残業は強要されてやる物という幻想を捨てるべきだピコ太郎とオリンピック開閉会式

2016年10月22日

「広告主の非」という視点

今回の電通社員過労死について、私自身が全く持ってなかった視点で切り込んだブログを目にしました。無断で引用してます。

月刊ショータなる方のブログ「広告業界という無法地帯へ」なのですが、広告主の非について言及してます。今年2月に東洋経済が出した記事「広告主の皆さん、調子に乗っていませんか」ではアメリカの広告マンの怒りという書き方で書かれてましたが、これを日本で置き換えた本音版です。

記事によるとショータさんは01年入社の15年退職だそうで、98年の長野五輪直後に退職した私には全く接点はないですし、上場した01年以降に電通という会社が激変したので、私よりははるかに変化を感じているだろうし、現状を認識されてると想像します。

その視点では広告主にも非があると。電通がメディアを牛耳ってるブラック企業だと想像だけで発言するヤツは黙っとけと。社会全体で責任を共有せず、たった一企業の労務管理だけにメスを入れて解決するとウソぶくヤツラはいいかげんにしろと。

そうだそうだー。いいぞ若いのー!と思ったら関西支社の友人によると同じ40代らしい。いいぞアラフォー。あらフィフにはその視点すらなかったよー。

そうそう、徹夜して書き上げた企画書を読みもせず営業に投げつける広告主いるいる。朝一番に出せと言っておいて「昨日の夜と状況違うんだよ帰れ」なんて言うヤツいるいる。「大至急来い」と言われて行ったら帰ってるなんてアルアル。夕方5時に呼びつけられて朝4時に「明日にしよう」って言われたことアールー!今日か明日か分からへんっちゅーねん。

ブログの終盤に、新人時代の先輩からの「19時から打合せあるけど出られるか?」に対する受け答えがすごい。ショータさんもすごいが先輩はすごい。私が先輩だったら絶対にその対応にはならない。パワハラ全開で怒鳴ってたでしょう。

どんなに当局が電通に指導を入れても、広告主や媒体社が変わらない限り一緒ですよ。電通が帰ったら、その先の子会社や協力会社が泣くだけです。いや、大手の自殺だけが取り上げられてるだけで、じつは制作会社レベルではもっと自殺が多発してるかもしれない。

日本は製造業立国してるわけで、世界と戦うぞという視点があれば電通なんて目指さない。電通を目指すからには「かっこ良さそう」「もてそう」「楽しそう」ってのがある。

広告主側にはその「いいなー」って思ってる人が数え切れないほどいて、その「うらやましい」の表現方法として「使い倒す」とか「罵倒する」って形になってる人がいる。それは良く分かるから、あきらめて我慢して働いてたけど、その自分の行為も誰かの命を奪うことにつながってるってことですよね。

そう、自分のやってることもどこかで誰かを追い詰めてるわけですよ。毎日2時すぎまで飲んでるくせに朝5時にはメルマガ配信して6時にブログアップして7時半には会社にいるみたいなね。夜の企画書の依頼に対し、朝9時には期待以上の仕上がりレベルで納品するとかね。できないヤツは追い詰められる。

何十年もやっつけの過労死対策やってるから、どんどん問題は潜在化してるんですよ。夜中になってもタクシー代も宿泊費も出ない、残業代は上限あるし会社にいると帰れと言われる。

もっとぶっちゃけるとね、元々新入社員が入社から数年の間に自殺するなんてしょっちゅうだったんですよ。新入社員以外も結構多いんですよ。91年の2年目の社員が自殺して裁判沙汰になってもそう。ただ00年に1億6800万円の損害賠償金を支払えという最高裁判決が出た。

現在の最高裁判決資料を検索すると、裁判結果に書かれている個人名は伏字になってますが、大阪過労死問題連絡会のページに「電通事件最高裁判決(最高裁第2小法廷平成12年3月24日判決)」が原文のまま出てます。これは衝撃でした。所属部署の部長と先輩が悪いかのように書かれてる。「おいおい営業とか広告主の無理難題にも言及しろよー」と思ったのを思い出しました。

この衝撃はすさまじく、翌年に上場が控えてることもあってイメージ改善は急務で、ぜんぜん環境が整備されないまま「お前ら残業するな」の嵐でした。

で、どうなったかと言うと、自分のパソコンにビジネスソフト入れて家でサービス残業ですよ。作業用のワンルームマンション自分で借りちゃうヤツもいた。タクシー代考えたら安いもん。制作会社にデスク用意してもらってるのもいたなあ。

電通は高給取りなんて上場前の話しですよ。若いうちは頑張って残業しないと食えません。残業減らせと言われても生活あるから残業する。夜事務所にいると帰った先輩たちのトラブル対応を全部背負うことになる。「サブロク協定の上限に達する→サービス残業」ね。

まず私を変えろってことでしょ。広告主も制作会社もみんなが変わらなきゃいけないってことでしょ。だけど、牛丼屋でもコンビニでも24時間営業の時代に広告業だけ22時から9時まで閉店なんてできないんですよ。難しすぎる。

でも、少なくとも言えるのは、私のような零細プロダクションの社長ですらヒソヒソ話で対応するのではなく、ちゃんと口に出して話すようになったのは事実です。今回の不幸な案件について新しい視点をいただいたショータさんありがとうございます。

上場前は120時間とか残業つけても怒られなかった(指摘は受けたけど)し、タクシーチケット普通にあったし、深夜残業でホテルチケットもらえたし、土日も手当あったし期末に数字達成すると達成ボーナスもあったけどなー。上司も接待費いっぱいもってたから、飲みに行く時わざわざ上司呼び出してたけどなー。そういうの全部含めて問題だよなー。

ブログは個人の日記でもありますので、さすがに今回の死を無駄にしないためにも個人的な想いは記しておきたいと思います。

gq1023 at 04:33│Comments(0)

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