
まあ、いかに証券会社の従業員は大変かって話しなんですが、同時に働き甲斐や仕事への興味の見つけ方みたいな所まで言及されてます。
近年、ブラック企業の話しがよく出てきますが、証券会社なんて9時始業だけど7時出社は当たり前。数字を分析して、会社の推奨銘柄を叩き込んで、ひたすら足で稼ぐ外回りして、帰りは毎日午前さま。それでも「ブラック企業だ」なんて話しは出てきません。
このマンガの筆者は、新卒で入社して2年でうつ病になり、退職して実話マンガを書いてるのですが、今は主婦になって子供さんも2人いるそうです。まあ証券会社は、結構な割合で退職しますからねえ。数字が作れないやつはクビって仕事です。
大手旅行会社なら商品券、大手銀行に入ったら定期預金やカード会員のノルマがあって、件数と金額を毎日グイグイプレッシャーかけられます。支店の壁にはグラフが貼ってあって、達成しないヤツは「生きてる価値もない」とか「同じ空気も吸いたくない」なんて言われちゃいます。
支店長になっても一緒ですよ。「お前の支店の数字が悪いのは、お前が悪いんだよ。数字を上げろと怒鳴ってるだけじゃ上がるわけないだろ。頭を使え、お前に頭があるんなら、頭を使え!分かったか!」なーんて調子。怒鳴ってるお前も怒鳴ってるだけじゃーんって感じ。
私のいた広告代理店もすごかったですよ。夜の8時に電話かかってきて「明日の朝一までに資料作って」ってなもんですよ。上司に言ったら、「よし頑張れ!」ってなもんですからね。で、作成して翌日朝一番に持っていったら「午前半休」なんて書いてたりする。「ふざけるなー!」って話しが散らばってました。
だけどね、居酒屋の社員みたいに「ブラック企業だ」って言う人はいないんですよ。証券会社や広告代理店って、一流大学を出て、一流のコネを使って入って、給料だって手当てと残業入れると毎月30万ぐらいあって、ボーナスが年間6ヶ月分ぐらいありますからね。
「基本給23万円、地域手当6万円、残業手当2800×30時間=8万4千円、家賃補助3万円」って感じで、支給額は37万7千円だから手取り30万ぐらいになる。ボーナスは1回につき基本給の3か月分だから72万円。これが初任給ですよ。いきなり年収500万円ね。
私、ブラック企業ってのは、単純に給料の話しなんじゃないかと感じてます。だけど、こんなにもらってるのって、ほんの一部の大企業だけ。もちろん家電メーカーとか自動車はこんなにありません。
私のような零細企業では、数字がなかったら死活問題なのは人に言われるまでもなく当たり前。時間がなければ寝ずに仕事するのも当たり前。企業対企業のBtoB取引ばかりだから入出金が全て銀行振込だから節税もできない。手取り34万円の自分の給料が、今年に入って3か月分も未払いになってます。レースやってますからね。
「オレの会社がブラック企業だー!」って叫んだら、厚生労働省さんが助けてくれるわけないですからね。今の労働者による「ブラック企業」って言葉を乱発する姿勢は、単なる甘えかなと感じることもあります。
一流大学入って、一流のコネ使って就職活動した人と、自分の境遇を比較して「あっちの甘い水と同じ生活をさせろー!」ってのは乱暴だなーってのが、あくまで個人的な感想です。