だまされる人が悪いのか、だます人が悪いのかヘルプは店長が行け

2016年03月24日

新しい時代の意見集約

e5ece0cd.jpgすき家のバイト一斉ボイコット騒動。これは労働争議というか、意見集約のあり方が大きく転換していることを実感する局面でした。

すき家の名前の由来は「すき焼きメニュー」があったからで、「すき焼ディナーセット」なんて豪華メニューまであったんです。全店直営ですから、フランチャイズ店による足並みの乱れなどはなく、安定した経営だと見られていました。

ところが、SNSの中でアルバイト達が交流するサイトが立ち上がり、全国のアルバイトが「すき家ってブラックじゃね?」という交流をはじめたわけです。すき家のネーミングの由来でもあるすき焼きメニューの「牛すき鍋定食」の発売も追い打ちをかけました。

じつは、成功している外食チェーンの多くは店内加工&直前調理なんです。セントラルキッチンで加工した料理を電子レンジでチンするだけの店は成立が難しくなってる。餃子の王将がいい例ですよね。餃子ですら店内で仕込んで直前に焼いてる。

だから本部は、創業時の理念に立ち返り「店内調理への第一歩」として「牛すき鍋定食」を導入したんだと思うんですね。ところが、バイトは「めんどくせー」ってなったわけです。言っときますが、すき家のメニューって他社より後発ですから、バイトがダメなんですよ。

私ね、2014年の大みそかの午前2時過ぎに幕張のすき家で牛丼食べたんです。そしたらバイト君が奥で携帯で電話してたんです。「もう48時間寝ずに入ってるんだけど、明日も交代来ないかもしれないんだよねー。半分寝てる感じで働いてるよ」なんて言ってたんです。

「まじかよ!?」って思ったんですが、奥で話してるんだから私が来てるの気づいてないわけだし、そんな個人的な苦しみを相談に乗ってあげて解決できるほどの器量はないので軽く流しました。ところがこれ、全国的な話しだったようです。

そのキーワードが「ワンオペ」です。どうも、すき家のビジネスモデルは、1人のアルバイトに店舗を任せるワンマンオペレーション(=ワンオペ)だったようで、夜中から明け方まではワンオペだらけだったわけです。ここが諸悪の根源でした。

深夜のヒマな時間帯は時給も高く仕事も少ない。一見楽そうなんですが、ここでツイッターに書き込むバイトが続出した。それに呼応する全国の店舗のバイトがいた。批判が批判を呼ぶ状況になった。そんな感じのようです。

「昨日の21時から入って1時からワンオペ中。牛すき鍋仕込みめんどくせー!」みたいな書き込みに、ウソかホントか分からない返答が相次ぐわけ。「店長病気で48時間ワンオペ経験あり。ガンバレー!」とか「牛すき鍋マジムリ!仕込み時間かかりすぎ!」なんて感じね。

そして、それを見たバイトしてない人々が「すき家ブラックだよ!絶対ブラック!」なんて書き込むと、新しいバイトが確保できなくなる。働いてるヤツらも「他のバイトは良さそうだ」と辞める。負の連鎖ですね。

結果的に言うと、別にすき家はブラックバイトの温床じゃなかった。ぶっちゃけどこも同じです。だけど、もっと働きやすい環境づくりに本部は動いた。本気で全体の2割以上の店舗を閉めて、仕組みから一新しました。普通からより働きやすい店に変わったわけです。

これ、新しい時代の意見集約ですよ。「保育園落ちた死ね」ツイートが話題になってますが、保育園のあたりもつけず勝手に生んどいて「施設つくらない国や自治体が悪い」ってのは乱暴でしょ。少子化の流れの中で保育所なんて作ったら、すぐ負の遺産ですよ。

最初は保育園欲しい人々の意見が集まる。それに乗っかる政治家も出てくる。だけど反論も出てくる。不満の解決策が別の不満を呼ぶ。一番多い年寄りが叫びだす。「一番必要なのは老人ホームだろ!」とね。選挙の票に直接つながるから、保育園は後回しになる。

どちらにしても、経営サイドや労働組合や政治が動かす世の中から、現場発信型意見集約に変わりつつあるようです。これ、選挙でもおきますよ。「なんとか党っておもしろくね!?」みたいな書き込みから爆発する感じね。そんな予感を感じてる私です。


gq1023 at 07:03│Comments(0)

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