利益の最大化こそが目的オリンピックスタジアム建設問題

2016年11月02日

無責任という責任

69885858.jpgドイツの首都ベルリンに建設された新空港「ブランデンベルク空港」というのがあります。ターミナルビルはとっくに建設を終え、2011年開港が予定されてました。

ベルリンには3つの空港があったのですが、1つが閉鎖になり公園となりました。おかげでテーゲル空港という小さな空港がメインで使われていますが、あり得ない小ささで、もう一つのシェーネフェルト空港の滑走路を拡張して、新しいターミナルを建設するのが「ブランデンベルク空港」の計画です。

この空港まだ開港してません。今は2016年ですから5年も遅れてます。しかも工事費はどんどん増え続けています。そりゃあそうですよ完成してるのに開港してないんだから、警備費や光熱費だけでもすんごい金額になりますもん。

世の中の噂話では「排煙装置が地下にあって改修が必要だが目途が立ってない」というのが通説ですが、火災になれば煙は上に上がるので排煙装置はとうぜん天井についてます。排煙ダクトが地下を経由しますが、火災時の排煙ダクトが長いビルは珍しくありません。

ではなぜ開港できないのか。それは責任者がいないからです。ドイツ連邦政府・ブランデンベルク州・ベルリン市が出資して空港会社をやってるのですが、どこも責任をとらず空港会社のエライ人だけをクビにするから全然解決しない。

責任者と称する人をクビにするたびに開港を延期して問題を先送り。開港時期がやってくるとまた誰かをクビにして開港延期。現在の開港予定は2017年後半らしいですが、べつに何の工事が行われてるわけでもありませんので、また延期になるでしょう。

これ東京都と似てませんか?建設もしてないスタジアムでギャーギャー騒いだり、完成してる新市場にグダグダ文句付けたり。責任者は前の知事だとか歴代の担当だとか言ってますが、誰の責任に押し付けても問題は解決しません。

ベルリン新空港の問題も、メディア的には防火装置の設計をした技師が悪いとされていますが、設計した本人は「全くのデタラメだ。どのメディアからも取材は受けてない。責任は空港会社の無責任体質だ!」と断言してます。

こういうのって世界中にあるんですよねー。もし犯人が分かったとしても、何の解決にもならない。現状の打開策を打ち出すより現状維持が楽ですからね。そのうち公務員なら部署が異動になるので、その方が安全なわけですよ。

マニラ空港の第3ターミナルは完成目前の2002年に天井崩落事故があって、フィリピン政府・設計会社・空港会社等で綱引き開始。建設開始自体が無効とかいう裁判結果なども出て、建設した竹中工務店は完成してもお金もらえない状態が何年も続き、やっと2014年に全面開港しました。

この無責任体質ってどうやって作り出してるんでしょうねえ。ものすごく不思議です。今から新国立競技場も造るんですよ。2019年に出来たとしても工事に問題があれば引き渡しは遅れる。普通に工期が遅れただけでもオリンピックに間に合うかどうか疑問です。

ゼネコンはみんなバブル期超えの好景気という空前の建設ラッシュに沸く東京で、どこに職人が余ってるんだって感じです。ゼネコンも入札案件のスタジアム建設なんていらないでしょ。今どき職人も「オリンピックの舞台を造るんだ」なんてのを誇りに思ったりしませんよ。

そういう事例研究も大切なことだなーって思うと同時に、オリンピックやりたいと言い出しておいて途中で「やっぱっ国会議員に戻るわ」と放り出した石原氏、プレゼンして5千万円受け取ったかどうかウヤムヤで辞めた猪瀬氏、足を伸ばせる風呂に入りたいと言って辞職に追い込まれた舛添氏の3人が現状を見ながら、「まあオリンピックまでにまた知事変わるぜ」と言ってるのが目に浮かぶようです。

gq1023 at 08:11│Comments(0)

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