
スクランブル交差点に大型パネルトラックを侵入させ停止。荷台のサイドウイングを開いていきなり「GOLDFINGER′99」を歌わせたのです。その時間はほんの5分程度。しかし事前に記者発表がされていたために報道陣が大量におり、一般人も一気に流れ込んだので、現場はプチパニックに陥りました。
これに怒ったのが渋谷警察署。それまでは厳重注意等で終わっていたのですが、レコード会社、企画した広告代理店、実施したイベント会社等まで書類送検され、一部には懲役3ヶ月(執行猶予2年)の判決が下るまでの事態に発展しました。
結果的にこの曲は大ヒットし、書類送検されたレコード会社や広告代理店の方々は出世するに至るのですが、実際には郷ひろみ本人まで事情聴取されるに至ったこともあり、東京のイベント業界が一気にコンプライアンスを気にするようになりました。
正しくは大手広告代理店のイベント担当部署が気にするようになっただけでしたが、それに伴って自発的に法律順守の姿勢を打ち出すイベント会社も増えて行き、気が付けばコンサートの設営スタッフでもヘルメット・手袋・安全靴・長袖&長ズボンといった事が常識になって行きました。
これはレース係員も同じですよね。昔はノーヘル&普段着でしたが、今はヘルメット&オレンジツナギが当たり前になってます。
最近は守るのが当たり前になっていて、作業区画をロードコーンとコーンバーで区分けするとか、夜間の場合は発光式警告灯を設置するとか、有資格者(建設施工管理技士・職長安全衛生責任者 等)の配置と資格証確認や一人親方の労災加入状況確認も普通になりました。
とくに厳しくなったのは高所作業。労働安全衛生法だと「高所作業は高さ2m以上」とされていますが、厚労省は「注意すべきは高さ1m以上」としています。身長170cmの人が30cmの台に乗ったら2mなので、簡単に書けば現場作業は全部高所作業を含むことになるのです。
そんなわけで、イベントの設営撤去はヘルメット着用が常識になり、一般の通行がある場合は作業区画はしっかりと分けた上で警備員誘導を配置というのが普通になりました。
現実には労働安全衛生規則の第110条に「事業者は、動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪又は被服が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に適当な作業帽又は作業服を着用させなければならない。」 となっているので、電動ドライバーを使うなら帽子必須。2m以上ならヘルメットなので、全員ヘルメットするってのが当たり前になったのでしょう。
そんなわけで今はイベントでも「作業開始前に始業前確認をさせていただきます。本日私共の安全管理者は大野となります。では各社の安全管理者と従事者の労災加入状況確認報告をお願いいたします」なんてことやってるんですよ。
そんなわけで最近は「安全管理者は腕章は必ず着用」とか「作業員は作業腕章を左腕に」なんてことを言ってる私ですが、昔はヘルメットどころか半袖半ズボンにスリッパで施工していたわけで、大きな事故無く生きてこれたことに感謝しております。
ちなみに写真は2013年11月のイルミネーション施工立ち合い風景。コンビニ前でコーヒーを飲んでサボっている自分を激写してみました。10年も前にはこんな格好してたんだなーとしみじみ思う朝です。イベント関係者のみなさま今回もありがとうございました。