけです。
そして6年目に入ると、月々の返済額の見直しが行われます。ここで125%ルールが適用されると、新しい返済額はそれまでの125%が上限となるため、月々の返済額は約10万9,000円になります。当初の約8万7,500円から月約2万2,000円、年間では約26万円の負担増です。
しかし、本来であれば金利はすでに3.2%まで上昇しています。残っている元金を残り30年で返済するためには、月々12万円前後の支払いが必要になる計算ですが、125%ルールによって約10万9,000円に抑えられます。
もちろん、足りない分が消えてなくなるわけではありません。その分だけ元金の返済がさらに先送りされることになります。
そして11年目には、再び返済額の見直しがやってきます。
仮に住宅ローン金利が3.2%で止まり、それ以上上昇しなかったとしても、残っている元金を残り25年間で返済するため、11年目以降の返済額は月12万円前後になります。
つまり、1〜5年目:月約8万7,500円、6〜10年目:月約10万9,000円、11年目以降:月約12万円前後という形です。
この話ですが、元金が3,000万円だから「月8万7,500円から12万円に増えるだけ」で済んでいます。これが6,000万円なら、返済額への影響も単純計算でほぼ2倍になるんですよ。
最近では東京23区内の新築マンション価格が高騰し、共働きを前提に6,000万円から1億円を超える住宅ローンを組むケースも見られます。さらに50年ローンや夫婦のペアローンとなれば、話はもっと複雑になっていきます。
住宅ローンを借りる時、多くの人が気にするのは「今、毎月いくら払えるか」です。「家賃が月10万円だから、住宅ローンも月10万円なら大丈夫」そんな計算をする人もいるでしょう。私もそうでした。
しかし、変動金利の住宅ローンで本当に考えなければならないのは、「今払えるか」ではありません。「金利が3%になった時に払えるか」「金利が4%になった時に払えるか」ということです。
しかも5年ルールがあることで、金利上昇の影響が家計に現れるまでには時間差があります。金利が上がっているのに、毎月の返済額は変わらない。だから危機感もありません。
ところが実際には、毎月支払っている8万7,500円の中で利息の割合がどんどん増え、元金が思ったように減らなくなっている。
そして5年後、返済額が最大25%上がる。さらに5年後、もう一度返済額が見直される。これが5年ルールと125%ルールの怖いところだと私は思います。
5年ルールも125%ルールも、金利上昇による負担そのものをなくしてくれる制度ではありません。あくまで「今月から返済額が一気に増える」というショックを和らげ、その影響を先送りする仕組みです。そして先送りしている間にも、利息は発生し続けます。
だからこそ、住宅ローンは「銀行がいくら貸してくれるか」で考えてはいけないと思います。
年収500万円だから3,000万円借りられる。銀行の審査に通ったから大丈夫。月々8万7,500円だから払える。そう思いがちではありますが、実際には35年間という長い期間の中で金利が上昇しても、本当に返し続けられる金額はいくらなのかを考えることが重要です。
安全を考えるなら、「借りられる金額」ではなく、「金利が上がっても返せる金額」から住宅価格を決めるべきかもなーって思ってます。
最後になりましたが、私自身の話を書いておきます。
私は4棟建てのうちの1棟の新築一戸建てを購入しましたが、これまで約25年間で、外壁塗装に150万円、ユニットバスとシステムキッチンの交換に150万円ほどかかっています。
さらに固定資産税を年間12万円として35年間なら420万円。排水管清掃も1回3万円を5回行えば15万円。これだけで合計735万円です。
さらに来年には、屋根と雨どいの交換で150万円ほどかかる予定です。そうなると、住宅ローン以外の住宅関連費用だけでも885万円になります。
マンションなら毎月の管理費と修繕積立金が必要になりますし、一戸建てなら管理費や修繕積立金を毎月請求されない代わりに、修理や交換が必要になった時には自分でまとめて支払わなければなりません。
家は、普通に住んでいるだけでも結構なお金がかかります。だから住宅ローンの「返せる金額」を考える時には、住宅ローンだけを見てはいけません。
固定資産税、管理費、修繕積立金、そして将来のリフォームや設備交換。そうした「プラスαの出費」が必ずあることを意識した上で、購入を検討することをお勧めします。
ちなみに私は、毎月3万円を自分なりの「修繕積立金」として積み立て、それを投資信託で運用しています。一戸建てだから修繕積立金がいらないのではありません。誰も請求してこないから、自分で積み立てなければならないだけです。
住宅ローンを完済することだけが、住宅にかかるお金のゴールではありません。35年後にローンが終わっても、その家で暮らし続ける限り、修繕費も固定資産税も続きます。
そう考えると、住宅を買う時に本当に見るべきなのは「今、月々いくらなら払えるか」ではなく、「住宅ローンを払いながら、将来の修繕費まで積み立てられる余裕があるか」なのかもしれません。
私が働き始めた18歳(1986年)の頃、外食は今よりずっと圧倒的に贅沢な物でした。例えばしゃぶしゃぶ。40年前は確実に1万円覚悟でした。お寿司も同様です。今のように回転寿司がどこにでもある時代ではなく、安く食べるには小僧寿しチェーンの持ち帰りが定番。お寿司屋さんで夜におまかせを頼んだら1万円以上というのも普通にありました。
鰻が牛丼チェーン店で気軽に食べられるなんて夢のようですよ。昔はちゃんとした鰻屋さんへ行くしかなく、松・竹・梅というランク分けされたメニューから「最低ランクの梅は恥ずかしいから竹にしよう」なんて選択をして、それでも3,500円ほどのうな重を食べたものです。
もちろん駅の立ち食いそばなら200円程度で食べられました。当時は、餃子の王将の餃子が140円、マクドナルドのハンバーガーは210円、吉野家の牛丼は400円。それらを食べに行くのがせいぜいで、ロイヤルホストやデニーズといったファミリーレストランで食事をすると1,000円を超えるため、なかなか行くことはできませんでした。
この40年間で最低賃金は大きく上昇し、社会保険料も増え、電気・ガス・水道代も上がりました。店舗家賃も高騰した地域がありますし、食材価格も何度も値上がりしています。それにもかかわらず、飲食店の価格は長年にわたり激しい価格競争にさらされてきました。
マクドナルドのハンバーガーは当時と同じくらいの200円(五反田店)。つい数年前までは100円マックでした。吉野家の牛丼も値下げと値上げを繰り返しながら現在は500円程度。王将の餃子は363円(関東)。40年という歳月を考えると、今も価格が当時と大きく変わらないことに驚いてしまいます。
しゃぶしゃぶは5,000円前後で食べ放題のチェーン店が無数にあります。寿司も回転寿司チェーンが全国に広がりました。鰻も牛丼チェーン店で1,000円前後で気軽に食べられます。40年前では考えられない世界です。
日本の外食産業は、何十年間も激しい価格競争を続けてきました。私たちが40年前とあまり変わらない金額、あるいはそれより安い価格で食事ができる一方で、お店側(そしてそこで働く従業員)は何十年も利益を削り続けてきたということです。
日本では長い間、「値上げは悪」という空気がありました。安くて当たり前。量も減らすな。品質も落とすな。そんな厳しい要求に応えるため、多くの飲食店は企業努力を続けてきました。しかし、その努力にも限界があります。
表立って値上げをすると客離れにつながるため、多くのお店はステルス値上げを導入しました。少しずつ量が減り、器も小さくなり、「なんだか昔ほど満腹にならない」と感じることが増えました。スーパーやコンビニのお弁当でも、内容量を抑えながら価格を維持する工夫が当たり前になっています。
最近になって「ラーメン1杯1,000円超は高い」という声を耳にすることがあります。でも、私は逆に「今までが安すぎた」と感じています。
美容院なら30分〜1時間で4,000〜6,000円。材料費の割合は比較的低く、技術料が中心です。一方、ラーメン店は何時間もかけてスープを仕込み、お客様は20〜30分席を利用します。さらに原材料費も30〜45%程度かかると言われています。それでも価格は1,000円前後なのです。
現在、多くの飲食店は人手不足にも苦しんでいます。「給料を上げろ」と言われても、価格を上げられなければ原資は生まれません。価格を据え置けば、従業員の賃金も上げられず、人も集まりません。
飲食店の値上げは、お店が儲けるためだけではありません。働く人の給料を守り、お客様へ品質を維持し、これからも店を続けていくために必要なことなのではないでしょうか。
私たちは長年、「世界でも珍しいほど安く外食できる国」に暮らしてきました。しかし、その安さは、多くの飲食店と、そこで働く人たちの我慢や努力によって支えられてきた価格でもあります。
もちろん、値上げは誰にとっても嬉しいものではありません。しかし、適正な価格でなければ、お店は続きません。店が続かなければ、働く人の給料も上がらず、お客様が好きだった味も、街から消えてしまいます。
これからは「安い店が良い店」という時代ではなく、「適正な価格で、長く続いてほしい店を応援する」という考え方が、少しずつ広がっていけばいいなと思います。
40年前には「ちょっとした贅沢」だった外食が、今では当たり前のように楽しめるようになりました。その豊かさをこれから先も守っていくためには、「安さ」だけではなく、その価格の裏側にある努力や価値にも目を向ける時代になればいいなと思っている私です。
2026年07月18日 16:05
昨日、「なんとヴェゼルはWR-Vの5倍売れてる!! 同じホンダのコンパクトSUVなのに2台はどこが違うのか?」という記事(リンク)を読みました。2026年上半期(1〜6月)の1か月平均登録台数は、ヴェゼルが6,189台なのに対してWR-Vは1,172台。実に5倍以上の差がついているそうです。同じホンダのコンパクトSUVでありながら、なぜこれほど販売台数に差がつくのか。記事では、その理由としてヴェゼルにはハイブリッドのe:HEVがあり、2WDだけでなく4WDも選べること、一方のWR-Vはガソリンエンジン+2WDしかないことなどを挙げています。
さらにWR-Vには電動パーキングブレーキやステアリングヒーター、シートヒーターなどが用意されていないことも、販売面で不利に働いていると分析しています。
確かに、それも理由の一つでしょう。しかし私は、ヴェゼルとWR-Vの販売台数にこれほど大きな差がついている最大の理由は、もっと別のところにあるのではないかと思っています。それは「リセールバリュー」です。
今、中古車市場の価格決定権を持っているのは海外需要です。だから、国内需要しかない軽自動車等の車種は値落ちが激しい一方、海外需要の高いハイエースやランドクルーザーの中古車買い取り相場は驚くほど高値になっています。ホンダで言えば、それがヴェゼルです。
一部のホンダディーラーには「日本に居住していない外国人に新車販売しないように」とのお達しが出ているほど。「オプション装備は何もいらないから売ってくれ」という外国人が大量にいるのですよ。
右ハンドル国のインド・インドネシア・タイ等が需要を支えているのですが、人口はインド約15億・インドネシア約3億・タイ約7千万人で、当然ながら人口約1.25億人のうち大人の半数が老人という日本市場とはレベルが違う巨大市場です。
海外需要の主役は日本製の日本車。ここでヴェゼルとWR-Vには決定的な差があります。ヴェゼルは日本製でWR-Vはインド製なのです。現地の新車価格に大きな差があるヴェゼルは中古市場でも価値が付きますが、新車価格が日本と変わらないWR-Vには大した価値が出ないのですよ。
現在の日本の自動車市場では、新車を買う時の価格だけではなく、「数年後にいくらで売れるか」を考えて車を選ぶ人が増えています。特にSUVやミニバンなどの人気車種では、このリセールバリューが購入判断を大きく左右するようになりました。
例えば300万円で購入した車が3年後に150万円になる車と、300万円で購入して3年後に250万円で売れる車。購入価格は同じ300万円でも、実質的な負担額はまったく違います。前者は150万円を失っていますが、後者は50万円しか失っていません。
日本のオートオークションでの主役は海外バイヤー。極端なケースでは、海外需要の高騰や円安、納期の長期化などが重なることで、中古車の買取価格やオークション価格が新車時の購入価格を上回ることすらあります。その車種の一つがヴェゼルなのです。
数年前ならどの車種がリセールが良いかを自分で考える必要がありました。でも今はChatGTP等のAIに投げれば的確な回答を教えてくれます。「年走行1万km以内ならハイブリッドとガソリンのどちらが良いですか?」なんて質問にも、明確に答えを教えてくれます。
ホンダの新車SUVを購入検討中の方がAIに相談したら、ほぼ間違いなくヴェゼルを推してくれます。結局、新車販売動向を決めているのはAIなのかもしれませんね。
ちなみにChatGTPに聞いた5年以内売却予定で新車を買うなら何が良い?の質問に対する回答は、ジムニー・ジムニーシエラ/アルファード(ガソリン)/ランドクルーザー(ガソリンorディーゼルを車種別に検討)/ハイエース(ディーゼル)/ヴェゼル(e:HEV)/フリード・シエンタ(ハイブリッド)が上位でした。
今さらながらですが、すでに販売終了しているお店も出ている、ミスタードーナツの「もっちゅりん」について書いてみたいと思います。「もっちゅりん」が最初に登場したのは2025年6月4日。ミスタードーナツ55周年を記念して発売された、6月4日から7月中旬までの期間限定商品でした。
国産のもち粉と米粉を使い、これまでの「もちもち」をさらに超えた「もっちゅり食感」を売りにした商品で、「もっちゅりん きなこ」「もっちゅりん みたらし」「もっちゅりん あずき」「もっちゅりん 黒糖&わらびもち」の4種類が登場しました。
私は昨年6月の発売直後に、献血帰りに立ち寄ったミスタードーナツで食べていました。その時の感想ですが、素直に「食べにくい」「手がベタベタになる」「ポン・デ・リングのほうが美味しい」というもので、おそらくスタッフにもそれを伝えた気がします。
ところが、発売直後からSNSで「おいしい」「今までにない食感」と話題になり、「もっちゅりんを買ってきた」という投稿が次々と拡散。2025年6月10日には「大変ご好評により品切れが発生しております」との案内が店舗に貼り出される事態となりました。
つまり、「私の舌がアホ」であるということになります。でも幸いなことに、アホな舌については人々から追及されることなく、このブームは終焉しました。
ところが今年、この「私の舌がアホ事件」を思い起こさせる事態となります。なんと「もっちゅりん再販」の日がやって来たのです。そしてまた私は、昨年経験した「私の舌がアホ」であることを再度思い知らされます。
さすがに昨年大騒ぎを招いたわけですから、ミスタードーナツともあろう企業なら準備万端で発売するだろうと思っていたし、昨年の時点で私と同じようにネガティブな感想を持っている人々の意見も広まっていると思っていました。
しかし、発売開始予告とともにネットオーダーの予約にアクセスが集中し、発売開始とともに全店で昨年を超える大行列が発生。昨年「結局一度も買えなかった」という人が大量に店舗へと押し寄せたのです。
ミスタードーナツ側も前年の経験を踏まえ、各店舗の販売時間や販売個数を公開するなどの対応を取りましたが、武蔵小山店を例に挙げると、朝8時の時点で100人以上が並んでいるのに、店頭には「10時から各30個」「お一人様6個まで購入可能」等と貼り出され、さらに買いたい人々をあおるような行動となっていました。
SNSには「買えた」「売り切れていた」「何時に行けば買えるのか」といった投稿があふれ、美味しい or 不味いの論争になることのないままブームは加熱。そして、ついにミスタードーナツ側が大きな決断をします。
2026年6月30日、運営するダスキンは「もっちゅりん」の今後の販売について、第1弾商品は「いちご味」は即終売、「きなこ味」「みたらし味」も7月中旬以降、各店舗の原材料がなくなり次第、順次販売終了と発表。さらに、当初予定されていた「第2弾」の中止も発表したのです。
ちなみに写真は今年のもっちゅりん。左がきなこで、右がみたらしです。昨年よりもちもち感が増え、さらに食べにくくなりました。ミスタードーナツでは手で食べるために付いてくる半透明の紙があるのですが、あんなもんでは食べられません。フォークが必須。ナイフもあったほうが良いぐらいです。
すでに私の舌がアホであることは書いているので、このブログ記事はあくまでアホな私の感想だと思ってください。今年も食べた感想ですが、「食べにくい」「手がベタベタになる」「ポン・デ・リングのほうが美味しい」と昨年と同じでした。
最後になりましたが、ご興味を持たれた方はぜひ食べてみてください。なお、決して手で食べようとは思わないでください。手でちぎって複数人で食べようなんて思ってもできません。さらに「お一人様6個まで購入可」と言われると上限まで買ってしまいがちですが、少人数だと途方に暮れます。ご注意ください。
(本記事は東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年7月21日号掲載予定「WeeklyTopics」の転載です。)コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。
コスト増により1棟当たり単価の値上がりが続くほか、住宅ローン金利も上昇。大規模の建売現場ではプロジェクト検討時と販売開始する際のコストや購買層の算定で開きが生じる。また、マンションやリノベーション物件との競合も激しい。仕入も人材も豊富な大手との競争も激化している。
ハウスメーカーの倒産(負債1,000万円以上)を集計した。2026年上半期は118件(前年期比87.3%増)と2倍近くに跳ね上がった。1989年以降では、デフレ期の2004年の198件が過去最多だが、上半期で100件を上回ったのは、2013年(106件)以来、13年ぶり。
118件の原因別は、販売不振が85件(構成比72.0%)、赤字累積の既往のシワ寄せが20件(同16.9%)と業績不振がほとんどだ。
倒産増勢が強まるおそれ
負債34億円を抱えて3月に破産したタイコウハウス(株)(TSRコード:510016626、愛知県)や、負債11億円の(株)ハウスM21(TSRコード:170162168、岩手県、1月破産)など中堅ハウスメーカーの倒産も目立つ。中東情勢の不安定化による住設・資材価格の高騰や納入遅れなどが長期化すれば、倒産がさらに増加する可能性もある。
破産企業の共通項は、長引く業績不振だ。タイコウハウスは20億円を超える年商時期にも最終利益は数百万円に沈み、2024年7月期には耐えきらず17億円の最終赤字を計上。ハウスM21も長らく低収益(赤字含む)に喘ぎ、23年3月期に債務超過に転落していた。
7月16日には中堅ハウスメーカーのアエラホーム(株)(TSRコード:340124466、千代田区)が民事再生法の適用を申請した。2022年5月期以降は最終赤字が続き、金融支援によって資金を繋いでいたが、ナフサ不足による資材高騰も影響した。
ただ、いずれの会社も業績不振は今に始まったことではなく、早期に抜本再生へ舵を切っていれば、結果は違った可能性もある。
ハウスメーカーの倒産時は、先払いした施主(オーナー)も債権者となり工事が止まることも多い。ただ、アエラホームのケースでは弁護士や金融機関、コンサルタントなどがオーナーの権利保護に奔走した。結果、金融や商取引債権者には被害が及ぶものの、施主への波及は防がれた。ハウスメーカーの倒産が急増しているだけに、注目される事例となった。
2026年07月17日 06:10
アエラホームが昨日7月16日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したとの報道が出ています。1963年創業で、2003年から「アエラホーム」ブランドで全国展開する中堅ハウスメーカーです。この報道を見て、私は過去のハウスメーカー倒産のことを思い出しました。かつて殖産住宅・日本電建・太平住宅は「割賦三社」と呼ばれる大手住宅メーカーでした。住宅融資がまだ十分に整備されていなかった時代、独自の割賦販売によって「現金がなくても毎月の支払いで一戸建てが建てられる」という仕組みを広げ、日本人のマイホーム取得を支えた会社です。
その中の一社が殖産住宅。「ホーム、ホーマー、ホーメスト」のテレビCMを覚えている方もいるのではないでしょうか。高い知名度を誇った大手住宅メーカーでしたが、2002年に経営破綻しました。その後、事業を引き継いだ別会社も2018年に経営破綻しています。
そして太平住宅。こちらも全国的に知られた大手住宅メーカーでしたが、2003年に民事再生法の適用を申請。その後、再建を断念して破産しています。残る日本電建は、2002年から2003年にかけて大東建託グループ入りし、姿を消しました。
2009年に発生した富士ハウスの自己破産は、大きな社会問題になりました。静岡県浜松市に本社を置き、関東から東海、近畿まで広く展開していたハウスメーカーでしたが、建築中の住宅を多数抱えたまま経営破綻したため、多くの施主が大きな影響を受けました。
住宅という商品は、自動車や家電とは大きく異なります。自動車メーカーが倒産しても、すでに納車された車が突然なくなるわけではありません。家電メーカーが倒産しても、自宅にあるテレビや冷蔵庫が使えなくなるわけでもありません。
しかし注文住宅は、契約してから完成するまでに長い時間がかかります。その間に契約金、着工金、中間金などとして、何千万円というお金を住宅会社へ支払うことがあります。もし2,000万円を支払った時点で住宅会社が倒産したらどうなるのか。
土地はある。住宅ローンもある。しかし家は完成していない。そして支払ったお金が全額戻ってくるとは限りません。別の建築会社に工事を引き継いでもらうために、多額の追加費用が必要になる可能性もあります。
富士ハウスの破綻では、工事の進捗以上に多額のお金を支払っていた施主も存在し、大きな問題となりました。
同じ2009年には、埼玉県を中心に急成長していたアーバンエステートも経営破綻しています。積極的にテレビCMを流し、住宅展示場を展開している会社を見れば、一般の消費者は「これだけ有名な会社なら大丈夫だろう」と思ってしまいます。
しかし、住宅業界の歴史を振り返ると、「大手だから大丈夫」「老舗だから大丈夫」「全国展開しているから大丈夫」「テレビCMをやっているから大丈夫」という保証はどこにもないことが分かります。
今回のアエラホームは、民事再生法の適用申請です。突然会社がなくなってしまうわけではありません。地方や郊外を中心に「クラージュ」や「プレスト」などのブランドで注文住宅を供給してきた中堅ハウスメーカーです。
報道によると、ピーク時の2013年3月期には売上高210億2,250万円だったのが、2025年5月期の売上高は85億5,964万円まで減少したとのことです。実に6割近く売上高が減少したことになります。しかも4期連続の赤字で、債務超過も拡大していたそうです。
幸いなことに、スポンサー候補として東証グロース市場に上場するロゴスホールディングスの子会社として2026年7月3日に設立されたLHD-1が、吸収分割によって注文住宅事業などを承継する予定となっています。
ロゴスホールディングスは、新築請負契約を締結している施主との契約関係についても承継会社が引き継ぎ、グループとして責任を持って完工させる予定としています。
これは現在建築中の施主にとっては非常に重要なポイントです。住宅メーカーが経営破綻した時、最も大きなリスクを負うのは、まさに「契約してから引き渡されるまで」の施主だからです。今回のアエラホームについては、スポンサー企業への事業承継によって工事の継続が予定されています。
しかし、すべての住宅会社の倒産で、このようにスポンサーが現れるとは限りません。だからこそ、これから注文住宅を建てる方には、住宅会社の知名度や規模だけではなく、「万が一、この会社が倒産したら自分の家はどうなるのか」という視点を持っていただきたいと思います。
特に確認しておきたいのが、工事代金の支払い条件です。工事が10%しか進んでいないのに、代金の50%、70%を先に支払ってしまえば、住宅会社が倒産した時のリスクは当然大きくなります。
住宅会社から「今月中に入金してもらえれば値引きします」「決算なので先に支払ってください」などと言われても、工事の進捗に対して不自然に多額の前払いになっていないかは確認した方がいいでしょう。
そして「住宅完成保証制度」の有無も重要です。ここで間違えてはいけないのが、住宅瑕疵担保責任保険と住宅完成保証は別物だということです。瑕疵担保責任保険に加入しているからといって、建築会社が工事途中で倒産した際に、必ず家を完成させてもらえるわけではありません。
また、最近の住宅メーカーは「30年保証」「60年保証」といった長期保証を競うようにアピールしています。しかし、その会社が30年後、60年後まで存続している保証はありません。会社がなくなった場合に誰が保証を引き継ぐのかは、契約前に確認しておくべきでしょう。
住宅は、多くの人にとって人生最大の買い物です。
・数十万円の値引きを交渉する。
・住宅ローンの金利を0.1%でも低くする。
・少しでも性能の高い設備を選ぶ。
もちろん、どれも大切です。
しかし、それ以上に重要なのは、数千万円を支払った住宅会社が、きちんと家を完成させて引き渡してくれることです。
殖産住宅、日本電建、太平住宅。かつて「割賦三社」と呼ばれた巨大住宅会社でさえ、時代の流れの中で姿を消しました。近年も、突然の経営破綻によって多くの施主が影響を受けたケースが出ています。
新築注文住宅の購入や建て替えを検討中の方は、家を建てる会社を選ぶ際に、知名度や価格、住宅性能だけではなく、万が一その会社が倒産した時にも自分を守れる契約になっているのかを確認する。
住宅会社を選ぶことと同じくらい、「その会社に万が一のことがあった時、自分の家とお金をどう守るのか」を考えておくことが求められているのかもしれません。
2026年07月16日 03:57
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年、在宅勤務・リモートワークの導入によって、日本の働き方は一気に変わりました。当時は「これからは在宅勤務が当たり前になる」「毎日会社へ行く必要はなくなる」「都心の大型オフィスは不要になる」とまで言われ、私どもも3拠点あったオフィスのうち、学習塾拠点以外を閉鎖しました。私は学習塾拠点へ出社し、他のスタッフは完全リモートワークという体制です。
あの頃は、世界中がリモートワークへ向かっていくものだと、多くの人が信じていました。しかし、その流れは2023年頃まででした。
2024年になると週3日程度の出社を求める企業が増え始め、私どもも五反田駅前へ再びオフィスを構えました。そして2026年の現在はというと、まさかの「毎日出社が当たり前」という方向へ大きく舵が切られています。
一方で、逆に大きく普及したものがあります。それがリモート会議です。
どの企業もデジタルツールを導入したことで、取引先との打ち合わせは大半がオンラインになりました。以前なら1時間の打ち合わせのために往復2〜3時間かけて訪問していた仕事も、今では画面越しに済ませるのが普通です。出張も大幅に減りました。
リアルで会う場合は、「なぜ直接会う必要があるのか」「その結果として何を決めるのか」といった目的が以前より明確に求められるようになっています。
つまり、社外の人とはリモート会議。社内の人とはオフィスで仕事。これが現在の働き方になりつつあるように感じます。
さらにデジタル化によって大きく変わったのが、社員の働き方の分析です。社員証による入退館記録、パソコンの稼働状況、アプリケーションの利用履歴、オンライン会議への参加状況など、社員が「いつ」「どこで」「どのように」仕事をしているかを、以前より細かく把握できるようになりました。
こうした中でアメリカで話題となったのが「コーヒーバッジング」という働き方です。
朝だけ会社へ立ち寄り出社記録を残す。デスクでコーヒーを飲み、同僚と少し話をしたら、自宅や別の場所へ移動して仕事を続ける。会社から見れば出社実績は残りますが、実際にはオフィスへ短時間しか滞在していないという働き方です。
しかし、社員証の入退館記録やパソコンの利用状況などを組み合わせれば、このような勤務実態も以前より把握しやすくなりました。
数年前までは、ほとんどのアナリストが「リモートワークは今後ますます増える」と予測していました。ところが現在は、明確な成果や専門性を示せないままリモートワークを続ける社員に対して、企業側の目が急速に厳しくなるという180度の転換が起きています。
その象徴ともいえるのが、X(旧Twitter)です。2022年にイーロン・マスク氏がTwitterを買収すると、それまで導入されていた「希望すれば永続的に在宅勤務を続けられる」という制度を撤廃しました。原則として週40時間以上のオフィス勤務を求め、在宅勤務は特別な承認がある場合を除いて認めない方針へ変更したのです。
Amazonも2025年1月2日から、原則として週5日のオフィス勤務へ移行しました。アンディ・ジャシーCEOは、社員が同じ場所で働く方が、企業文化を強化し、協働、学習、発明を進めやすいと説明しています。
アメリカ最大級の金融機関であるJPモルガン・チェースも、2025年3月から原則週5日の出社を求める方針へ変更しました。ジェイミー・ダイモンCEOは以前から、リモートワークでは若手社員の教育、企業文化の継承、創造的な共同作業が難しいとの考えを示しています。
Appleも現在は原則として週3日のオフィス勤務を求め、社員証の入退館記録によって出社状況を確認していると報じられています。出社義務を守らない社員には、段階的な警告や処分の可能性も示されました。
Microsoftも2025年9月、社員のオフィス勤務を原則週3日とする方針を発表しました。Teamsを提供し、世界中のリモート会議を支えているMicrosoft自身が、社員にはオフィス勤務を求めているのです。
日本で象徴的なのが、GMOインターネットグループです。GMOは2020年1月、国内で新型コロナウイルスの感染が本格化する前から約4,000人の従業員を在宅勤務へ切り替え、日本で最も早く大規模リモートワークへ移行した企業の一つとなりました。
その後、2023年2月には「週3日出社・週2日在宅勤務」の推奨を終了して原則出社へ移行し、残されていた「週1日程度の在宅勤務推奨」も、2026年7月13日付で完全に廃止されました。2020年には在宅勤務の象徴だった企業が、6年後には毎日出社を基本とする会社へ戻ったわけです。
一方で、完全リモート求人がなくなったわけではありません。むしろ2026年には、リモート求人が再び増加しているという調査結果もあります。ただし、その中身は以前とは大きく違います。
リモート勤務を認められるのは、エンジニア、クリエイター、プロダクトマネージャー、コンサルタントなど、高度な経験と専門性を持ち、会社へ来なくても成果を出せる人材が中心です。
「あなたほどの専門家なら、完全リモートで構いません。当社で働いてください。」そんな求人も増えています。つまり、一般社員には出社を求める一方で、優秀な専門職については働く場所の自由を認め、企業同士で引き抜き合戦が行われるという二極化が進んでいるのです。
2020年当時、リモート会議とリモートワークは、同じ「新しい働き方」として語られていました。しかし2026年の現在、その二つはまったく別の方向へ進んでいます。
・リモート会議は定着する。
・出張や取引先訪問は減る。
・電子契約やクラウドはさらに普及する。
・在宅勤務は縮小・制限される。
・一般社員は出社状況や勤務実績を以前より細かく分析される。
・出社比率の少ない人員は評価や処遇で不利になる可能性が高まる。
つまり今後の働き方は、「在宅勤務か出社か」という単純な二者択一ではありません。一般社員にはオフィス出社を求める。一方で、優秀な専門職には働く場所の自由を認める。このような働き方の二極化が進んでいくのでしょう。
私もコンサルティング業務の中で、企業から「週1日から4日しか出社しない社員の人数と割合データ」を見せられる機会が増えました。そのデータをもとに「この人たちを今後どうするか」という議論をするわけです。
中には、「この仕事が出社しなくてもできるなら、このポジション自体が必要なのだろうか」という、かなり厳しい議論になるケースもありました。
AIの普及によって、人材を選別する動きは今後ますます加速していくでしょう。AIで代替できる仕事は、想像以上のスピードで置き換えられていくと思います。かつて「人間でなければできない」と言われていたスーパーのレジ打ちや飲食店の接客でさえ、自動化やロボット化が進んでいます。
今後の世界がどうなるかは、正直なところ私にも想像がつきません。
しかし、建設、設備管理、施工管理、ビルメンテナンス、警備、清掃など、現場で状況を判断しながら身体を動かす仕事は、事務職よりも人間の役割が長く残るでしょう。実際、50代以上でボイラー技士や施工管理技士などの資格取得へ動く人が増えているのも、その流れの一つだと感じています。
間違いないのは「今日はリモートで」なんて事を言っていると世の中から置いて行かれるというのとだけ。そんな働き方は伝染病蔓延時代の遺物であり、誰もが利用できる制度ではなく、企業が引き留めたい人材に与える待遇の一つへと変わりつつあります。
脱コロナの時代に必要なのは、在宅勤務か出社かを議論することではありません。2030年も今と同じ仕事をしている保証は誰にもありません。それは私も同じです。AI時代をどう生き抜くかではなく、すでにAI時代での淘汰は進んでいるのです
だからこそ、変化を恐れず、次の一手を探し続けながら、これからも挑戦を続けていきたいと思っている私です。
2026年07月15日 01:41
トヨタ・アルファードの商品改良で、これまで最も安いグレードだった「X」(2WDハイブリッド・8人乗り)がラインアップから姿を消しました。メーカー希望小売価格は510万円(税込)でした。代わって新たなエントリーモデルとなったのは「G」(2WDハイブリッド・7人乗りまたは8人乗り)。メーカー希望小売価格は559万9,000円(税込)です。つまり約50万円アップとなった形になります。しかもこの価格は、一つ上のグレードである「Z」(2WDガソリン・7人乗り)と同じです。
つまり、「同じ559万9,000円で、ガソリンのZにするか、ハイブリッドのGにするか」という選択ができるようになりました。なお、ハイブリッドのZは639万9,800円(税込)。こうなると、「G」と「Z」のどちらがお得なのか気になるところですよね。
以前の最廉価グレードXは、とにかく価格を抑えることに主眼が置かれていました。シートは手動式、ウインカーは上位グレードのような流れるタイプではなく、リアコンビネーションランプも点灯範囲が狭いため、後ろ姿だけで「X」と分かるほどでした。
さらに、センターコンソールには他グレードなら14インチサイズのディスプレイが収まる大きなスペースが用意されているにもかかわらず、Xは9.8インチのディスプレイオーディオを採用。そのため画面の縁が広く見え、「ちょっと寂しいな」という印象を受ける仕上がりでした。
それに対して新しいGは、内装・外装ともに質感が大きく向上し、「これがエントリーグレードなの?」と思える仕上がりになっています。
何よりもうれしいのは、前席パワーシート、14インチディスプレイオーディオ、12.3インチフル液晶メーター、本革巻きステアリング、フォグランプが標準装備となったことです。価格は50万円アップしましたが、その分、装備も大幅に充実しています。しかも以前のXでは選べなかった7人乗りも用意されています。
なお、「もう少し見た目をZに近づけたい」という方は、13万4,200円のメーカーオプションを選択すると、パワーバックドア、シーケンシャルウインカー、アダプティブハイビームシステムが追加されます。さらに5万5,000円のメーカーオプションで18インチアルミホイールを装着すれば、見た目の印象もかなりZに近づきます。
こんな感じで魅力が増したアルファードGですが、もちろん上位グレードとの差も残されています。
例えば、メーカーオプションのムーンルーフが選べないこと、ボディカラーがホワイトとブラックの2色のみであること。そして何より大きいのが、アルファードの象徴とも言える豪華な電動リアシートが装備されないことです。
そう考えると、リセールバリューまで考慮するのであれば、ガソリンのZにムーンルーフを装着するのが、一番バランスの良い選択かもしれません。
一方で、ハイブリッドとガソリンの価格差は約80万円あります。燃費差を考えると、5年間で年間2万km程度走行する方であれば、その差額を十分回収できる可能性がありますので、そのような使い方をされる方ならハイブリッドを選ぶ価値は十分あると思います。
もし私が購入するなら、東京都に住んでいることもあり、東京都独自の「ZEV車両購入補助金」と国のCEV補助金を活用して、Zのプラグインハイブリッドモデル(PHEV・764万9,400円(税込))を選ぶと思います。補助金を最大限活用すれば、実質約640万円程度で購入できます。
このモデルは、ムーンルーフ、電動サンシェード、19インチアルミホイールが標準装備となるほか、天井には東レの最高級人工皮革スエードが採用されています。さらにシステム最高出力も、通常のハイブリッドモデルの250PSに対して306PSへと向上しており、走行性能にも余裕があります。
通常ならハイブリッドZより100万円以上高いモデルですが、補助金を考慮すると、ほぼ通常のハイブリッドZと変わらない価格で購入できる計算になります。東京都にお住まいで補助金の対象となる方であれば、最もコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるかもしれません。
最後になりますが、自動車の中古車価格は国内需要だけでなく海外需要にも大きく左右されます。アルファードも輸出需要の影響が非常に大きい車種です。輸出先や時期によって人気の仕様は変化しますが、現時点では海外市場でガソリンモデルの需要が根強く、リセールバリューという点ではガソリン車が有利になる可能性があります。
今回の改良は、単純な値上げではなく、「価格は上がったものの、それ以上に商品力を高めた改良」と言えるでしょう。
これからアルファードの購入を検討される方は、「一番安いモデル」を探すのではなく、自分の使い方や予算、補助金制度、そして将来のリセールバリューまで含めて比較すると、より満足度の高い1台を選べるのではないでしょうか。
2026年07月14日 01:50
韓国のKOSPI(韓国総合株価指数)は、昨日7月13日に約9%急落し、一時的に取引停止(サイドカー)が発動されるなど、大きく値を崩しました。今回の急落は、AIブームの象徴だった半導体大手SKハイニックスが1日で15%を超える下落となり、サムスン電子も10%を超える下落し、KOSPI全体を押し下げました。利益確定売りに加え、AI向けメモリー需要の先行きや2027〜2028年の供給過剰への懸念が背景にあります。
そんな韓国では、株式市場だけではなく、小売業界でも大きなニュースが飛び込んできました。経営再建中の韓国の大手スーパー「HOMEPLUS(ホームプラス)」に対し、裁判所による企業再生手続きの廃止決定が出され、資金繰りの悪化から各地で営業停止や一時休業が相次ぎ、事実上の営業継続が困難な状況に陥ったと報じられています。
単に不採算店舗を何店か閉めるというレベルではありません。韓国を代表する大型スーパーが存続の危機に立たされているのです。このニュースを見て、私が最初に思い出したのは、ソウルワールドカップ競技場でした。
2002年の日韓ワールドカップで使用されたソウルワールドカップ競技場は、サッカーを見るためだけの施設ではありません。スタジアムの下や周辺には、大型スーパー、映画館、飲食店などが入った商業施設が整備されています。
最初にここへ入っていた大型スーパーは、フランス系の「カルフール」でした。その後、この店舗はカルフールからホームエバーへ、さらに現在のHOMEPLUSへと姿を変えています。
カルフールは1990年代から韓国へ進出し、大型店を展開していました。しかし、韓国の消費者や商習慣への対応に苦戦し、2006年に韓国市場から撤退します。
ちなみに、日本市場への参入は2000年、撤退は2005年でした。当時は「黒船来航/世界第2位の小売企業が日本へ」と話題になりましたが、日本市場でも成功することはできませんでした。
韓国国内のカルフール店舗を買収したのは、衣料品や流通事業を展開するEランドグループでした。買収後、店舗名は「ホームエバー」へ変更されます。
ところがEランドも、カルフール買収による多額の借金を抱えていました。さらに非正規雇用問題による大規模な労働争議や営業不振も重なり、ホームエバーは巨額の赤字を計上。買収からわずか2年ほどで、再び売却されることになります。
2008年にホームエバーを買収したのが、当時イギリス最大手スーパー「テスコ」の傘下にあったHOMEPLUSでした。こうしてカルフールの店舗はホームエバーを経てHOMEPLUSへと変わっていきました。ソウルワールドカップ競技場の店舗も、その一つです。
ちなみにテスコも日本へ進出しています。2003年に「つるかめランド」を買収して日本市場へ参入しましたが、こちらも2011年に撤退しました。カルフールもテスコも、日本市場では成功できなかったのです。
ただし、HOMEPLUSそのものはカルフールを引き継いで誕生した会社ではありません。1997年にサムスン物産の流通事業としてスタートし、1999年にはサムスンとテスコによる合弁会社「サムスンテスコ」となりました。
テスコは韓国へ資金や小売ノウハウを持ち込み、HOMEPLUSは急速に店舗網を拡大します。さらに2008年には旧カルフール系のホームエバー約35店舗を買収。これによってHOMEPLUSは韓国第2位の大型スーパーへと成長しました。
つまりHOMEPLUSには、
・サムスンとテスコが新規出店した店舗
・カルフールからホームエバーを経て引き継いだ店舗
この2種類が混在していたことになります。
HOMEPLUSは、時代遅れのスーパーだったわけではありません。2011年にはソウルの地下鉄駅に「バーチャルストア」を設置し、世界中から注目を集めました。
駅構内の壁いっぱいに商品棚を再現し、利用者は商品のQRコードをスマートフォンで読み取るだけで買い物ができます。注文した商品は自宅へ配送されるため、会社帰りに重い米や水、日用品を持ち帰る必要がありません。
当時はまだスマートフォンもネットスーパーも現在ほど普及していませんでした。「お客様を店舗へ呼ぶのではなく、駅そのものを売場にする」という発想は非常に斬新で、世界中のマーケティング関係者が視察に訪れました。実は私も、ソウルまでこのバーチャルストアを見学に行った一人です。
当時は「未来の買い物はこうなるのか」と感心したことを今でも覚えています。だからこそ、今回のHOMEPLUSの経営危機は本当に信じられませんでした。
順調に見えたHOMEPLUSですが、大きな転機が訪れます。2015年、テスコは本国の経営再建を優先するため、韓国事業を売却しました。
買収したのは韓国最大級のプライベートエクイティファンド(PEファンド)であるMBKパートナーズです。買収額は約61億ドル。アジア最大級のLBO(レバレッジド・バイアウト)案件でした。LBOとは、企業の資産や将来の利益を担保に、多額の借金をして会社を買収する手法です。
もちろん成功すれば大きな利益になります。しかし利益が伸びなければ、買収時の借金そのものが企業経営を圧迫します。HOMEPLUSは、まさにその状況へ陥っていきました。
もちろん、経営悪化をMBKだけの責任にすることはできません。韓国の流通業界そのものが大きく変化したからです。特に大きかったのはクーパンなどネット通販の急成長でした。
水や米、日用品まで翌日には自宅へ届く。そうなれば郊外の大型スーパーへ車で行く必要は減ります。一方、大型スーパーは広い売場、駐車場、人件費、光熱費、設備更新費など莫大な固定費を抱えています。
売上が伸びている間は店舗数が武器になります。しかし売上が減れば、その店舗網が重荷へ変わります。新型コロナウイルスも消費者をネット通販へ移行させる大きなきっかけとなりました。HOMEPLUSは、重い財務負担を抱えたまま、業態そのものの変化に直面することになったのです。
HOMEPLUSは2025年に企業再生手続きを申請しました。しかし裁判所の調査では、営業を続けるより資産を売却した方が価値が高いという厳しい結果が示されました。
MBKも約2兆5,000億ウォン相当の株式を放棄すると表明し、事実上、投資案件として失敗を認める形となりました。現在は買い手探しが続けられていますが、資金繰りは極めて厳しい状況です。
報道では、商品がほとんど無くなった売場や、撤退準備を進めるテナント、半額セールへ殺到する買い物客の姿が伝えられています。
スーパーは毎日現金が入ってくる商売です。しかし、その裏では毎日、仕入代金、人件費、物流費、電気代が支払われています。資金繰りが止まれば商品は入荷せず、売場は少しずつ空になっていきます。これは閉店セールではなく、企業の信用が失われた結果なのです。
今回のHOMEPLUS問題は韓国だけの話ではありません。日本でも大型総合スーパー(GMS)は苦戦しています。フランス・カルフールは撤退。イギリス・テスコも撤退。アメリカ・ウォルマートも西友を売却して日本市場から撤退しました。イトーヨーカドーも大量閉店を進めています。
一方で躍進した企業があります。それがドン・キホーテです。ドン・キホーテは、総合スーパーとは逆の発想でした。狭い通路、圧縮陳列、宝探しのような売場づくり、深夜営業。
さらにユニーをグループ化し、アピタやピアゴをMEGAドン・キホーテへ転換することで、大型店舗を再生させています。大型店舗そのものが悪いわけではありません。重要なのは、その建物を時代に合わせてどう使うかなのかも知れません。
流通業界では、「店舗を増やせば勝てる」という時代は終わりました。これから求められるのは、大きな店舗を持つことではなく、消費者の生活スタイルの変化に合わせて店舗の役割そのものを変え続けることなのでしょう。
HOMEPLUSの経営危機は、韓国だけの話ではありません。日本の流通業界にとっても、これからの大型店舗のあり方を考えさせられる出来事だと感じています。
2026年07月13日 06:53
今年は4月9日に人間ドックを受け、結果を聞きに行ったのが5月8日。昨年のように「このままだと死にます」的な話は無かったものの、昨年同様に「まず禁酒しろ」と言われました。期間が3か月ではなく1か月だったのが幸いでしたけどね。お酒解禁は6月15日。そこからソウル・燕三条・鈴鹿8耐・青少年団体のボランティアと、怒涛のような1か月が通り過ぎました。1か月で50万円超え(先月ヤフオクで倉庫の物を売った総額と同一!)という恐ろしい額の請求書も届いているので、恐ろしいほどの酒量を飲んだのでしょう。
そして先週、自宅に届いた人間ドック後の健康診断結果を見てみました。診断結果には「エコー検査の結果、脂肪肝を認めます」と書かれていました。各種血液検査の数値は問題ありませんでしたが、本日午後に診断結果を聞きに行きます。
確認するまでもなく2週間前から腰痛が出ているので、またウルソ(ウルソデオキシコール酸/胆汁の分泌を促して肝臓を守り、肝機能の改善やコレステロール系胆石の溶解を促す薬)を処方され、当面の間は禁酒になることは覚悟しています。
炭水化物を控え、グミも禁止していたのに、昨日は本日の禁酒宣告を前に防災食の缶カンパンを開け、中のカンパンを全部食べたうえに氷砂糖も1個食べてしまいました。診察室に入って数分で、「1か月間は炭水化物を減らして禁酒し、再度診察を受けてください」と言われて出てくるのだと思います。
プロ野球で成績不振の1軍選手が監督に呼ばれる気分ってこんな感じなんですかね。絶対2軍確定みたいなね。でも頑張らないと解雇って感じ?ただ、私の場合は解雇じゃ無くて死が待ってますので、冗談じゃ無く、ちゃんと話を聞いてきます。
それにしても、飲み過ぎで亡くなってしまった友人や、アルコール使用症(従来のアルコール依存症)で入院している知人がいるというのに、なかなか反省しない男ですよ、私は。
ただ、お医者さんに文句を言ったり質問攻めにしたりはしますが、幸い禁酒と言われれば、その期間だけは守れる脳ミソは持っているようです。少なくとも今のところは、そこが最後の砦なのかもしれません。
今週はいびきアプリでいびきが検知されているので、睡眠時無呼吸症候群の検査も受けに行きます。検査キットを借りて自宅でチェックして、中度以上の判定だと保険治療らしく、保険外でレーザー治療もあるらしいのですが、なんだか分からない世界なので小さくビビッている私です。
餃子の餃子の王将で使われている水のグラスは、一般的な中華料理店よりも少し小さめ(満水で約190cc)です。これは、スタッフがテーブルへ足を運ぶ機会を増やし、お客様との接点を高めて行こうと言う考え方から採用されたといわれています。ところが、店員側から「何度も水のおかわりで呼ばれるのは大変」という話しになり、多くの店舗でピッチャーを置くスタイルが一般的になって行ったそうです。
この置かれている水ピッチャーなんですが、よく使われている「本間冬治工業 ノンウェットピッチャー」という最大1.7リットルのピッチャーへ氷をパンパンに詰め込んでから水を入れている店舗が大半です。
当然ですが、氷をそこまで入れてしまえば、水は1リットルも入りません。冷たさは長持ちするのでしょうが、すぐに空になってしまい、結局は補充が必要になります。水の補充を頼んでもらって接触機会を維持する戦略なのかもしれませんが、どっちつかずになっている気がします。
こうした変化は、水だけではありません。かつて餃子の王将は、各店舗で餃子を包み、焼くことを大きな特徴としていました。各店舗で餃子を包んで焼くからこそ、「あの店は焼き方がうまい」「この店は少し大きめだ」そんな店舗ごとの個性も、王将の魅力の一つだったように思います。
今はセントラルキッチンで製造された餃子が各店舗へ配送され、店舗では焼くだけ。この方式は餃子だけでなく、さまざまなメニューへと広がり、店舗で行う作業は加工済み食材を調理&盛り付けが中心になりました。以前は人気だった各店独自メニューも減少の一途です。
もちろん、この変化には理由があります。品質を均一に保ち、衛生管理を徹底し、人手不足にも対応できる。全国どこの店舗でも同じ味を提供できることは、チェーン店として大きな強みです。一方で、店舗ごとの個性や味を楽しむ機会は、少しずつ姿を消していきました。
効率化や標準化は時代の流れとして避けられません。大手であればあるほど当然です。しかし、その一方で、かつての「店ごとの個性」や「現場の技術」が生み出していた魅力も、チェーン店の魅力をアピールする上で、決して小さくはなかったのではないでしょうか。
餃子の王将の小さな水グラスや水ピッチャーを見ていると、飲食店の魅力が薄れてきた背景には、チェーンストアの味の統一化や、スタッフの負担軽減・効率化といった時代の変化があるのかもしれない・・・そんなことを感じます。
そして、こうした変化は餃子の王将だけの話ではありません。接客を重視し、口頭注文で食事後の支払いをかたくなに守って来た吉野家もタッチパネル注文に変更。支払いは現金のみを徹底していたサイゼリヤも各種決済方法OKのセルフレジを採用。今後もこの流れは止まらないでしょう。
飲食業界全体が今、大きな転換期を迎えています。夜の営業時間帯を利用する人は減少の一途をたどり、減っていく夜のお客様を巡る競争には、王者マクドナルドまで参入しています。大人数での飲み会は激減し、少人数でお酒を楽しむ機会すらも以前ほど多くありません。
だからこそ、個人経営の飲食店や居酒屋はもちろん、食事中心の大手チェーンであっても「効率化」だけでは物価上昇や人件費高騰によるコスト増を吸収しきれず、価格競争にも限界が見え始めています。
これからの飲食店には、価格や効率だけではなく、「その店だから行きたい」と思わせる個性や体験価値が、これまで以上に求められる時代なのかもしれませんね。
2026年07月12日 05:44
先日、残価設定型ローン(以下、残クレ)で車を買うことについてのブログを書いたところ、「多額の金利を支払うことになるリスクが書かれていない」というご指摘をいただきました。そこで今回は、その点だけにテーマを絞ってみたいと思います。例えば600万円の車を、通常ローンと残クレの金利をどちらも年5.0%、ボーナス払いなしの60回均等払いで比較してみます。なお、5年後の残価は246万円(41%)と設定します。
・月々の返済額:約113,200円 vs 約77,100円
・利息総額:約79万円 vs 約108万円
・総支払額:約679万円 vs 約708万円
残クレは月々の返済額が約3.6万円安くなる一方で、利息は約29万円多く支払うことになります。
「ローンの対象は残価を差し引いた金額なのだから、利息も少なくなるのでは?」と思われる方も多いでしょう。実はここが残クレの仕組みです。
残クレは5年後の残価246万円を最終回の支払いとして残しておくため、その246万円にも契約期間中ずっと金利がかかり続けます。通常ローンのように元金が毎月均等に減っていくわけではないため、借入残高が大きい状態が長く続き、その結果として支払う利息も増えてしまうのです。
つまり、残クレは「金利が高いローン」なのではなく、「元金が減るスピードが遅いローン」だから、同じ金利でも支払う利息が多くなるということです。
もちろん、毎月の支払いを抑えられるメリットはありますので、家計や資金繰りを重視する方には有効な選択肢でしょう。一方で、契約によっては定期点検をディーラーで受けることが条件になっていたり、返却時には走行距離や車両状態に関する条件が設けられていたりする場合もあります。
「月々の支払額が安い」という点だけで判断するのではなく、「最終的にいくら支払うことになるのか」まで含めて比較した上で、自分に合った購入方法を選ぶことが大切だと思います。
最後になりましたが、どちらの買い方を選んでも、5年間で支払う利息は約79万円または約108万円です。でも、その金額があれば未使用の軽自動車を1台買えてしまうという現実もあります。
趣味は人それぞれ。鉄道模型、カメラ、釣り、盆栽・・・さまざまな趣味がありますが、車好きには他の趣味にはない多彩な購入方法や支払い方法が用意されているのも事実です。
だからこそ、身の丈に合った返済方法を選び、無理なくカーライフを楽しめる人は素晴らしいなあと感じている私です。
ちなみに、私の周りには50万円もしない軽ワゴンに100万円以上するバイクを積み込み、サーキットへ行ってぶっ壊すことを趣味にしている方々が結構います。私もそうですが、まことに趣味とは奥深いものですね。
全東信の破産から数日が経過し、負債総額が当初報じられていた額より約100億円多いことも分かってきました。なぜかこの被害を「大阪だけの話」のように説明している解説動画も多数見かけますが、実際には東京でも多数の加盟店が影響を受けており、被害は全国規模となっています。
これによって大きなダメージを受けている飲食店や小売店が多数出ているわけですが、こうなると他社の決済サービスへの切り替えを検討する必要も出てきます。当然ながら、様々な会社が積極的に営業をかけているわけですが、自分自身の知識向上のためも含め、一旦リスト化してみました。案件ではないのでリンクは張っていません。
・Airペイ(運営会社:リクルート)/Airレジとの連携が簡単
手数料率:約2.48〜3.24%/月額:0円/入金:月3回または6回(銀行による)
・Square(運営会社:Square[アメリカBlockの日本法人])/導入が早い
手数料率:約2.5〜3.25%/月額:0円/入金:最短翌営業日(一部銀行)
・楽天ペイ(運営会社:楽天グループ)/入金が早く楽天経済圏入りできる
手数料率:約2.48〜3.24%/月額:0円/入金:楽天銀行なら翌日
・stera pack(運営会社:三井住友カード)/大手の安心感とオールインワン端末
手数料率:約1.98〜2.70%/月額:3,300円程度/入金:最短翌々営業日
・PAYGATE(運営会社:スマレジ)/スマレジとの連携が簡単
手数料率:約1.98%〜/月額:プランによる/入金:最短翌営業日
・STORES(運営会社:STORES)
手数料率:約1.98〜3.24%/月額:プランによる/入金:数営業日
・PayCAS(運営会社:PayPay)
手数料率:約1.98〜3.24%/月額:プランによる/入金:月2回
・USEN PAY(運営会社:USEN)
手数料率:2.99%〜/月額:条件付き0円/入金:月2回(オプションで翌日入金)
・Alpha Note(運営会社:アルファノート)
手数料率:契約内容による/月額:契約内容による/入金:月1回・月2回・週払い
私どもは楽天ペイを利用していますが、実はAirペイの審査にも通っていました。その後、タッチ決済の一般化や様々なQR決済への対応などを考えているうちに、そのまま放置してしまい、Airペイの申込書類が今でも机の上に置きっぱなしになっています。
移動販売車の方々によく使われている印象があるのはSquareです。導入までのスピードや使いやすさが評価されているのかもしれません。最近では、三井住友カードのstera packを導入している店舗もよく見かけるようになりました。
もちろん手数料は重要です。しかし、それ以上に「売上金がいつ入金されるのか」「運営会社の経営基盤は安定しているのか」「QR決済やタッチ決済など、今後普及する決済手段にも柔軟に対応できるのか」といった点も、これからは重要な判断材料になるでしょう。
昔はカード売上の入金まで1〜2か月待つことも珍しくありませんでした。しかし現在では、翌営業日や数日以内に入金されるサービスも増えています。キャッシュフローが改善されることによる経営面でのメリットは、飲食店にとって決して小さくありません。
私どもで最初に楽天ペイを導入した頃は、iPadのヘッドホンジャックにカードリーダーを差し込むだけでカード決済が始められる時代でした。その後、タッチ決済や各種QR決済が次々と登場し、一台の端末で様々な決済方法に対応できることが当たり前になりました。キャッシュレス決済は、この10年ほどで大きく進化したと感じています。
今回の全東信の破産は、多くの加盟店にとって非常に大きな痛手となりました。しかし一方で、自店の決済環境を見直すきっかけにもなっています。
これからは「どの会社が一番安いか」だけではなく、「売上金がいつ入金されるのか」「安心して売上を預けられる会社なのか」「将来の決済手段にも対応し続けられるのか」といった視点で選ぶ時代になっていくのでしょう。
今回の出来事を教訓として、決済会社選びの基準そのものを見直す加盟店が増えるのではないかと感じています。
2026年07月11日 05:55
ビジネスの世界において、経営悪化による「倒産(破産)」は珍しいことではありません。しかし、今回の「全東信」のケースは通常の企業倒産とは性格が大きく異なるように感じます。報道では長年にわたる粉飾決算が指摘されており、単なる経営不振だけでは説明しきれない異例の事案と言えるでしょう。その異常さは、破産申立書に記載された「債権者リスト」を見れば一目瞭然です。債権者は実に63社。しかも、メガバンク(みずほ・三井住友・三菱UFJ)の名前は一つもなく、りそな銀行も含まれていません。それにもかかわらず、自己破産申立時の負債総額は約1,151億6,400万円に達しています。
また、近畿産業信用組合、ハナ信用組合、成協信用組合、朝銀西信用組合、ミレ信用組合、横浜幸銀信用組合、イオ信用組合など、歴史的に在日韓国・朝鮮コミュニティを母体として発展してきた信用組合も複数含まれています。最大債権者は近畿産業信用組合の219.9億円で、この7つの信用組合の債権額を合計すると358.6億円となり、金融機関向け債権全体の約3割を占めています。
債権者リスト)
・近畿産業信用組合 219.9億円
・東京スター銀行 80.0億円
・東和銀行 80.0億円
・山口銀行 74.9億円
・大阪厚生信用金庫 68.3億円
・ハナ信用組合 45.0億円
・北おおさか信用金庫 40.0億円
・成協信用組合 34.7億円
・第一勧業信用組合 29.0億円
・三十三銀行 22.0億円
・関西みらい銀行 21.0億円
・バンカーズ・クラウドクレジット・ファンディング 20.7億円
・あすか信用組合 20.0億円
・朝銀西信用組合 19.0億円
・百十四銀行 18.5億円
・ミレ信用組合 18.0億円
・きらぼし銀行 / 大光銀行 / マイナビブリッジ 各 15.0億円
・KEBハナ銀行 12.8億円
・愛媛銀行 12.4億円
・永和信用金庫 / 高知銀行 各 12.0億円
・伊予銀行 11.4億円
・大同信組 / 横浜幸銀信組 / イオ信組 各 11.0億円
・四国銀行 10.8億円
・みなと銀行 10.0億円
・枚方信用金庫 9.9億円
・JA三井リース 9.0億円
・イオン銀行 8.8億円
・静岡銀行 8.6億円
・千葉興業銀行 / 信用組合広島商銀 / 島根銀行 各 8.0億円
・大阪協栄信用組合 7.5億円
・京滋信用組合 7.3億円
・信用組合愛知商銀 7.0億円
・大阪商工信用金庫 / 佐賀銀行 / SAMURAI ASSET FINANCE 各 6.0億円
・南都銀行 / 宮崎銀行 / 兵庫ひまわり信用組合 各 5.0億円
・福岡ひびき信用金庫 4.5億円
・韓国産業銀行 / 十六銀行 / 東信用組合 各 4.0億円
・神戸信金 / 但馬銀行 / 鳥取銀行 / 栃木銀行 / 中ノ郷信組 / 京都中央信金 各 3.0億円
・江東信用組合 2.0億円
・肥後銀行 / 中国銀行 各 1.5億円
・中央信用組合 1.1億円
・トマト銀行 / 静岡中央銀行 / 全東栄信用組合 各 1.0億円
・神奈川銀行 5千万円
地方銀行、第二地方銀行だけでなく、信用組合、信用金庫、リース会社、さらにはソーシャルレンディングまで、実に幅広い金融機関・企業が債権者となっています。これほど全国の金融機関から多額の融資を受けていた企業は、極めて珍しいのではないでしょうか。
さらに今回は「準自己破産」という形で申し立てられています。準自己破産は、債務者以外の利害関係人などが申し立てる手続きであり、通常の自己破産とは異なる経緯をたどっています。なぜこの手続きが選択されたのか、会社内部でどのような状況にあったのかについては、今後の破産手続きや関係者の説明によって明らかになることが期待されます。
長年にわたる粉飾決算が指摘され、多数の金融機関が巨額の債権を抱えるという今回の事案は、日本の金融機関の融資審査やモニタリング体制にも大きな課題を投げかけています。今後、破産管財人の調査などを通じて、どのような経緯でこれほど多額の融資が実行され、粉飾が長期間見過ごされてきたのかが明らかになることを注視したいと思います。
2026年07月10日 04:29
クレジットカード決済代行を手がける「全東信」が大阪地裁に破産手続きを申請したとの報道から数日が経過しました。私は「今どきの飲食店はリクルートのAirペイ・三井住友カードのstera pack・楽天ペイのどれかだろう」と思っていたので、最初はあまり気に留めていませんでした。ちなみに弊社は楽天ペイを利用しています。カード払いされた代金は最短で翌日に入金され、今では前述の3社であれば、カード利用から数日以内に現金化されるのが当たり前になっています。
ところが調べてみると、この会社は意外にも多くの飲食店と契約していたそうで、全国の飲食店や小売店から悲鳴が上がっているようです。
全東信は、まだカード売上の入金まで1か月以上かかることも珍しくなかった時代に成長した企業でした。また、大手カード会社と直接加盟店契約を結ぶことが難しい店舗に対しても、決済サービスを提供していたケースが多かったようです。
日本飲食団体連合会は、「全東信の決済端末の使用を直ちに停止すること」「カード決済したにもかかわらず未入金となっている売上代金の回収が困難になる可能性がある」と緊急声明を発表しています。
カード決済の売上が大半を占める飲食店も少なくないでしょう。特に高級店では、その割合はさらに高いと思われます。もしキャバクラやホストクラブで先週分の売上入金が突然止まったら、店舗の資金繰りは一気に悪化し、存亡の危機に陥っても不思議ではありません。
全東信は1987年、大阪南飲食事業協同組合として設立され、長年にわたり飲食店向けのクレジットカード決済代行事業を展開してきました。
しかし今回の件を見ると、決済代行会社は単なる「カード決済の窓口」ではなく、「売上金を一時的に預かり、加盟店へ送金する金融インフラ」でもあることがよく分かります。
飲食店や小売店の経営者は、どうしても決済手数料の安さに目が行きがちです。しかし本当に重要なのは、「確実に、そして速やかに売上金が入金されること」ではないでしょうか。
キャッシュレス化が進んだ現在、売上金が1週間、2週間止まるだけでも資金繰りに深刻な影響を与えます。利益が出ている店であっても、現金が回らなければ経営を続けることはできません。
「どこの決済会社を選ぶか」は、単なるコスト比較ではなく、会社の資金繰りを左右する重要な経営判断です。
正直なところ、私はこのような昔ながらの仕組みを中心に事業を続けている決済代行会社が、現在でも一定のシェアを持っていることを知りませんでした。調べてみると、業界には地域密着型や業種特化型の決済代行会社も存在するようです。
これまで決済代行会社の経営状況まで気にして契約していた経営者は、それほど多くなかったかもしれません。しかし今回の全東信の破綻は、「決済会社も取引先であり、その信用力も経営リスクの一つである」という事実を、多くの経営者に改めて認識させる出来事になったのではないでしょうか。
キャッシュレス決済は便利な仕組みですが、その便利さは決済代行会社の信用の上に成り立っています。だからこそ今一度、自社の売上を預ける相手が本当に信頼できる会社なのかを見直す良い機会なのかもしれません。
2026年07月09日 06:24
「社長になれば自由とお金が手に入る」そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。少なくとも28年前の私は、そう信じていました。私自身もそう思って1998年2月の長野オリンピック終わりで独立しました。あれから28年が経過。法人設立から21年が経過し、いよいよ22期目をスタートさせました。今分かっているのは、30歳で広告代理店を退職した時の年収を超えたことは1度も無いってこと。資金繰りは一瞬の休みも無く続き、経営は常にトラブルの連続でした。
資金繰り、人材不足、クレーム、採用、値上げ、取引先との交渉、社員の悩み・・・、会社が大きくなればなるほど、問題は減るどころか、むしろ種類が増えていきます。そんなわけで、独立から8年目の2006年には、40歳での離島移住を発表し、法人を畳む決断をしたこともありました。
結果的には完成していた六本木ヒルズと、完成間近だった東京ミッドタウンのイベントスペース開発やメディア開発というお仕事が入って来たことで、それを頑張ることになって現在に至るのですが、思い返せばいろいろありました。
1992年のバブル崩壊は「2度と来ない」といわれましたが、1995年には阪神淡路大震災の直撃を受け、1997年にはアジア通貨危機と山一證券・北海道拓殖銀行等の破綻が発生、2000年にはITバブル崩壊、翌年はアメリカ同時多発テロ事件、2008年リーマン・ショック、2011年東日本大震災と、何度もバブル崩壊はやって来ました。直近だとコロナです。
その昔は、仕事があっても入金は2〜3か月後ということも珍しくありませんでした。手形取引が当たり前で、90日手形や120日手形を受け取ることは日常茶飯事。月末締めの翌月末90日の手形だと、手元にお金が入って来るのは最大150日後。大手広告代理店も以前はそう(今は翌月現金)でした。
一方で、社員の給料、外注費、社会保険料、税金は待ってくれません。「毎日、通帳残高と支払予定表を見ている」そんな社長も決して少なく無いでしょう。私はその一人です。
金融機関は、会社の業績が悪くなってからでは融資に慎重になります。経営者の多くは資金繰りが厳しくなって、はじめて業績悪化に気づきます。業績悪化に気づいた時には融資を受けられず、結果的に破綻へ至るということは珍しくありません。
私もそんな経営者でした。決済日や給料日に現金が無く、あわててキャッシングを受けたことは1度や2度ではありません。複数の金融機関から500万円以上ものキャッシングを受けたこともありました。資金繰りは単なる数字ではありません。夜眠れなくなるほどのストレスなのです。
今の経営者は、仕事だけを見ていればいい時代ではありません。社員に起因する問題が次々発生します。突然出社しなくなる。夫婦問題でメンタルを崩す。親の介護で退職したいと言われる。経営者が「頑張って支えよう」と思えば思うほど、それらの問題すらも抱える事になります。
忙しいのに利益が残らない。材料費が上がる。電気代が上がる。人件費も上がる。それでも価格転嫁ができない。利益は出ないけど断ったら次の仕事が来ない。どうどう巡りです。
求人は求人広告を出せばいいと思っている方も多いでしょう。マイナビ・ビズリーチ・リクルートエージェント・doda・エン転職等に広告を出すごとに50万円から100万円がかかります。採用できると採用した人材の年収の30%以上を成功報酬として支払うケースも珍しくありません。そんな大金かけられますか?
請求書は発行した。納品も終わった。それでも入金されない。電話をすると、「経理のミスで来月になります・・・」そんなことを平然と言う大企業社員も少なくありません。会社は売上ではなく現金で動いています。未収金は資金繰りだけでなく、経営者の精神も大きく消耗させます。
家賃、コピー機、ビジネスホン、パソコン、クラウドサービス、固定電話通信費、携帯電話通信費、社用車・・・なんだかんだとお金は毎月出て行きます。売上が減っても、固定費だけは静かに会社を圧迫し続けます。
現場のミス。SNSでの炎上。顧客からの厳しい苦情。最後は社長が出ていくことになります。謝罪し、説明し、ときには理不尽な要求にも対応する。「なぜ自分が」そう思っても、会社の看板を背負っている以上、逃げることはできません。
会社の業績が悪くなった時、多くの社長は真っ先に自分の役員報酬を下げます。社員の生活は守りたい。取引先への支払いも止められない。だから最後は自分が我慢する。経営者なら当たり前かもしれません。でも私は法人設立後1度も賞与を受け取れたことはありません。
休日でも売上を気にする。旅行中でもメールを見る。夜中に目が覚めて資金繰りを考える。経営者は体を休めることはできても、頭を休めることが難しい職業です。しかも社員には不安を見せられず、家族にもすべてを話せない。この孤独感も、経営者ならではのものです。
仕事があるから事務所へ行ってるのに、事務所につくやいなや「パソコンの調子がおかしい」「メールの送受信ができない」等と言われることもあります。「修理屋だとでも思ってるのか?」と腹立つこともあるのですが、グッと押し殺してそれらへ対応するのも経営者です。
会社には社員がいます。その家族がいます。取引先がいます。お客様がいます。だから「辞めたい」と思う日があっても、簡単には辞められません。経営とは、数字を管理する仕事ではなく、多くの人の生活と期待を背負い続ける仕事なのだと思います。
経営者になってからの28年間、「トラブルのない日」はほとんどありませんでした。資金繰り、人材、営業、クレーム、制度変更、景気の変化、そしてコロナ。一つ解決したと思えば、また次の課題がやって来ます。
だから最近は、「トラブルが起きない会社」を目指すのではなく、「トラブルが起きても乗り越えられる会社」を目指すことの方が大切なのだと考えるようになりました。というか、企業経営はトラブルの連続なのです。
経営者とは、次々と起こる問題を一つずつ解決しながら、それでも事業を続ける人のことなんだと思うようになりました。法人設立とは、歴史を未来永劫つづけますという宣言であり、設立した以上は永続的に続ける覚悟も必要なのだと思うようになりました。
法人設立から22期目がスタートしました。これからもきっと、さまざまなトラブルが待っているでしょう。それでも一つひとつ乗り越えながら、会社を未来へつないでいきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2026年07月08日 04:40
私が円安について最初にブログを書いたのは2022年4月「円が下落するという意味(リンク)」でのことでした。1ドル=128円と言う局面でした。この中では「総理や日銀総裁も含め日本人は円安について寛容な態度ですが、1ドル105円が128円になるってことは、日本円でしか給料をもらって無い方は給料が4分の3になったこと意味してるの分かってます?」と書いています。
当時から私は「日銀は金利を正常化すべきだ」と考えていました。しかし当時のテレビや新聞では、「円安の原因は日米の金利差による円キャリートレード」「投機筋が円を売っている」「投機を止めれば円安は収まる」といった解説が数多く見られました。
この時点ですでに「120円が防衛ライン」と言っていたのは軽々と突破され、「130円が限界」と言われていましたが、ココも余裕で突破。それでも「135円なら介入」等という経済評論家が大半で、円の価値がドンドン失われていることに気付いている人は少ないようでした。
半年後の2022年10月には「円安が止まらない(リンク)」と書いています。この時点では1ドル=148円となっていて、「150円なら為替介入」との話しが当たり前のように出ていた時でした。
そんな状況でしたから、私は「為替介入があったらドルを買おう」と決めていて、実際に介入があり130円前後になった年末年始に100万円分のドル建て生命保険に入りました。この時、もっと円建ての生命保険をドル建てに変えるべきだったかもしれませんが、まだ良く分かっていませんでした。
私自身「150円はさすがに行き過ぎ」と思っていたのですが、経済評論家やアナリストが言う防衛ラインは何度も引き上げられていき、日銀の利上げもユルユルとしか進みませんでした。その結果が今の1ドル=162円と言う状況なのでしょう。
そもそも、「円安はアメリカの金利が高く日本の金利が低いから円を売ってドルを買っている円キャリートレードが原因」なのでしょうか。
私は「1ドル=200円を突破する可能性もある」と書いたこともありましたが、その時の判断理由はリモートワークの普及でした。突然日本中でZoomやTeamsといったリモート会議システムに課金するようになり、NetflixやYouTubeといった動画サブスクの利用が急拡大したためです。
私を例に挙げると、コロナ禍で「Zoom・Office365・Netflix・YouTube・DAZN・Amazon prime・Disney+」へ課金するようになりました。月額約1.3万円。年間15万6千円です。
そもそもこの他にAdobe Creative Cloud Proの月額1万円を負担していました。今はAIへの課金が月額3万円ほどあります。私一人だけで前述のサブスク分を合わせると月額5.3万円・年間60万円以上が円からドルになっているわけです。
この他にもNISAを活用する人が激増(総口座数は約2,826万口座で国民の3分の1が利用)。利回りで選べばオールカントリーやS&P500といった商品を選ぶ方も多いでしょうから、当然ながらアメリカへ投資することになり、円が着実にドルへと流れるわけです。
仮に3千万人がサブスクへ月額3千円課金するとして900億円/月。年間で1兆円以上。つみたてNISAで月額3万円をアメリカへの投資に回す人が1千万人いたとして年間で3兆6千億円。少なく見積もっても毎年5兆円は普通の日本人が円をドルに流している計算になります。
つまり、私から見ると現在の円安理由は円キャリートレードなんてレベルでは無く、構造的な物に見えるわけですよ。そして私の視点に基づいて、私は全資産を着実にドルへと変えています。経済評論家なんてあてに出来ませんからね。
Temu・SHEIN・AliExpressで買い物をすれば着実に円が外貨に替わります。これも円安要因でしょう。Amazonで買い物したってアメリカ企業です。しかもAmazon商品には多くの越境ECが含まれています。日本人は毎日円を捨てて外貨へと替えているのが現実なのではないでしょうか。
もちろん、為替は日米の金利差だけで決まるものではありません。輸出入、企業の海外投資、観光、エネルギー価格、各国の金融政策など、数え切れないほどの要因が重なって動いています。
ただ、この数年間で私たち日本人の生活そのものが大きく変わったことも事実です。海外のサブスクを利用し、海外企業のAIサービスへ課金し、NISAで海外株へ投資し、海外ECサイトで買い物をする。そのたびに円は外貨へと替えられています。
私は、こうした「生活様式そのものの変化」が、円安の構造的な背景の一つになっているのではないかと考えています。だからこそ、これからも「経済評論家が何と言うか」ではなく、自分自身で考え、自分自身の資産をどう守るかを判断していきたいと思っています。
数年後、このブログを読み返した時に、「あの時から日本の構造は変わっていたのか」と思うのか、それとも「見当違いだった」と思うのか。その答えはまだ誰にも分かりません。しかし、自分なりの仮説を持ち、行動し、その結果を検証し続けることこそが、一番大切なのではないかと思っている私です。
2026年07月07日 06:16
最近よく耳にする残価設定型ローン。動画サイトでは「残クレアルファード」という歌まで流されているそうで、私の知人には「残クレと思われるのが嫌でアルファードを買い替えた」という人までいます。私がこの仕組みを初めて見たのは今から30年近く前でした。当時、「新車が半額で買える」というインパクトのある広告を全国展開していたのが中古車販売チェーンの「TAX」。当時は「残価設定型ローン(以下残クレ)」とは呼ばず、「下取り価格を50%に設定してローンが組める」といった説明だったように記憶しています。
とはいえ1990年代は、そこまでして新車に乗りたいという人も少なく、バブル崩壊でハイソカーブームが終わり、パジェロやハイラックスサーフといったRV車や、エスティマやオデッセイといったスタイリッシュなミニバンが人気となっていて、新車へのこだわりも今ほど強くなかった気がします。
そんなわけで、当時TAXさんが大々的に宣伝していたのは軽自動車が中心。「新車のワゴンR RX(新車価格102.8万円)が51.4万円」といった具合で、「中古車と変わらない価格で新車に乗れる」というイメージを前面に押し出していました。
私が当時乗っていたのは1988年型BMW520i(E28)で、1991年末に走行距離9,000kmの3年落ちを190万円で購入しました。これはイベント会社勤務時代、中古車フェアで音響スタッフが誤ってスピーカーをボンネットへ落としてしまい、格安で譲ってもらったためです。
へこんだ瞬間、車屋さんから「今日売るつもりで出店してるのに・・・」と言われ、まだ23歳だった私は完全にパニック。「私が買うので許してください」と、とっさに口にしてしまいました。すると車屋さんは「現状なら仕入れ値185万円に5万円だけ乗せて190万円でいいよ」と言ってくれ、その価格で購入することになりました。
新車価格500万円以上だった車が、初回車検を迎えただけで200万円以下になることを知ったのは、この時が初めてでした。
その経験があったので、「購入時に下取り価格分を差し引くから半額で買える」という広告を見るたび、「もし実際の査定額が想定より安かったら、その差額を払うことになるのでは?」という印象を持ち、私は手を出しませんでした。
通常の自動車ローンは車両価格の全額を分割で支払いますが、残クレは契約終了時の車の価値(残価)をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額だけを分割で支払います。例えば300万円の車で3年後の残価を120万円と設定した場合、毎月支払うのは180万円分です。
この仕組みはディーラー側にも大きなメリットがあります。
毎月の支払額を低く見せられるため、高価格帯の車でも販売しやすくなります。また、ローン金利収入が得られ、契約期間中はディーラーでの点検や車検を利用するケースも増えます。さらに契約満了後には比較的新しい中古車が安定して戻ってくるため、中古車販売にもつなげられます。
つまり、新車販売・整備・ローン・中古車販売という、自動車販売店の主要な収益源を一つの仕組みで循環させられる非常に優れたビジネスモデルなのです。
そんなわけで、今人気のトヨタ車に乗る方法の一つとして、この残クレで買うと言う方法があります。というのも、今トヨタディーラーが一番気にしているのは、購入即売却で利益を得ようとする転売ヤーの存在。残クレやディーラーローン契約を条件に、一般販売より早く納車されるケースもあるようです。
私は車を入手する方法として、残クレを否定するつもりはありません。物を自分のステイタス表現の一つとして考える人は一定数いるでしょう。パテックの時計やエルメスのバーキンを残クレで買う事はできませんが、アルファードならできるのですから。
唯一間違いないのは、この販売手法は以前から存在していて、それを昔から認識していた私は利用したことが無い(現金一括のみ)ってことだけです。
残クレ車には返却までの条件として、走行距離制限(例:年間1万km)、無事故、無改造、車内の著しい汚れNG、タバコ・ペットによる臭いNG、指定された点検・車検等があるそうで、これを守らないと大幅減額もあるとのこと。私の車はイベント現場で不特定多数が乗るし、常に荷物で車内は傷だらけなので、そもそも残クレは無理かもです。
ただ、私の周りの企業経営者や個人事業主で現金一括で買う人は見たことありません。なぜなら、経営者にとって手元資金は最も重要で、車は簡単にローンが組めるというということと、車検やタイヤ交換まで含めてリース契約すれば、支払いを毎月定額化でき、経費処理もしやすいからです。
あと、トヨタには「クレジット一体型保険」という商品があり、保険料をローンと一緒に支払えます。契約期間中は事故を起こしても月々の保険料が変わらず、保険等級の低い若い人は保険料が高額になりがちなのと比較して、有利になるケースもあります。これもトヨタの残クレが支持される理由の一つでしょう。
最後になりましたが、残クレはローン商品です。これには審査があります。スマートフォン端末代の分割払いや各種ローンで延滞があると審査に影響する場合があります。残クレで延滞しちゃうと、その後の住宅ローンを組めない可能性もあります。
車は安く手に入っても、駐車場代や自動車税は必要です。ローンは悪いものではありません。仕組みを理解した上で、自分に合った買い方を選ぶことが大切だと思います。ご利用は計画的におねがいいたします。
2026年07月06日 04:20
昨日、ここ2年以内に制作された住宅ローンに関するYouTube動画をいくつも見させていただきました。内容はさまざまでしたが、基本的に楽観的な見方が多かったことに少し驚きました。日本は1999年、当時の日本銀行速水総裁が「ゼロでもよい」と発言したことで、バブル崩壊後の景気対策としてゼロ金利時代が始まりました。阪神・淡路大震災のあった1995年1月時点では1.75%で「超低金利」と言われていた公定歩合(現在の政策金利)が、0%になったのです。
私がマンション販売やニュータウン販売の企画を担当していたのは1991年から1995年。当時は6%だった公定歩合が4.5%に下がり、「史上最低金利」という言葉を広告で何年も使っていました。それが、わずか数年後にはゼロ金利となり、「史上最低金利」が当たり前の時代に入ってしまったのです。
そんな経験をしてきた私は、2002年に自宅を購入した際、「ゼロ金利なんて長く続くはずがない」と考え、迷わずメガバンクのりそな銀行で3.0%の10年固定を選びました。
ところが、その頃に日本初の住宅ローン専門銀行(モーゲージバンク、現SBIアルヒ)が登場し、2005年には「SBIモーゲージ」として積極的な借り換え広告を展開。周囲でも3%以上で借りていた人たちの借り換えが相次ぎました。
私も借り換えを検討してりそな銀行へ相談したところ、「他行と同じ条件にします」と提案され、借り換えをせずに3.0%の10年固定が、返済開始4年目で1.0%の10年固定へ変更となりました。
そして、それから20年以上が経過。今年5月に再び金利見直しを迎え、私の住宅ローンは10年固定4.0%となりました。この話は以前のブログでも書いたとおりです。
日本銀行は2024年のゼロ金利解除以降、政策金利を2024年7月に0.25%、同年12月に0.50%、2025年6月に0.75%、そして2026年6月1.00%へと引き上げています。
それにもかかわらず、この1年以内に制作された動画でも、
「住宅ローンは変動金利一択」
「政策金利が1.5%になるにはまだ数年かかるし下がる局面もあり得る」
「首都圏マンションはまだまだ値上がりするから借りられるだけ借りるべき」
といった内容が少なくありませんでした。
もちろん、そのような見方が間違いだと言うつもりはありません。実際、その予測が当たる可能性も十分あります。
一方で、金利上昇リスクを警告する動画も複数ありました。その中で印象に残ったのが、楽待チャンネルの「【変動金利の落とし穴】125%ルールで住宅ローンが減らない/金利3%でも耐えられるか」という動画です。
この動画は約7か月前に公開されたものですが、当時は「金利3%」がタイトルに使われていることから、この金利水準はその時点では「あり得ないレベル」だったのでしょう。しかし、政策金利はさらに引き上げられ、私自身も住宅ローン固定金利4.0%という現実を経験しています。
住宅ローンは30年、35年という長い付き合いになります。その間には景気も、物価も、賃金も、金利も必ず変化します。
だからこそ、「金利は上がらない」「不動産価格は上がり続ける」といった一つのシナリオだけを信じるのではなく、「もし予想が外れたらどうなるか」という視点も持っておくことが大切なのではないでしょうか。
私は住宅販売の現場も、超低金利時代も、そして今回の金利上昇局面も実際に経験してきました。その経験から言えるのは、住宅ローンで最も重要なのは「一番得をする借り方」を探すことではなく、「どんな時代になっても返済を続けられる借り方」を選ぶことだと思っています。
参考資料:私の経験)
・購入物件:2002年 新築一戸建て 17坪 4,350万円
・諸費用:150万円
・ローン:4,500万円(35年フルローン/団信付)
・金利:02年10月〜06年5月 10年固定3.05% 月額174,400円
06年6月〜26年5月 10年固定1.05% 月額131,800円
26年6月〜 10年固定4.00% 月額154,700円
住宅ローンは元利均等返済です。そのため、借入当初は毎月の返済額の大半が利息に充てられ、元金はなかなか減りません。つまり、借入残高が最も多い初期に低金利であることの恩恵は非常に大きいのです。
私の場合も、2006年に3.05%から1.05%へ条件変更できたのは、借入からまだ4年しか経っていない時期でした。残高は4,000万円以上残っており、その後20年間も低金利が続いたことで、支払利息を大幅に抑えることができました。
一方で、2026年から10年固定4.00%になりましたが、この時点では残高は約1,500万円まで減っています。金利は大きく上がったものの、借入当初に同じ4%になっていた場合とは家計への影響がまったく異なります。
住宅ローンは「現在の金利だけ」を見て判断するものではありません。どのタイミングで、その金利が適用されるのかが非常に重要なのです。
だからこそ、変動金利を選ぶ場合も、「金利が上がるかどうか」だけではなく、「借入残高がどれだけ残っている時期に上がる可能性があるのか」という視点で考えることが大切だと感じています。
2026年07月05日 04:38
2002年FIFAワールドカップ日韓大会は、日本サッカー界に莫大な財産を残しました。その大会で得た利益をもとに日本サッカー協会はJFAハウスを購入し、日本代表の強化や指導者育成の拠点として活用してきました。しかし、その後はコロナ禍による代表戦収入の減少などで厳しい財政運営を余儀なくされ、JFAハウスも売却。かつてのように欧州や南米から高額な外国人監督を招聘し、通訳やスタッフをそろえ、日本で長期的に活動してもらうような体制を簡単に築ける時代ではなくなりました。
だからこそ、日本代表監督人事も大きな転換期を迎えているように感じます。森保一監督の続投か、それとも新たな日本人監督へのバトンタッチか。もし世代交代が行われるなら、有力候補として名前が挙がるのは、名波浩、大岩剛、中村俊輔といった、欧州でプレーし、海外サッカーを肌で知る日本人指導者たちではないでしょうか。
日本サッカーは、外国人指導者から多くを学ぶ時代を経て、日本人自身が世界で経験を積み、その知識や哲学を代表チームへ還元できる時代になりました。それは財政的な事情だけでなく、日本サッカーそのものが成熟した証でもあります。
1998年 岡田武史 → 退任
2002年 フィリップ・トルシエ → 退任
2006年 ジーコ → 退任
2010年 オシム(病気) → 岡田武史 → 退任
2014年 ザッケローニ → 退任
2018年 西野朗 → 退任
2022年 森保一 → 続投
2026年 森保監督続投か、新たな日本人監督かが焦点
先日、本田圭佑氏が自身のXで、「森保さんに1年契約の継続オファーをしているというニュースを見たけど、そんな次の監督候補が見当たらずの繋ぎのオファーなら、僕を1年試してみてください」と投稿してくれました。
もちろん監督経験やライセンスなど、さまざまな課題はあるでしょう。しかし、現役時代に世界のトップレベルで戦い、日本サッカーの歴史を築いてきた選手たちが、引退後も経済的な事情に左右されることなく、「日本代表を率いて、日本サッカーのために力を尽くしたい」と自ら手を挙げる時代になったこと自体が、日本サッカーの成熟を物語っているように思います。
私としては、日本サッカー界の歴史を築いてきたビッグネームが、「ギャラなんていらない。日本代表を率いさせてほしい」と名乗りを上げる日が来たら、本当に胸が熱くなります。
韓国サッカーが日本に多くの刺激を与え、日本サッカーが成長してきたように、これからは日本で育った指導者たちが新たな歴史を築いていく。外国人監督から学ぶ時代を経て、日本人が日本代表を世界の頂点へ導く時代へ。そんな新しい時代の始まりを感じさせる、今回のワールドカップだったように思います。
金銭的に厳しい時期を乗り越えながら、日本サッカー協会は再び未来への歩みを進めています。財政基盤を立て直し、日本代表や育成年代への投資を継続しながら、これからも世界に挑戦できる環境を築いていってほしいと願っています。
日本サッカーが次の時代へ向けてさらに発展し、多くの子どもたちに夢を与え続けられることを祈念し、本稿の結びとさせていただきます。
写真は2001年7月1日、札幌ドームで行われたキリンカップサッカー、日本代表対パラグアイ代表戦のワンシーンです。フリーキックを蹴っているのは、パラグアイ代表の名GK、ホセ・ルイス・チラベルト。
この日、私は現在では当たり前となった「パブリックビューイング」(当時はクローズドサーキットと呼んでいました)の実証実験を担当していました。札幌ドームからの試合映像を横浜国際競技場へ生中継し、一般開放したスタンドの皆さんと一緒に日本代表を応援する、日本初の試みとも言えるプロジェクトでした。
テレビ中継のCMに合わせて横浜会場でもキリンビールのCMを流すため、解説を務めていたセルジオ越後さんと携帯電話をつなぎ、「もうすぐCM」とタイミングを教えていただきながら進行したことを今でも鮮明に覚えています。
横浜会場の司会は鈴木ダイさん。実際の代表戦と変わらぬ選手紹介や国歌斉唱を、誰も選手がいない場所で見事に実施してくださいました。朝のサッカーイベントから試合終了までお願いしたのですが、いま思えば何人か司会者が必要でした。その節は失礼しました。
まだ1度しかFIFAワールドカップサッカーに出場したことの無い日本が、2002年に自国開催するというとんでもない挑戦を目前に控え、日本中が手探りで大会運営のノウハウを積み重ねていた時代の話しです。
当時の私は、サッカーについて「ゴールキーパーもフリーキックを蹴ることがあるんだ」と驚く程度の知識しかありませんでした。まさかチラベルトが世界を代表する攻撃的GKであることも知らなかったわけです。
それでも、スタジアムを囲んでいたアサヒスーパードライの広告を、パブリックビューイング会場ではすべてキリンカップ仕様へ差し替えるなど、一つひとつの演出に関わりながら、日本サッカー界が世界大会へ向けて歩みを進めていく姿を間近で見ていました。
あれから25年。日本サッカーは数え切れないほどの経験を積み、世界と戦える国へと成長しました。
歴史をつなげば、未来が見えてくる。
これからの日本サッカー協会、そして日本代表がさらに発展し、子どもたちに夢を与え続ける存在であり続けることを心から願い、本稿の結びとさせていただきます。
2026年07月04日 06:53
最近、「自動販売機(以下、自販機)が減ったなあ」と感じることが増えました。昔は街角はもちろん、住宅街の路地、工場の前、農道や山道の途中まで、本当に至るところに自販機があり、日本の風景の特徴にもなっていました。アメリカのユニバーサル・スタジオには、映画「ワイルド・スピード」シリーズの日本をイメージした街並みを再現したセットがあります。そこには日本の飲料自販機が何台も並んでいます。
海外では、現金や商品が入った自販機を路上に設置すると、破壊や盗難のリスクが高いため、日本のように街中へ数多く設置されている国はあまりありません。つまり自販機は世界から見ても「日本らしさ」を象徴する風景の一つなのです。
日本を特徴づけていた景色のうち、まず最初に姿を消したのは公衆電話でした。携帯電話の普及とともに減少し、今では電話ボックスを見ることすら珍しくなりました。
次に消えていったのは、たばこの自販機です。成人識別カード「taspo」の導入や喫煙率の低下が大きな理由ですが、それ以上にコンビニが普及したことで、自販機で買う必要性そのものが薄れました。さらに商品の種類も増え、自販機だけでは対応しきれなくなったことも影響しています。
そして今度は、飲料の自販機が急速に減っています。2000年頃には約560万台あった自販機ですが、現在は約390万台まで減少し、この20数年で170万台近くが姿を消したことになります。
理由は電気代の高騰、ドライバー不足、人件費の上昇、商品の補充や集金コストなどさまざまですが、何より大きいのは価格差です。以前は「便利だから少し高くても自販機で買う」という人が多かったのですが、今ではスーパーやドラッグストアへ行けば同じ商品が半額近い価格で買える時代になりました。
飲料メーカーも苦戦しています。伊藤園は自販機事業を大幅に縮小し、ダイドードリンコも不採算機を大量撤去。ポッカサッポロは自販機事業からの撤退を決めました。
私は広告の仕事をしているので、何十年にもわたって大手飲料メーカーのお仕事にかかわらせていただいています。それは今も変わりません。ただ、その商品は時代とともに大きく変わってきました。
アルコールならビールから発泡酒、第三のビール、ノンアルコール、そして今では低アルコールや微アルコールへ。飲料も缶コーヒー全盛の時代から、お茶、水、炭酸水、機能性飲料へと主役が移ってきました。その背景にあるのは、人口減少と少子高齢化です。
かつては若い男性が缶コーヒーを飲み、たばこを吸い、仕事の合間に自販機の前で一息つくという風景がありました。工場、建設現場、営業車の駐車場、パチンコ店の前、駅のホーム。そこには必ずと言っていいほど自販機がありました。
ところが今は、働く人の数も減り、喫煙者も減り、車で移動する若者も減りました。健康志向が高まり、甘い缶コーヒーや炭酸飲料を毎日飲む人も少なくなりました。つまり、自販機が減っているのは、単に飲料メーカーの経営問題ではありません。
日本の人口構造、働き方、健康意識、消費行動、そして街のあり方そのものが変わっているということなのだと思います。
もちろん、駅や病院、学校、オフィスビルなど、人が確実に集まる場所の自販機は今後も残るでしょう。しかし、人里離れた農道や海岸沿い、山道にポツンと立っていた「あの一台」は、採算が合わなければ消えていきます。
海外へ行くと、日本ほど自販機が並んでいる国はほとんどありません。治安が良く、24時間壊されることなく稼働し続ける自販機は、日本を象徴する文化の一つでもありました。だからこそ、この風景が失われていくのは少し寂しい気持ちになります。
電話ボックスが消え、たばこの自販機が消え、今度は飲料の自販機が減っていく。自販機は、ただ飲み物を売る機械ではありませんでした。夜道を照らす小さな灯りであり、真夏の炎天下に助けてくれる存在であり、日本の治安の良さと便利さを象徴する街の風景でもありました。
10年後、20年後、「昔の日本は、どこへ行っても自動販売機があったんだよ」と語る日が来るのかもしれません。その時、自販機は単なる販売機ではなく、「かつての日本らしい風景」として、多くの人の記憶に残っているような気がします。
近年では、昭和時代の古い自動販売機を集めたドライブインやロードサイドスポットが人気を集めています。現役を引退したラーメンやうどん、ハンバーガーなどのレトロ自販機を目当てに、多くの人が全国から足を運び、「懐かしい日本の風景」を楽しんでいます。
当たり前だったものが減っていくと、人はその価値に気付きます。今、私たちが何気なく見ている各種自販機も、数十年後には「平成時代の懐かしい風景」として語られる日が来るのかもしれませんね。
私が幼い頃、のどの渇きを潤してくれたのは瓶飲料の自販機でした。まだ缶は無く、瓶の蓋(王冠と呼ばれていた)に当たりが出たらもう一本とか、そこにスターウォーズの絵が描かれている物などもありました。お米屋さん前にはプラッシーの瓶自販機があるのも当たり前でした。
青春時代の私をワクワクさせてくれた夢の自販機はエロ本。夜中でも煌煌と明かりが灯っていたそれは、誰とも会わずエロ本を手に入れることができる魔法の機械でした。その近くには、なぜかコンドームの自販機が設置されているものでした。
昔は駅の公衆トイレにトイレットペーパーは無く、ちり紙の自動販売機が置かれていました。今考えると40年以上も前でしたが、その紙は30円や50円と結構な価格で販売されていて、結構な稼ぎを叩き出していたのかもと思います。
新聞の自販機も各所にありました。朝日・読売・日経・スポーツ紙が買えるそれは、売店の無い駅や誰もいない時間帯の新聞販売店前では無類の活躍を見せていました。
少子高齢化が進めば、いずれは自販機そのものが成立しなくなる地域も増えていくことでしょう。今増えているのはガチャガチャぐらいのような気がします。
それでも、自販機は単なる販売機ではありませんでした。日本の治安の良さを象徴し、人々の暮らしを支え、街に灯りをともしてきた、日本ならではの文化です。
だからこそ、今ある何気ない一台一台も、いつの日か「昭和・平成の懐かしい日本の風景」として語られる日が来るのかもしれません。その日が来るまで、日本の街角を彩る自販機のある風景を、しっかりと目に焼き付けておきたいと思っている私です。
2026年07月03日 10:59
いやーしびれますねー。5月に私の住宅ローン金利が10年固定1.05%から同じく10年固定で4%になった記事を書いたばかりですが、もう今日7月3日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時2.810%に上昇しました。ぶっちゃけ私は5月末に金利見直しした際、当然日銀は利上げが後手に回らないように0.25%刻みじゃなく0.5%ぐらいの金利上昇させるだろうと思いましたが、政府が6月末の骨太の方針で「日銀は金利を上げるな」的な事を書いたので、こうなっちゃいました。
市場は高市政権がやろうとしている総額370兆円超のお金ジャブジャブ作戦を、財政悪化ととらえているのかもしれません。もう少し様子を見てみたいと思います。
以前ブログに飲食店の経営について相談がある旨を書いたのですが、その時も「飲食店は専門コンサルに頼んだ方が良い」と書いたかと思います。というのも、飲食店には一定の割合で「自宅兼店舗で家族経営」というスタイルの店舗がありまして、さらに「自宅兼店舗は持ち家でローンも無し」というのが結構あるわけですよ。
飲食店の原価は「FLRコスト」と呼ばれる、Food(食材費)/Labor(人件費)/Rent(家賃)で構成されるのですが、自宅兼店舗で家族経営ってお店は、Rが固定資産税だけで、Lも夫婦経営ならほぼゼロ。結果的にFしかかからないわけです。
こういうお店と価格競争したら勝てないのは当たり前だと思うのですが、なぜか多くの飲食店は価格競争に参入します。客単価1,000円以内のラーメン屋とか、客単価4,000円未満の居酒屋等がそれにあたるのですが、そんなの経営コンサルも何もできないわけですよ。
例えば、賃料20万円の店舗で、夫婦2人だけで営業するラーメン店を考えてみます。
・営業:11時〜24時(13時間営業)/定休日週1日(月25日営業)/席数20席
・賃料:20万円
・水道光熱費:20万円
・その他雑費:10万円(通信費・消耗品・保険等)
・目標手取り:夫婦で30万円(税引前38万円)
以上、固定費合計は88万円です。
食材原価率35%(粗利率65%)で固定費88万円をまかなうには、
88万円÷0.65=1,353,846円
つまり月商約135万円、1日あたり約5.4万円の売上が必要になります。
20席でランチ1回転、夜3回転なら1日の客数は80人です。すると必要な客単価は677円。客単価850円なら月商170万円となり、粗利は約110万円。夫婦の手取り50万円も十分見えてきます。一見すると「これなら十分やっていけそうだ」と思える数字です。
でも、現実にはそんなにお客様は来ません。カウンターが常に満席という店はごく一部ですし、4人掛けテーブルが毎回4人で埋まることもありません。2人掛けを1人で使うこともありますし、4人掛けを1人で使われることも普通にあります。
つまり20席あっても、実際に稼働しているのは6割程度という日も珍しくありません。20席の6掛け、つまり平均12席が4回転だと、1日の客数は48人です。
この場合、月商135万円を達成するには客単価約1,125円が必要になります。さらに雨の日や猛暑日、近隣イベントの有無、競合店の出店などで客数は簡単に変動しますから、実際の経営はさらに厳しくなります。
しかも、夫婦2人だけで13時間営業を毎月25日間続けることは、本当に現実的でしょうか。
11時開店なら、仕込みを考えると朝8時には店に入る必要があります。24時閉店後、片付けや売上確認を終えれば帰宅は深夜。通勤時間まで含めると、自宅で過ごせる時間は6時間程度しかありません。これを何年も続けるとなれば、体力的にも精神的にも非常に大きな負担になります。
専門家ではない私には、飲食店の経営相談を受けても、簡単に価格提案や改善提案ができないのです。単なる数字だけなら見れますが、立地・席数・営業時間・客単価・家賃・家族経営or従業員を雇っているのか・・・少し条件が変わるだけで、状況は劇的に変わります。
間違いないのは、持ち家の自宅兼店舗で家賃も人件費もほとんどかからないお店と、テナントを借りて従業員を雇うお店が価格競争をすれば、勝負にならないのは当然です。
そんなわけで、飲食店経営の分からない私には、賃貸物件で飲食店を経営するのであれば、ある程度の客単価を確保できる業態でなければ継続は難しいように思えます。
しかし現実には、新規出店する飲食店の多くはリーズナブルな価格設定で開業します。そして開業する店も多い一方で、閉店する店もまた非常に多いのが現実です。
飲食店は「おいしい料理を作れること」と「経営が成り立つこと」は別問題です。だからこそ、開業前には一度、飲食店専門のコンサルタントなど第三者の視点で事業計画を見てもらうことが、結果的に成功への近道なのではないかと思っています。
2026年07月02日 07:31
「トランプ氏は「Make America Great Again(MAGA)」を合言葉に、「アメリカを世界最強の製造業国家に戻す」と訴え、多くの支持を集めて再び大統領に就任しました。確かに、その昔のアメリカは「世界の工場」と呼ぶにふさわしい製造業大国でした。
航空機ではボーイング、マクダネル・ダグラス、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン。自動車ではGM、フォード、クライスラー。さらにキャタピラー、GE、ウェスティングハウス、デュポン、3Mなど、世界を代表する企業が数多く存在していました。
私は1992年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(父)が、アメリカの自動車メーカー首脳らとともに来日した際、忘れられない経験をしました。
奈良県にオープンする日本初のトイザらスのテープカット式典で、私はオープニング演出を担当していました。ところが当日、大統領の来場が決まり、現場は一変します。
シークレットサービスからは「大統領が来るのにハサミを大量に持ち込むな!」「そのくす玉を開けて中身を見せろ!」「見せられないなら撤去しろ!」と次々に指示が飛び、最後はスタッフ全員が現場から追い出されてしまいました。
こちらからすれば、依頼された演出を準備していただけなのですが、それだけ警備は厳重だったということなのでしょう。
当時の来日目的の一つは、日本市場でアメリカ車の販売拡大を働きかけることでした。
一方で、日本へトイザらスを持ち込んだ藤田田さんは、日本マクドナルドの社長でもありましたから、「日本でどんどん店舗を増やしてくれ」という期待も寄せられていたのでしょう。
この来日では、晩餐会でブッシュ大統領が体調を崩し、宮沢喜一首相の膝元で倒れ込むというハプニングもありました。しかし、その一方で現在の日米同盟の礎となる「日米グローバル・パートナーシップに関する東京宣言」が調印された歴史的な訪問でもありました。
私の印象では、共和党政権は安全保障や経済面で日本に費用負担を求めることはあっても、比較的「取引型」の交渉が多いように感じます。
一方、民主党政権では市場開放や通商問題で厳しい要求を受ける場面が少なくありませんでした。
クリントン政権時代には日米自動車交渉が激化し、「100%関税」の可能性まで示され、日本ではトヨタがGMのキャバリエをOEM販売するという、今では信じられないような出来事もありました。
それはさておき、トランプ氏が再び大統領に就任して約1年。
現在のアメリカ製造業はどうなっているのでしょうか。
AIに「トランプ政権下のアメリカ製造業の現状を教えてください」と質問してみると、おおむね次のような整理になりました。
### ■ 航空産業
・関税強化によりアルミや部材などのコストが上昇
・中国との関係悪化で受注環境が厳しくなる分野もある
・一方、防衛・宇宙関連は引き続き大きな市場を維持
### ■ 自動車産業
・メキシコやカナダとのサプライチェーンが関税の影響を受け、生産コストが上昇
・EV投資の見直しが進み、各社とも戦略を再構築
・ガソリン車回帰を歓迎する声がある一方、将来的な技術競争への懸念も残る
### ■ 建設・農業機械
・国内工場への投資や設備更新は追い風
・しかし、各国の報復関税により輸出向け農機は厳しい市場もある
### ■ 化学・エネルギー
・環境規制緩和によるコスト低減効果
・原油・天然ガス開発の促進でエネルギーコストは比較的有利
・一方で、環境基準が厳しい海外市場への対応は課題となる
こうして2026年のアメリカ製造業を見てみると、1992年当時の「世界中にアメリカ製品を売り込む」という時代から、大きく方向性が変わったことが分かります。
かつては海外市場で勝負することを重視していましたが、現在は高い関税や国内投資を通じて、「まず国内の製造業を立て直す」という政策色が強くなっています。
もちろん、その恩恵を受けている企業や業界もあります。しかし一方で、国際競争や技術革新のスピードについていけるのか、海外市場との距離が広がらないかといった懸念も指摘されています。
1992年、私からくす玉を取り上げ、現場から追い払った屈強なシークレットサービスたちは、「アメリカは世界の中心だ」という圧倒的な自信に満ちあふれていました。
あれから34年。
今のアメリカは、再び世界へ打って出るために国内を鍛え直しているのか。それとも、高い壁を築いて自国市場を守る方向へ向かっているのか。
MAGA(Make America Great Again)が本当にアメリカ製造業を「Great Again」にするのかどうか。その答えが出るには、もう少し時間が必要でしょう。
そして、日本の道路を再び巨大なアメ車が当たり前に走る日も……少なくとも今のところは、まだ少し先の話になりそうです。
2026年07月01日 07:03
先日も、FIFAワールドカップ韓国代表の監督や選手が、韓国大統領や国民から厳しい批判を受けていることについて少しブログに書かせていただきましたが、あれから数日経ったので、もう少し書かせてください。韓国サッカー界を代表するレジェンドで、圧倒的な知名度を誇るホン・ミョンボ監督が、今回のFIFAワールドカップ一次リーグ敗退の責任を取る形で退任しました。韓国では、まるで敗退の主犯であるかのような扱いを受けているようです。
韓国では、日本のJリーグより10年早い1983年に、プロ2チームと実業団3チームによってアジア初のプロリーグがスタートしました。1987年には全クラブを地域密着型とし、現在のリーグ戦の基礎となるホーム&アウェー方式を採用するなど組織改編を実施。名称も「Kリーグ」となりました。
韓国代表が世界の強豪国A代表と定期的に親善試合を行うようになったのもその頃です。一方、当時の日本代表は、世界の代表チームと戦う機会すら稀で、キリンカップサッカーも日本代表対海外クラブチームという組み合わせが大半でした。
1988年にはソウルオリンピックが開催され、サッカー競技は韓国の5都市、6スタジアムで行われました。韓国代表は1次リーグ敗退ながらも存在感を示し、今後の躍動を予感させる大会となりました。ちなみに日本代表はアジア最終予選3位で、本大会に出場できていません。
1990年代に入ると、韓国サッカー界にはスター選手が次々と誕生し、世界へ羽ばたく選手も増えていきました。アジアクラブ選手権、現在のAFCチャンピオンズリーグでも韓国勢が次々と優勝を果たし、国際的な地位を確立。1986年以降は、FIFAワールドカップ出場も常態化していきます。
ここまで読んでいただくと分かると思いますが、日本のJリーグは、1993年にスタートするにあたり、10年先に始まっていた韓国プロサッカーリーグの成功を大いに参考にしていたと思います。
Jリーグ設立当時から各種作業に関わらせていただいていた私は、「いつか日本もワールドカップに出場できる国になればいいなあ」と思うと同時に、韓国サッカー界へ強い尊敬の念を抱いていました。
Jリーグ初期から日本へ来てくれた韓国人プレーヤーの代表格が、サンフレッチェ広島の盧廷潤(ノ・ジョンユン/노정윤)選手です。当時の広島には、現日本代表監督の森保一氏も在籍していました。
盧廷潤選手は大学卒業後、韓国プロリーグのドラフト指名を蹴って広島入りしたことで韓国国内では批判を受けました。しかし、Jリーグでトップイレブンに選ばれるなど素晴らしい活躍を見せ、日本サッカー界の底上げにも大きく貢献してくれました。
そして次にやって来たのが、ホン・ミョンボ氏です。彼は韓国プロサッカー界のスターであり、脂の乗り切った時期に欧州クラブからのオファーを蹴って日本へ来てくれました。私たち50代後半以上のサッカーファンにとって、忘れられない選手の一人です。
日本では1997年・1998年に、中田英寿選手やロペス・ワグナー選手らが在籍していたベルマーレ平塚に所属。1999年から2001年までは、酒井直樹選手や明神智和選手らが在籍していた柏レイソルに所属し、柏ではキャプテンを務めたこともあります。
2002年FIFAワールドカップ日韓大会で、日本代表は本大会出場2回目でした。それに対し、ホン・ミョンボ氏はその時点ですでに3度のワールドカップ出場経験があり、4度目の大会にはキャプテンとして参加。スペインとの準々決勝PK戦では最後のキッカーを務め、韓国をベスト4へ導く勝利のシュートを決めました。
私の本棚には今も『中田英寿・洪明甫 TOGETHER 2002ワールドカップBOOK(講談社)』があります。2002年日韓ワールドカップを前に、日本と韓国を代表する二人が「共にアジアサッカーを盛り上げよう」という思いで特集された一冊です。
当時、ホン・ミョンボ氏は韓国サッカーを象徴するレジェンドとして、日本でも中田英寿選手と並び称される存在でした。2002年ワールドカップは、まさに彼らが主役の大会だったと言っても過言ではありません。その姿を知っているだけに、今回の退任劇には複雑な思いを抱いてしまいます。
指導者としても、2012年ロンドン五輪ではU-23韓国代表を率いて、韓国男子サッカー史上初の銅メダル獲得に貢献しました。まさに韓国サッカー界とJリーグをつないだレジェンドであり、その功績は今も色褪せることはありません。
今や韓国代表の大半は、日本代表と同様にヨーロッパを中心に世界で活躍する選手たちです。かつて主力だったJリーガーやKリーガーは少数派となりました。そうした世界トップレベルでプレーするスター選手たちをまとめ上げることは、監督にとって決して簡単な仕事ではないと思います。
それでも、韓国代表として世界を舞台に戦い、多くの実績を積み重ねてきたホン・ミョンボ氏だからこそ、韓国代表として戦う意味や、国を背負う責任、精神的な支えとなる部分を選手たちへ伝えることは十分にできたはずです。
韓国代表としてFIFAワールドカップの舞台で戦ってきた監督や選手たちは、韓国という国の素晴らしさを世界へ発信してきた、まさに国の財産とも言える存在です。
それにもかかわらず、帰国時のセレモニーもなく、国のスターである代表監督が引責辞任のような形で退任することになった今回の流れには、少し違和感を覚えます。
スポーツの世界では、勝負の結果に責任が伴うことは当然です。しかし、それまで積み重ねてきた功績や、その人が国や競技にもたらした価値まで否定されるべきではありません。ホン・ミョンボ氏は、選手としても指導者としても韓国サッカーの歴史を築いてきたレジェンドです。だからこそ、敗戦の責任を問うことと、その功績に敬意を払うことは別の話ではないでしょうか。
輝かしい韓国サッカー界の歴史があるからこそ、「勝てば英雄、負ければ全否定」というスポーツ文化ではなく、長年にわたり国のために戦ってきた人たちへ感謝と敬意を忘れない文化が根付くきっかけになればいいな――そんなことを感じた今回のワールドカップでした。
日本サッカー界は、これまで韓国サッカー界から数多くの学びと気づきをいただきながら発展してきました。韓国のプロ化があったからこそ、日本もプロ化を急ぎました。
そして1993年のJリーグ開幕とともに、キリンカップサッカーが各国代表同士が対戦する大会へと進化。日本サッカー界がプロ化の意義を本当の意味で実感し始めた時代でもありました。
最後になりましたが、サッカーを一つの文化として根付かせようと努力を続けてこられた韓国と日本、両国のすべての関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
このブログは、誰かを責めたり批判したりするために書いたものではありません。これからも日韓両国のサッカー界が互いに高め合いながら発展し、多くの人に夢と感動を届け続けてくれることを願っています。今回も素晴らしい感動をありがとうございました。









