
私達のような50歳代の大阪で各種お笑い系芸能プロダクションと仕事をしていた方は、ヨシモトに営業系イベントで出演交渉をすると、結構な頻度で名前があがるのが漫才コンビ「コメディNo・1」でした。業界では「コメワン」の通称で呼ばれていました。
相方は前田五郎師匠で、長らく朝日放送で日曜日お昼時に放送されていた「あっちこっち丁稚」という番組で3人は共演。カステラやの旦那さん役が前田五郎師匠。丁稚役に坂田利夫師匠や間寛平師匠や後に小番頭に出世する木村進先生がいました。
間寛平師匠が最期をみとられたとの報道を見て、出世作「あっちこっち丁稚」の戦友であり良き先輩として寛平師匠は坂田利夫師匠を心から愛されておられたのだと感じました。
坂田師匠は一貫して「アホの坂田」という打ち出し方をしておられましたが、知的で上品でスタイリッシュな方で、アホは仕事やという姿勢を貫かれておられたので、泥酔客が大声で「アホー!」等とヤジったりすると、本気で「お前がアホじゃ!帰れ!」等と怒鳴ることもありました。
私共は直接「場を無茶苦茶にする客がおったら注意してな」と数回言われており、細心の注意を払ってステージ運営をしていましたが、ステージ上で見せるアホ芸は完璧で、しかもキダタロー氏作曲のアホの坂田ソング(記事)を流して登場したりすると、お客さんが「アホー」と言うのも分かるので、まあまあ緊張感を持って現場に挑んでおりました。
もちろん本気で怒鳴ったとお客さんには分からないようにされてますよ。我々には伝わるので即座にヤジを飛ばすお客様横に貼りついて対応しますが、ステージ上では「なんぼでも言うてや。金もうけやから!」と師匠は上手く対応してくださってました。
いろいろあって2009年にコメディNo.1が解散。前田五郎師匠はヨシモトを退職。その後が心配されましたが新喜劇などにも出演され元気な姿をみせてくださっていただけに、とても残念なお知らせとなりました。
スタッフは良く知ってますが、私は普段から比較的多めに坂田師匠の話しを出しますし、坂田歩きも多用するほどのファンでして、昨日まさに志村けんさんと坂田師匠の話しをしていただけに、大きなショックを受けております。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます